県内建設業、人手不足深刻化 新規採用、計画の6割


この記事を書いた人 田盛 良一

 建設業界の人手不足が深刻化している。県建設産業団体連合会(下地米蔵会長)に加盟する556社が2015年度に計664人の採用を計画していたにもかかわらず、実際はその6割の266人しか採用できていないことが19日、同連合会の調査で分かった。公共投資や建設需要が堅調に推移する中、求人募集しても人員が集まらない現状がある。一方で、男性技術者の約5割は50歳以上と後継者不足も深刻だ。事態を打破するため、同連合会と県は19日、琉球大学に大城肇学長を訪ね、工学部の土木コースと建築コースの定員を拡大するよう同大学側に初めて要請した。

 調査は県建設産業団体連合会がことし7月に会員企業1753社に対して実施し、うち556社(回答率は31・7%)から回答を得た。回答した556社のうち、新規採用した企業は約2割の109社だった。新規採用のうち、高校生が最多の113人で、次いで大学生が82人だった。16年度の新規採用計画がある企業数は137社で計501人の採用を計画している。
 一方、県建設業協会によると、14年4月時点の同協会に所属する男性技術者5616人の年齢構成比は、50~59歳が最多の1869人で33・3%を占めた。60歳以上は792人で14・1%だった。50歳以上が全体の47・4%と約半数を占めている。20~39歳は1521人と27・1%だった。10年、20年後の深刻な技術者不足が懸念される。琉球大への要請に参加した県建設業協会の仲本巽副会長(仲本建設社長)は「県内の建設投資は好調だが、人手不足により需要に対応できない。業界内の高齢化もあり先行きが非常に心配だ」と述べた。
 琉球大学は、工学部の4学科を1学科に統合し、その下に七つの専門コースを設置する再編計画を構想しており、17年度からの実施に向け、現在、文部科学省と折衝している。