シェアハウスは、キッチン、トイレ、お風呂といった水まわり設備や、リビングスペースを複数の入居者で共同利用する住まい。そのぶん個室をベッドや最低限の収納だけにすることで、リーズナブルな住居費で暮らせる上に、みんなで共有する分、一人でアパートを借りるよりも広いリビングや、バスタブ付きのお風呂など、ちょっといい設備を利用できるのもメリットです。
しかし今回見せてもらった名古屋のシェアハウス「SHARE HOUSE 180°(シェアハウスワンエイティ)植田」は、ちょっとどころか”どえりゃあ豪華な”設備がてんこもり。いったいどんなシェアハウスなのか、見てみましょう。
名古屋駅から電車で約30分。瀟洒(しょうしゃ)な邸宅が立ち並ぶ閑静な住宅街の中に「SHARE HOUSE180°植田」があります。セキュリティの関係で外観は写真でお見せ出来ませんが、一目ではシェアハウスだとは分からない、凝ったデザインの一戸建てです。
ドアを開け、迎え入れてくれたのはピカピカに光を照らす大理石の玄関。モザイクタイルのアクセントが印象的な、ゆったりとした空間となっています。
玄関を抜け、長い廊下の先に構えるドアを開けると、現れたのはピアノが置かれた階段ホール。幅の広い回り階段は、まるでインテリアの一部のよう。
LDKもひろびろ。ゆったりしたアイランド型のカウンターが設えられたキッチンは、オーブンも食洗機も完備。奥のリビングにはサラウンド付きの大型テレビと、足を伸ばせる大きなソファまで。
そして、そのリビングの背後に目を向けると、なんとフィットネスルーム!バイクだけでなく、マッサージチェアやジョーバといった人気の機器まで置かれています。
かなりお金がかかっていそうな物件ですが、なぜこんな住まいがシェアハウスになっているのでしょうか? この物件の運営・管理を行っているシェアハウス180°の伊藤さんにお聞きしました。
「もともとこの物件は、この物件のオーナーがお住まいでした。しかし別の住居に引越すことになり、貸し出されることに。その際、『シェアハウスにしたい』というご希望で、私のところにお話をいただいたんです」(伊藤さん)
なるほど、もともと物件のオーナーが、自分が住むためにこだわった設備や仕様だからこそだったのですね。しかし、こだわって建てた邸宅をシェアハウスにしてしまうのは、オーナーにとってはなかなかリスクのある判断なのでは?
「それがそうでもないんです」と伊藤さん。
「これだけの設備を備えた物件ですと、家賃も高額になります。そのため、借りられる人がかなり限られてしまいます。実際、借りる候補には日本代表にもなったサッカー選手も居たとか。そういう人を見つけてくるのは容易ではないですよね。
しかし、シェアハウスならば、家賃も入居者で分割することになり、ひとりあたりの家賃はグッとおさえられます。つまりオーナーにとっても、シェアハウスにすることで、借り手が見つかりやすくなるという”メリット”があるんです」(伊藤さん)
実際、この「SHARE HOUSE180°植田」の家賃は、4万円台から設定があるのだそう。オーナーにとっては借す相手がひとりでも複数人でも同じ家賃なわけですし、入居者にとっては一人で借りた場合にはおおよそ得られないようなハイスペックな設備を利用できるという、WIN-WINな打ち手だというわけです。
「現在、入居者は8人で、みんな20代から30代前半です。この豪華な設備をみんなで楽しんでますよ。例えば入居者のひとりが階段ホールでピアノを弾くので、生演奏を聞きながらランチをしたり、広いキッチンを使って年越しそばを打ったり。2階にはジャグジーやオーディオスピーカーが付いたバスがあるのですが、夜空を見上げ、音楽を聴きながらお風呂につかっていると、ほんとうに贅沢な気持ちを味わえます(笑)」
複数人で家賃を負担することにより、低額な賃料負担で、今回のような豪邸に住むことも可能になりますし、他にも、都心部に住むことや、オフィス付きの職住近接な暮らしを実現するなど、いわば”身の丈に合わない暮らし”を手に入れることができるわけです。
「そういうメリットを私は『人生を充実させるシェア』だと思っています。2011年には名古屋のシェアハウスは11棟でした。しかし、3年の間に40棟にまで増えました。もっともっといろんな暮らしを提案していきたいですね」
現在、この物件とはまた違ったプロジェクトが進行中とのこと。次はどんなシェアハウスが生まれてくるのか楽しみです。