女人看守 湖畔の社

唐崎神社

唐崎神社は日吉大社に縁の深い神社であり、琵琶湖畔に面した境内は、対岸に近江富士を望むことができ、広い空と湖、巨大な霊松を仰ぎ見ることができる素晴らしい場所です。
近江八景の1つでもあり、霊松はその中心として古くより多くの歌人に愛されてきました。

唐崎の松

近江八景「唐崎の夜雨」で知られる名勝唐崎神社で欠かすことのできない霊松「唐崎の松」

桃山時代の著書で当時の古伝承をまとめた『日吉社神道秘密記』によりますと舒明(じょめい)天皇5年頃(633頃)、琴御館宇志丸(ことのみたちうしまる)が唐崎に居住し、庭前に松を植え“軒端(のきば)の松”と名付けたことに始まります。
日吉大社西本宮のご鎮座伝承では、童の姿に身をやつした大神様が船に乗ったまま松の梢(こずえ)に上がるという神業を示されたことから特に神聖視されるようになりました。
中世の山王(さんのう)曼荼羅(まんだら)や名所絵図、近世の山王祭礼図屏風や浮世絵等にも数多く描かれています。

記録の上では初代の松は天正元年(1573)に大風によって倒れ、二代目は天正19年(1591)当時の大津城主 新庄直頼公等により植えられました。
享保19年(1734)に発行された『近江輿地志略(おうみよちしりゃく)』には、「樹高はそれほど高くなく、枝葉が四方に繁り七間四方(12.6m×12.6m)の大きさで雨宿りが出来る。姿形がまことに均整がとれて美しい」と書かれています。植栽から約140年経っておりますが、とりわけ巨大ということではなかったようです。しかし、それから約100年後に描かれた浮世絵「唐崎夜雨図」では枝が琵琶湖まで達し、同時期の版画にも枝の東西54m・南北68.4mという注記があり途方もない大きさになっていたことがわかります。さらに明治初期(『近江輿地志略』から130年後)の由緒書には高さ27m(後に大風で折れて10m)幹廻り11m、枝東西72m・南北86mと記録しています。その頃の写真が長崎大学附属図書館に所蔵されています。

明治20年に二代目の実生である現在の霊松が後継樹として植えられます。それは年々樹勢が衰えてきたためであります。
境内地一杯に根が拡がり根詰り状態になっているのを改善したり、施肥をしたりと手を尽くしましたが、ついに大正10年その名を馳せた霊松も枯れ、移霊祭を斎行して三代目霊松として引き継がれました。

石川県の兼六園にも二代目の実生があり「唐崎松」として生撫されております。

大津市歴史博物館蔵
歌川広重
唐崎夜雨図
江戸後期

長崎大学附属図書館蔵
ファルサリー写真スタジオ
琵琶湖唐崎の松
明治時代

日吉大社蔵
記録写真
二代目霊松根元
明治〜大正

ご由緒

ご由緒

日吉大社で代々神職を務められた家の先祖である、琴御館宇志丸という方がこの地に居住され、「唐崎」と名付けられました。
この頃、天智天皇が奈良の三輪山から大己貴神を大津にご勧請された際に、琵琶湖を渡り、この唐崎の地に降り立ったとされており、日吉大社西本宮のご鎮座に大変縁のある場所です。ご祭神の女別当命は琴御館宇志の御妻君であり、持統天皇の御代697年に創建されたと伝えられています。

ご祭神

女別当命(わけすきひめのみこと)
琴御館宇志の御妻君

ご利益

下の病・婦人病平癒

下の病・婦人病平癒の神社

平安時代にはこの唐崎が「七瀬之祓(しちせのはらい)」の一所として、朝廷で行事を行う際に必ずお祓いを行う場所となり、多くの斎王や貴族たちがお祓いをされたことに始まり、古くより女別当社として、特に女性の多くの方々にお参り頂きました。
そのような事から唐崎神社は下の病・婦人病平癒の神社として崇敬を集め、現在でも多くの女性の方にご参拝頂いております。
・藤原道綱の母
・藤原道長

歌人の愛した地 唐崎神社

一方、初めて居住した琴御館宇志丸がこの地に松を植えたことに始まり、琵琶湖の扇の要とも表現されるこの唐崎神社は絶景地として、古くより多くの歌人に愛され、たくさんの歌も詠まれています。

柿本人麿(万葉集)
「さざ波の 志賀の唐崎 さきくあれど 大宮人の 船まちかねつ」

松尾芭蕉
「唐崎の 松は花より 朧にて」

近世では、この唐崎神社が近江八景のひとつ「唐崎の夜雨」として選定され、滋賀県随一の名勝地となっております。
明治時代には、海外の貴賓が訪れています。

祭典

7月22~28日 みたらし祭(例祭日は7月28日)

一年の前半に、知らず知らずと身についた罪のお清めをするお祭り。
早朝から夜まで多くの方が参拝になり、ちの輪くぐりや厄除け、病気平癒の祈祷、身の罪を託す人形(ひとがた)流しなど、夏の健康をお祈りする夏祭りです。
※7月22日~27日9:00~16:00でも、御祈祷や特別授与品をお受け頂けます。

ご祈祷・授与品

ちの輪守の画像

ちの輪守

便所(トイレ)のお守りで、下の病・婦人病などにご利益があります。
日吉大社でも授与しております。

みたらし団子守の画像

みたらし団子守

神棚・玄関先や居間にお飾り頂きます。本来、緑・黄・赤・白・黒の五色を使うべきところ、皆さまに苦労が無いように「黒」を抜いて作っています。家内安全や厄除けのご利益があります。

唐崎朱印帳の画像

唐崎朱印帳1500円

歌川広重の浮世絵。近江八景・唐崎の夜雨の絵柄。
日吉大社でも授与しております。

ご祈祷

一週間前までにご予約をお願い致します。
連絡先:日吉大社社務所(077-578-0009)

交通アクセス

〒520-0106 滋賀県大津市大津市唐崎1-7-1
TEL : 077-578-0009 (日吉大社社務所)

交通アクセス
公共交通機関
・JR湖西線「唐崎駅」下車 徒歩 15 分
・京阪電鉄/石山坂本線「浜大津駅」下車 バス 15 分 唐崎
・江若交通バス 大津駅・浜大津駅より「堅田駅行き」
堅田駅より「大津駅行き」乗車、唐崎停留所下車、徒歩3分