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中田 早耶
2011年6月19日 (日)

良いシェアハウス、どうやって選べばいい?

最近流行ともいえる「シェアハウス」。しかし、一般の賃貸物件とは異なることが多いのでシェアハウス特有の選ぶコツを知っておくことが重要だ。

■シェアハウスとは?
プライベートを確保しつつ、人と繋がって生活することのできる、新しい賃貸住宅のスタイルがシェアハウスである。(ゲストハウスと呼ぶ場合もある。)
入居者は主に20~30代。一つの同じ建物の中で、リビングや、ダイニング、水廻り(トイレ・シャワー・洗面)をパブリックスペースとして共有し、入居者にはプライベートルームとしてそれぞれに個室がある。
一つの部屋に何名かで生活するシェアルーム(ドミトリー)もある。
シェアハウスは、敷金、礼金、仲介手数料、更新料、保証人などが不要の場合が多い。
また、生活に必要な家具や家電が揃っていることも多く、初期費用を抑えながらすぐに生活を始められるのも人気の理由となっている。

複数人で住むシェアハウスにとって特に大切な「管理とルール」であるが、日々の生活の快適度はこの点にかかっているといっても過言ではない。自分がシェアハウスという住み方に何を求めているのか、よく考えつつこれから書くチェックポイントを参考にしてほしい。また、「賃貸借契約」に関しては、通常の賃貸物件と異なる点もある。トラブルがないようしっかりと確認しておきたい。
そこで、シェアハウス選びのためのチェックポイントを、東京のシェアハウス「LAFESTA」を運営している栄伸商事株式会社の遠藤氏に伺った。

【ルールブック】
住むにあたって守るべきルールがまとめられたもの。これに書かれているルールを基本として集団生活のルールや習慣が出来上がっていく。
このルールブックがきちんとつくられていること、居住者がいつでも閲覧できる状態になっていること、内覧の際に見せてもらえるかどうかはチェックしておきたいポイントだ。
どの程度細かくルールが決められているかは管理会社や物件によって異なる。
自分にあったルールかどうかもよくチェックしておこう。

【清掃】
多くの物件では入居者による当番制か外部委託をしている。当番制は掃除の仕方の個人差があるのでトラブルなしに綺麗に保つのは難しそうだが、上手くいけば共有スペースへの愛着が増すのではないだろうか。外部委託の場合はどの程度やってもらえるのかチェックしておこう。 また、共同生活のマナーとして、自分で汚したところは自分で掃除するのは当然である。みんなで気持ちよく生活するには、管理会社だけではなく入居者の意識や協力も不可欠である。

【火の使い方】
安全と管理のために火気は禁じている物件も多い。その場合、料理用コンロはIHタイプだ。
禁煙の物件も多いので、愛煙家の方は喫煙か禁煙か、喫煙所はあるかチェックしておこう。

【外国人について】
外国人の割合は物件によってさまざまだ。多いところもあれば少ないところもある。自分が求めているのはどの程度の割合なのか考えて決めておこう。割合の多少に関わらず、外国人を受け入れている以上、言語・習慣によって生じる問題に管理会社が対応しているかどうかチェックしておきたい。

【友人・家族の訪問と宿泊】
広いリビングやキッチンがあれば友人を招きたくなりそうだが、自由に入居者以外の人を招いても良い物件は少ないようだ。
事前に申請する許可制か禁止にしている物件が多い。理由としては、共有スペースはあくまで入居者がシェアしているスペースであるということ、トラブルがあった場合に誰が責任をとるのかが難しいということである。許可制の物件は、手続きやルールがきちんと守られているかどうかもチェックしたい。

【トラブル時の対応】
生活していればさまざまなトラブルがおこる。配水管がつまった、けが人が出た、居住者同士でもめた、など。その際どこに連絡すればどのような対応をしてくれるのか、また深夜など遅い時間でも対応してくれるのか、よくチェックしておきたい。

【イベント・交流】
シェアハウスに住む醍醐味である、入居者同士の交流の機会であるイベント。会社側が主催するのは年に数回~程度が目安。ほかには居住者が自主的に開催している場合もある。担当者が把握していないこともあるので、出来れば入居者に聞けると良いだろう。
物件の内覧時はイベントのことだけでなく、住み心地の率直な感想を聞くためにも入居者がいるとラッキーだと思ってよい。気軽に挨拶をして色々と質問してみよう。担当者が知らないそのシェアハウスの長所・短所を教えてくれるかもしれない。

【管理・運営会社】
そもそも、「シェアハウス」は不動産会社では通常扱っておらず、管理・運営会社を通じて貸し借りすることが多い。
そこで良い「管理・運営会社」を選ぶことが大切である。
宅建の資格の有無、創業年数などは目安のひとつとなるだろう(「無い」「短い」イコール悪い業者ではない。その場合は他のチェックポイントをよく確認すること)。
また、ワンルームなどでは契約後は不動産会社と接点は少なくなるが、シェアハウスの場合は契約をした会社が管理もすることが多い。
つまり、入居した後も何かとお世話になるので、物件の担当となる社員のやる気や、話し方がしっかりしているか、良い点も悪い点も伝えてくれるか、頼れそうかといったことも重要なポイントである。
また物件の状況把握(特に共有スペース)も担当者の役目の一つである。
シェアハウスは、管理人が常駐しているケースは少なく、担当者が物件を巡回しているのが通常である。
そこで、どの程度物件に訪問しているか聞いておこう。週に1度以上の訪問があるかどうかが一つの目安になる。

【契約内容】
通常の賃貸物件との大きな違いにもう1つ、契約時の重要事項説明書の有無がある。
不動産会社の仲介による賃貸借契約では義務づけられているが、貸主と入居者との直接の契約では義務づけられていない。
従って、重要事項の説明がない場合は、契約の際には契約書を自分でしっかりと確認することが大切だ。
さらに、契約書の内容は各社で異なるため、契約書自体がいい加減なものか、しっかりしたものかも管理会社の判断の目安になる。

【セキュリティ】
シェアハウスの大きな特徴として「共有スペース」の存在がある。そこで重要になるのが「鍵」の存在である。この「共有スペース」は誰でも入れるわけではなく、居住者がシェアするものである。そこで外部者の侵入を防ぐために、玄関にちゃんとした「鍵」があるかどうか、その管理はしっかりとされているかをチェックしておこう。簡単にコピーできるようなものや、すぐにわかるような暗証番号ではセキュリティは無いも同然だ。
もちろん個室の鍵も同様である。
個室と共有スペースを行き来することも多いので、鍵の開け閉めの回数は通常の物件よりも多い。矛盾するようだが、簡単で紛失しにくく、かつセキュリティが高く保たれているものが望ましい。

【消防・安全】
防火のための措置がとられているかを内覧の際にはチェックしておくことが不可欠だ(消火器・火災報知器・避難口・避難経路など)。また昨今では地震への危機感が高まっている。地震など災害時に、どういう行動をとれば良いのか、避難場所はどこか掲示してあるなど、防災・安全への配慮がなされているかもチェックしておきたい。

<取材協力>
栄伸商事株式会社
03-3363-6878
http://www.ei-sin.co.jp/

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