9割の男性が間違っている!?松屋銀座バイヤーが教える「男を上げる小物使い」とは?

今夏、リクナビNEXTジャーナルで紹介した「男性必見!松屋銀座バイヤーが教える『この時期、ビジネスシャツの下には何を着るべきか?』」。松屋銀座の紳士服バイヤー・宮崎俊一さんに、真夏のシャツ透け問題に切り込んでもらった記事だ。シャツ透け問題がビジネス問題にまで発展し、賛否両論ありながらなかなかの反響を得た。「乳首が透けずに済んだ」「爽やかに猛暑を乗り切れた」という人も多かったのではないか。

同記事でも随所で触れたが、宮崎さんは「これでいいか…という少しの気の緩みがビジネスにおける第一印象を台無しにしかねない」と日本のビジネスパーソンに警鐘を鳴らし続けており、数々の著書でビジネスシーンにおけるスーツスタイルの基本を提唱している。

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▲株式会社松屋 銀座本店 紳士部MD課バイヤー 宮崎俊一さん

そして、先日発売された新刊『ビジネススーツを格上げする60のルール』では、「ビジネスパーソンの実に9割が、間違った小物選びでスーツスタイルを台無しにしている」と訴える。今回は同書より、スーツ姿をレベルアップしてくれる小物選びのポイントを、いくつかご紹介したい。

リュックやソックス…知らずに使っているNGアイテムたち

 スーツにリュック、ごついスポーツウォッチ、くるぶしが見えそうなスポーツソックス…よく見かけるビジネスパーソンの姿だ。実際に自分も身につけているという人も多いだろう。
 しかし、これらすべて「たった1アイテムで全身を台無しにしている」と宮崎さんは指摘する。

悪目立ちするスポーツソックスにメリットはなし

 くるぶし丈でラインやメーカーのワンポイントが入っているような「スポーツソックス」は、ビジネススタイルではあり得ない。ましてや「白いソックス」は全身の印象を台無しにするほどの破壊力がある。スーツ姿で靴下が目立つことにメリットはなく、全体のバランスが崩れてしまうだけ。

「みんな履いているよ」と言う人もいるかもしれないが、どれだけ多くの人が履いていようがドレスコード違反に変わりはない。

大ぶりのスポーツウォッチはスーツに馴染まない

 モノ自体が目立ってしまってはビジネスアイテムとしてはNG。ビジネススタイルは、相手あってのもの。好きだからという理由だけで選ばないこと。

 樹脂製ベルトの大きな時計と、ステンレスや革ベルトの時計、どちらがスーツに馴染むかは明白。それに、仕事相手に仕事内容よりも「デカい時計をしていた人」という印象ばかり与えてしまう恐れもある。スポーツウォッチは、休日に楽しもう。

リュックはショルダーラインを台無しにする

 ダークな色味でナイロン素材、A4サイズの書類やPCが入るリュックを通勤に利用する人は多い。確かに、両手が自由になるし便利ではあるが、ジャケットのショルダーラインはビジネススタイルの印象を決める「スーツの命」とも言うべき場所。ここが荷物の重さで擦り減ったり型崩れしてはスーツが台無し。できるだけ使用時間を最小限にしてダメージを減らそう。

 ただアウトドア系のリュックは完全にNG。ファッション業界の人がハズシで使うことはあっても、一般のビジネスパーソンが使用するのは難易度が高く、見た目も「水と油」だ。

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▲左がNG例、リュックにスポーツウォッチ、トンガリ靴はビジネスシーンにそぐわず、どこか野暮ったい印象。右のOK例と比べると印象の差は歴然だ

8,568通り、あなたはどのタイプ?

靴、ベルト、バッグは色をそろえるのが基本

 ビジネススタイルはトータルコーディネートがカギ。初級者は、まずは「靴」「ベルト」「バッグ」の色味を揃えるのが基本だという。全く同じ色でない場合は、濃淡にはこだわらず、「近い色味を組み合わせる」のがベスト。

 例えば、黒い靴ならばベルトもバッグも黒。バッグに関しては黒ならばナイロン素材でもアリ。
 茶系でトーンを合わせるならば、ダークブラウンの靴にミディアムブラウンのベルト、赤身のある茶のバッグなどで統一感を図るといいだろう。

 なお、中級者は色だけでなく「濃淡」も揃えると、さらに統一感が出て全身がすっきり引き締まった印象になる。茶系であれば、ミディアムブラウンで靴、ベルト、バッグを揃えると好印象だ。さらに、色だけでなく素材のトーンも合わせると◎。例えばライトブラウンのスエードの靴ならば、ベルトもライトブラウンのスエードを合わせられれば上級者だ。

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コートスタイルは、冬のビジネススタイルの印象を決める

 スーツやネクタイには気を配っているのに、なぜかコートには無頓着という人が多い。しかし冬の外出先では、スーツをすっぽり覆いかくす「コート」こそがビジネスの印象を左右する。

 本書では、実際に宮崎さんがモデルとして4種のコートを着用、それぞれのコートが合うシーンや着こななし方を詳しく紹介している。

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▲ご本人登場!どのコートを着てもバシッとキマる、さすがの着こなしだ

 例えば、冬場にトレンチコート(写真左から2番目)を着る人は多いが、トレンチコートは軍服から派生したカジュアルなもの。ビジネスシーンはいいが、例えば冠婚葬祭などのフォーマルな場には合わない。
 また、ボタンを開けて無造作にはおるのではなく、ボタンを留め、ベルトをしっかり締めるのが美しい着こなし。そして、ナイロン素材よりもウールとコットンの混紡素材の方が、着心地もよく、ベルトを締めた際のドレープもきれい。外出先で取引先に出会った際にも、好印象を残すことができる。

 キャメル(ふたこぶラクダの毛で作った毛織物)のコートは、保湿性、弾力性、手触りのよさに優れ、電車内や営業先などで腕にかけているだけでも絵になるコート。特にダブル・ブレストのポロコート(写真右)は、立体感がある美しいシルエットが特徴で、冬のビジネススタイルをワンランクアップさせてくれる。

 本書で紹介されているコートは10万円前後と比較的高価だが、ビジネスシーンにおいて10年、20年と着続けられるクオリティと普遍的なデザインのものを取り上げており、数年で4~5万円のコートを買い替えることに比べたらコストパフォーマンスがいい。


 なおこのほかにも、本書では「10年履ける紳士靴の基本デザイン」「革製のバッグは信頼を勝ち得るパートナー」などなど、ビジネスシーンにおける小物の選び方やコーディネートのポイントがさまざまな角度から紹介されている。

 服装は第一印象を大きく左右するもの。「忙しい中、毎日服装に気を使えない」という人もいるかもしれないが、いくら仕事に自信があっても、見た目で「この人、デキそうにない…」という印象を与えてしまってはリカバリーに時間がかかり、損だ。

 小物使いやコート選びなど、日々の選択に迷った時に頼りになるうえ、「ビジネスシーンにおいては取引先など“相手”に合わせて装うべき」という宮崎さんの、ビジネス論にも触れられる1冊だ。

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紹介書籍:『ビジネススーツを格上げする60のルール』/宮崎俊一/講談社

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭(1カット目) 写真提供:講談社(PHOTO:大坪尚人)

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