心臓から出た大動脈が胸部から横隔膜を貫いて腹部にある部分腹部大動脈といいます。この腹部大動脈の血管が本来の直径よりも1.5倍以上(直径3cm以上)になったものを腹部大動脈瘤といいます。これは男性に多いといわれる病気です。

今回は腹部大動脈瘤について、医師から聞いた話をお伝えします。

腹部大動脈瘤の原因と症状

【原因】
・ 95%以上は動脈硬化が原因
・外傷や梅毒などの感染症、炎症も原因となり得る

【症状】
1. 動脈瘤の直径が小さいうちは、ほぼ無自覚、無症状
2. 大きくなるにつれてお腹の不快感、瘤によって占拠される部分の圧迫感を感じる。お腹の表面から拍動する腫れた瘤を触れることができたり目で見ることができたりして発見されることもある
3. 動脈瘤が拡大・破裂が差し迫った状態になると、まわりの組織を圧迫し、神経痛のような強い痛みを感じる
4. 実際に破裂すると激痛を伴い、腹部で大量出血、血圧低下。血管外科などで緊急で適切な処置を受けないと死に至る

腹部大動脈瘤の発見

・血液検査では、ほぼ異常があらわれない
・凝固因子(出血を止めるため血液を凝固させる作用をもつ)の消費による数値の変化が参考になることがある
・単純レントゲン写真では、小さいこぶの場合は発見が難しい
・エコー検査やCT(コンピュータ断層撮影)は、診断にあたり威力を発揮する

特にエコーは簡単に行うことができる検査です。MRIは見たい方向から切った断面が見られる点で優れていますが、検査するのに時間がかかる、音や狭い空間が苦痛というデメリットはあります(また金属類があるとMRIは検査ができないことがあります)。

腹部大動脈瘤になりやすい人の特徴

まず原因のほとんどが動脈硬化なので動脈硬化を防ぐことが必要です。

【動脈硬化を起こす主な原因】
糖尿病
脂質異常症(高コレステロール血症)
高血圧
高尿酸血症
・喫煙習慣
・肥満
など

また、梅毒などの感染症も腹部大動脈瘤の原因となります。早めの治療が必要です。

【医師からアドバイス】

いったん腹部大動脈瘤になってしまったら、血圧を下げるといった保存的療法を行います。また、最近では血管の中にステントを留置して大動脈瘤が大きく進行するのを防ぐ治療が発展してきています。

(監修:Doctors Me 医師)