[音符をダンスで表現してみよう] その1: 4分音符、8分音符、16分音符

さて、[音符をダンスで表現してみよう] の第2回。前回書いておいた「『ワン、ツー、スリー……エイト』って数えているこのエイトビート1拍って、音符で言うと何かわかりますか?」の答え。

>> 「[音符をダンスで表現してみよう] その2: スタッカート」
>> 「[音符をダンスで表現してみよう] その0: イントロ」

4分音符です。
英語では“quarter note”。

普通ですね(笑)。ヒネりも何もないのですが、この音楽の授業で習ったような気がする4分音符、不思議なことにストリートダンスの世界では8カウントでとりますね。その倍の速さ、音の短さだと16ビート(※おそらく日本語英語)などと呼びます。音符では8分音符。さらにその先には、16分音符が、さらにさらにその先には32分音符が待っています!!

……が、今回は基本のリズムどりにたいてい含まれているはずの4分音符、8分音符と、ちょっとチャレンジな16分音符まで、この3つを取り上げてみます。

基本の音符を把握しよう

予告通り、こちらのMr. Wigglesを例にあげると、全体を通じて基本的には4分音符のリズムを取りながら、随所に細かい音やメロディ、外しを入れて踊っています。

名前だけではわかりにくいので、声に出してみましょう。
普通に「1、2、3、4」と数える同じ速さで、「アー アー アー アー」。これが4分音符。
mr_wiggles_quarter_note_sample

8分音符だと、音を短くして「カカカカカカカカ」と言ってみましょう。最初の「アー」ひとつの間に「カカ」が入ります。上の動画で言えば33秒から34秒のシンセサイザーの揺れを表現している動きや、44秒くらいの右手を回す動きの倍速にしているところが8分と言えそうですね。
Mr_Wiggles_Groove_solo_at_POP_ROCK_battles_France (1)

当然、次は16分音符。4分音符を均等に4つに分けるので、ひとつの「アー」の間に「タタタタ」と言ってみます。

全体は「アー アー アー アー」と同じ長さだとすれば、「タタタタ タタタタ タタタタ タタタタ」になります。口で言ってみるだけでもこの細かさですから、身体全体を使った動きで見せるのはかなり難しいことが実感しやすいのではないでしょうか? かなり細かい分、きちんと表現できるとものすごく見栄えがします。Mr. Wigglesは1:36から1:40秒くらいまでの手を使った細かい刻みでこれをあっさりやってのけています。
Mr_Wiggles_Groove_solo_at_POP_ROCK_battles_France (2)

必ずしも技術的に難しいことをする必要はない

でも、何も難しいダンスをしなくても音を取ることは出来ます。
実例としてMark Ronson “Uptown Funk” ft. Bruno Marsを見てみましょう。

1:10秒すぎのサビの流れにある、16分でホーンとドラムが細かく音を刻む部分、本職のダンサーではないBrunoでも手を使った振付けで実にカッコよく踊ってのけます。

ダンサーではポップで直球ストレートにビートをとっているこちらのCreestoを。1分34秒過ぎの部分です。

ここまでの例をみるだけでも、それぞれの音をどんな動きでとるか、それもはもう人それぞれということ分かります。まずは自分の好きな動きでどんな音が取れるのか、それを早くしたり遅くしたり出来ないか、試してみてください。そういう応用を工夫していくことが、自分なりの個性や独創性を創る土台になってくれるはず。

おまけ

さて、余談。さらにその先に待っている32分音符。
「アー アー アー アー」
これが↓
「タカタカタカタカ タカタカタカタカ タカタカタカタカ タカタカタカタカ」
……口で言うだけでもちょっと気が抜けないくらいなので、体の動きで、となると気が遠くなりますね(笑)。でも昨今流行しているtrap以降の音楽では「ドロップ」前のドラムロールなどで当たり前のように出てきます。

厳密にこの細かさで踊るのは至難ですが、例えばツイストなどオンオフがはっきりしている動きで16分を取ると、自然にその表(タの音)と裏(カの音)で32分になります。

↓のL’eto vs GUCCHONでは随所で細かいロールが入るので、それぞれ複数の音のとり方の実例が見れます。

このなかでも、1:28前後のGUCCHONの首を前に倒しながら刻んでいく動きは、(テンポがゆるい曲とはいえ)本当に32分をとっているように見えます。これはぜひとも間近で見てみたい!! というかどんな練習をしているのか教えてほしい!(笑)

さて、次回はこういった音の長さや細かさではなく、色付けの部分をどう表現するのかを取り上げる予定です。
ではでは。

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とにかくクラブで踊るのが好き!という自分の趣味をそのまま仕事にしたライター、編集者、コーダー。 ダンス雑誌『Dance Style』(リットーミュージック、現在は休刊)で編集やDVDシリーズ9本の監督を務める。音楽方面では渋谷のナイトクラブshibuyaNutsで広報・メディア制作を担当。