日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」とリクルート住まいカンパニー「SUUMO」が、2014年に共同で「理想のキッチン」に関する調査を行った。今回、この調査で判明した要望をぎゅっとつめこんだ「理想のキッチン」が、新浦安に完成。そのキッチンの様子をレポートしよう。
まず、今回の調査に協力してくれた人たちの概要をおさらいしておこう。協力してくれたのはレシピサイト「クックパッド」のメルマガ会員4774人(20歳〜59歳)。ネット上で「現在のキッチンの不満な点」「料理するうえで重視していること」などについて聞いたところ、キッチンへの不満や理想のキッチン像が見えてきた。
注目は、やはりキッチンのスペースの少なさ、収納スペースの狭さ。ただ、持ち家の夫婦共働き世帯に限っていうと、広さ(平均3畳)には満足していることが多いという。一方で、詳細のコメントを見ていくと、不満なのは広さではなく、細かな使い勝手にあるようだ。
例えば、夫婦共働き世帯では6割以上がキッチンにて2人以上で作業することがあると答え、その際の不満として「2人並んで材料を切ったりできない」「子どもがお手伝いしてくれるときに使う踏み台が邪魔」という回答があげられていた。
また、動線以外にも、「キッチン近くにパントリーがほしい」「コンセントが少ない」といった不満が。こうしたキッチンに関する不満を一挙解消し、理想のキッチンをつくってくれたのが、株式会社秀建。今回のキッチンの造作には約200万円、日数にして3週間ほどかかったという。モデル役の筆者とその子どもといっしょに、早速キッチンを見ていこう。
今回、キッチンのデザインを担当してくれたのは、秀建のリフォーム事業部でプランナーをつとめる中島香織さん。既存のキッチンは対面式だったが、リノベーションを行ってアイランドキッチンに変更。2人以上で並んで作業できるよう、通路として80cmを確保。
動線もリビング側からと扉側からの2方向を確保した。これなら調理をする、洗い物をする、食器を出すなどと、複数人が同時で作業しやすい。また、パントリーと壁面収納を設けたため、とにかく収納力がある。
「対面式キッチンで、ながら作業をしたいという要望が多かったので、できるだけリビングと一体感のある設計にしました。TVジャックも用意しているので、小さなモニターをキッチンに設置することもできるんですよ。また収納に関しては、キッチンの近くにたっぷりと、という声を反映して、パントリーと壁面収納にしました」。
中島さんの言葉どおり、引き出しが多く、これでもか! というほど収納があった。また柱がよい目かくしになり、見せる&隠すのバランスが絶妙。これなら、日々、忙しくても「片付いたキッチン」になりそうだ。
また、今回のアンケートで「夫婦共働きのキッチンには調理家電が多い」ということが分かったが、筆者も例に漏れず、調理家電は多め。電子レンジや炊飯器はもちろん、ホームベーカリー、コーヒーメーカー、ハンドミキサーなどを持っているが、肝心のコンセントが足らず、イラっとすることがしばしば。そのため、キッチンでは、2口×4から2口×10に、コンセントを大幅増設。設置場所もパントリー内などと考えられており、思わず「いいなあ、コレ」とつぶやいてしまった。
加えて、印象的だったのは、色と素材使いだ。天板は人造大理石が多いが、今回は木製。パイプスペースにはタイルを貼り、独特の存在感を出している。また、建具表面には「ブルーグレー」を塗装してあるが、今回、特別に指定して、色をつくってもらったのだという。また床材にフロアタイルを使っているが、これは店舗でも使われているもので、サッと拭くだけで汚れがとれるという。
全体に通常にはない配色と素材感で、オシャレ度もアップしているし、何より汚れが目立たなそうだ(ソコか)。料理好きにとって、やっぱりキッチンは特別な場所。こうしたキッチンが増えていったら、毎日の料理がもっと楽しくなるだろうな、そんな取材となった。