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完全に解体された国立競技場 現場覗くと瓦礫の山が残るのみ

青山門側から望む国立競技場跡地

 明治天皇の業績を後世に遺すため、大正時代に造成された明治神宮外苑。黄葉で有名なイチョウ並木をはじめ、様々な樹木が彩る都会のオアシスの風景が変わりつつある。2020年東京五輪のメインスタジアムとなる「新国立競技場」建設のため、1958年に完成した国立競技場が完全に取り壊された。

 取り囲むフェンスの隙間から解体現場を覗けば所々に瓦礫の山が残るのみで、数多くの記録を生んだフィールドや歓声で沸いた観客席は跡形もない。千駄ヶ谷門があった場所からは神宮第二球場や日本青年館、青山門側からは新宿副都心のビル群が望める。

 新競技場は10月に着工し2019年に完成予定だが、ここにきて下村博文・文科相が突如、計画の見直しを発表。開閉式屋根の設置を五輪後にするとしたほか、建設費用1692億円のうち500億円を都に負担してほしいと舛添要一・東京都知事に要請した。

 これに対し舛添要一知事は「設計図通りになるのを国民が期待し、国民の税金で造る。できないなら誰の責任なのか。誰も責任を取らない」と強く批判。スポーツの新聖地建設を巡る問題は不穏な様相を呈してきた。

 一方で、五輪後には神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を交換して建て替える計画もあり、10年後には都会の杜の景色が一変する。

撮影■藤岡雅樹

※週刊ポスト2015年6月5日号

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