住まいの雑学
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2014年3月4日 (火)

地上でも活用できる!? 宇宙生活から学んだスーパー節約術

最先端の宇宙生活には、私たちの日々の節約に役立つ情報が詰まっているに違いない!?(写真: iStock / thinkstock)
写真: iStock / thinkstock

現在、JAXA宇宙飛行士の若田光一さんが、国際宇宙ステーションで任務に励んでいる。今回は約6カ月間の長期滞在となるらしいが、国際宇宙ステーションでの暮らしぶりが気になるところだ。快適な地球での生活と比べると、居住空間も狭いし資源も限られている。きっとかなりの工夫が施されているのだろう。

もしかしたら、地上での生活に役に立ちそうな知恵や技術が使われているかもしれない。いやむしろ最先端の宇宙生活には、私たちの日々の節約に役立つ情報が詰まっているに違いないのだ…。

と、鼻息を荒げながら、宇宙航空研究開発機構(JAXA)にインタビューを申請してみた。

お忙しい中、庶民感覚丸出しなインタビューに応じていただいたのは、有人宇宙ミッション本部・宇宙環境利用センター・技術領域リーダーの坂下哲也さんである。

恐縮しつつうかがってみる。生活の工夫には、どんなものが?

「例えばシャンプーですと、ドライシャンプーというものを使っています。水やお湯を使わないシャンプーで、髪に直接かけて、頭を洗ったあとにタオルで拭き取ればおしまい。災害の被災地やキャンプなどでも利用されるもので、購入も難しくないはずです」

宇宙では水は貴重なのだ。今の日本では水を節約するという機会は少ないかもしれないが、そういう商品があるということを覚えておくだけで役に立つかもしれない。

「引退したスペースシャトルは水素と酸素を反応させる燃料を使っていました。すると副産物として水が出てくる。この水も宇宙での生活に再利用されていたんです」

節約というか本気の資源管理といった印象だ。

「また、宇宙ステーションにはトンボの羽のようなパネルが伸びています。これは太陽電池パネルになっていて、ここから生活に必要な電力も供給します。しかし電力には限りがありますから、設計の段階で電力を使う場所は決まっています。実験装置とか換気扇とか、電力の割り当ては決まっているのです」

水に続いて電力の話だ。もし地上で応用するなら、生活に必要な電力を把握して、余計な家電に電力を回さない…といったところか。

またゴミについてのお話も興味深かった。

「実は宇宙船を飛ばすには、加速重力を吸収するための大量の緩衝材が必要となります。これが生活空間を手狭にするので、宇宙に到着したら捨てなければなりません。これは補給船に積んで、補給船ごと大気圏の熱で燃やすという方法で破棄しています」

ゴミを捨てるのも宇宙ではダイナミックだ。地上の生活であれば、ゴミだけではなく不要な布類やクツといったものは早急に捨てたほうが生活スペースの確保につながる、という発想の転換はどうだろう。近年流行の断捨離の考えにも似ている。

さらに、現在は宇宙で植物が育つかどうかが実験されているという。これが成功すれば、宇宙での自給自足が現実味を帯びてくる。生活になぞらえるなら、自宅の台所で豆苗を育てるための実験をしているようなものだ。

さすがに宇宙生活をまるまる日常生活にリンクさせるのは難しいが、資源が少ない状況を想定しつつ日々を送るという発想は、節約の奥義にして原点といえるのではないだろうか。もし自分の家が宇宙ステーションだったら。そんな想像力で自分の生活を見直してみよう。

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