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榎並 紀行(やじろべえ)
2011年4月13日 (水)

ルームシェアの進化系? 最新「シェアハウス型住宅」潜入レポート

ルームシェア。友人や恋人といった親しい間柄に限らず、見知らぬ他人同士がネット上で出会い、即、共同生活なんてケースも今や珍しいことではないと聞く。また、最近はルームシェアに特化した「シェアハウス」も急激に増えているとか。

シェアハウスとは、各自に割り当てられる個室のほか、住人共有のキッチン、シャワー、洗濯機などを完備する共同住宅のこと。最近では広々としたリビングや多目的ルームなどの快適な共有スペースを設け、住人同士の活発な交流を促す物件も多いという。
「住人同士の交流」。じつに楽しそうだが、実際のところ、見ず知らずの他人同士が簡単に打ち解け合えるのだろうか? 齢30にして未だ極度の人見知りを煩う筆者にはまったく自信がない。

というわけで、実態を調べるべく都内のシェアハウス「プレミア木場」に潜入。2009年のオープン以来入居希望者が絶えず、現在も80人以上の男女が暮らす超人気物件で、未知なるルームシェアの世界を体験してみた。

まずは、20代とおぼしき男女数名がくつろぐ1階の共同リビングへ。勇気を出して輪の中に飛び込む。すると自分でも不思議なくらい自然と会話の輪に入れた(入れてもらえた?)。日ごろからひとつ屋根の下で暮らすシェアハウスの住人たち。外様には近寄りがたい独自のコミュニティが存在するかと思いきや、実際の彼らは驚くほどガードが低い。

「新しい入居者の多くが、共同生活への不安を抱えてやってきます。ですから、ここでは古参の住人に協力してもらい、こちらから積極的に声を掛けることで早く馴染んでもらえるよう心がけています」とは常住スタッフのワタナベさん。
実際、入居時期、性別や国籍もバラバラの彼らだが、みんな非常に仲がいい。出先から戻ればまずリビングに顔を出し「ただいま」「おかえり」と声を掛け合う。

ルームシェアの進化系? 最新「シェアハウス型住宅」潜入レポート

いつの間にかゲーム大会がスタート。シェアハウスなら、毎日がホームパーティだ。

夕方になると、ダイニングに十数人の男女が集まり、ささやかなパーティがスタート。男子数人が腕をふるった料理がテーブルに並ぶ。普通に代金がとれそうな極上の角煮をはじめ、どれも実に旨い。聞けば現在、男子たちの間で料理ブームが到来しているらしい。指南役は都内のフレンチレストランで働くコック。彼もここの住人だという。なるほどこれもシェアハウスならではの魅力だろう。職種が違えば各々の得意分野におけるワザや知識を共有できる。生活を楽しみながらさまざまなことを学べるのだ。

ほかにも、全体の3割を占める外国人とのコミュニケーションを通じて英会話能力が磨かれるし、性別が違えば恋が生まれるかもしれない(実際、ここで3組のカップルが誕生しているらしい)。一人暮らしではけして味わえない、貴重な出会いと刺激に満ちている。

食後は酒を呑みながら語らう者、ギターを弾き語る者、ゲームに興じる者など、過ごし方はさまざまだ。だが、ここでも所在なげにたたずむおっさん(筆者)を気遣い、数人が話しかけてくれる。涙が出るほどみんなやさしい。結局、このまま宴は深夜まで続き、最後には離れがたい絆が生まれた(ような気がする)。

無縁社会なんて言葉はどこ吹く風。活き活きとした交流がしたいなら、思い切ってシェアハウスの扉を開けてみては?

<取材協力>
■プレミア木場
http://www.oakhouse.jp/es_search_details.php?h00id=280

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