同じ日本のマンションに住んでいても、住人の国籍やその文化によって異なる住空間になるもの。
前回レポートではフランス人宅の”エスプリ”を紹介しましたが(https://suumo.jp/journal/2015/03/20/79914/)、今回は六本木に住むアメリカ人のお宅拝見。さて、どんなアメリカ人”らしさ”が見られるでしょうか?
お招きくださったのは、米国のノースカロライナ州政府日本事務所代表:Leland Gaskins(リーランド・ガスキンズ)さんとその妻のCarolyn Gaskins(キャロリン・ガスキンズ)さん夫妻。
「この部屋に住んで4年目ですが、このマンションは8年目になります」。2002年にニューヨークから移ったときには現在より下の11階で、面積も49m2と狭い部屋だったということ。
「このマンションは管理が良く気に入ったので、最初の11階から数年後に最上階の19階へ転居。その後、同じ19階で広いこの部屋が空き、4年前に移りました」
同じマンション内、8年間で3軒目の転居とは!? これはAmericanならでは。より良い住環境を求めて労をいとわない。”住めば都”と少々の不満は我慢、の日本人的感覚では考えられない行動力だ。
「うちのインテリアは全て、彼のコーディネートよ!」と、キャロリンさんがリーランドさんを見る。
「そう、私はインテリア・デザイナーになりたかったくらい好きなのです」
赤いソファはCassina社(デザイナーLissoni)、紫のシェーズロングはligne roset社、メインの黒レザーソファはzanottaと有名ブランドが並ぶ!「よく、家具ショップ巡りをします。海外でオーダーしたり、ネット通販もしますよ。税関手続きやデリバリーが大変ですけどね」と、リーランドさんの”インテリア男子”ぶりは本物だ。
「私たち夫婦はアウトドア派なので、実はあまり家に居ないのよ」、と笑うキャロリンさん。
かなりアクティブなBike-riders(自転車乗り)のようで、「休暇は小田原~名古屋をサイクリングしました。自転車で花の香りを楽しみながら、小さな町を見て回るの」
そんなGaskins邸の広いリビングルームに、テレビは見当たらない。
「家ではくつろぎたいので、リビングにテレビは必要ないわ。DVDで映画を見ることはあるので寝室に小さなテレビはあります」
私も常々、日本の居間に鎮座する必要以上に大きなテレビには違和感を持っている。海外の友人でも、英国人やフランス人のインテリにテレビを家に置かない人が多く、情報に振り回されている日本人との違いを感じていたから。
自転車の旅先で出会った、「Mashiko(益子焼)、Arita(有田焼)。日本の陶磁器は大好きです」お気に入りの陶器がリビング棚に飾られている。
日ごろはほとんど外食生活のお二人だが、知人を招いてのパーティーは多いようで
「11月のサンクスギビング・デイ(※)には20人くらい集まったわ。夏には、東京湾花火大会がここから見えるので子どもたちも大喜びよ」とキャロリンさん。
※サンクスギビング・デイとはアメリカ、カナダの祝日、感謝祭のこと。アメリカは11月の第4木曜日で、土日まで含めて4連休になり、家族が集まって七面鳥などの料理を楽しむ日となっている
そして…ホーム・パーティーを演出する秘密兵器、発見!ナント、リビングルームの天井にミラーボールが回る!!
日本より転職のハードルが低いアメリカ社会。国内でも仕事のために転居するのは日常茶飯事である。新しいコミュニティに移るのに不安はないか?と聞くと「No」と即座に二人が答えた。
「新しい友と出会えることは楽しみ」「米国では昔から、転居者にご近所さんがパイやクッキーを焼いて訪ねる習慣があるのよ」
日本は逆に転居者が手土産持ってあいさつに周ることからも、文化やコミュニティの在り方に違いを感じた。
そしてリーランドさんは、Billy Joel(ビリー・ジョエル)の歌 『You’re My Home』にあるフレーズを口ずさんだ…
“wherever we’re together that’s my home. “ どこであろうと二人一緒なら、そこがマイ・ホーム。