Webが新たな体験を生み出す!学生起業家・トリッピース石田CEOの快進撃を支える『源泉』

学生起業家としても知られる石田言行さん。彼がCEOを務める株式会社trippiece(トリッピース)は、ユーザー発案型の旅行企画サイトというユニークなサービスで多くの支持を集める「trippiece」と、国内最大級の旅行・おでかけに特化したキュレーションサービス「RETRIP」を生み出し、レッドオーシャンと思われる旅行業界において、快進撃を続けている。

社会人経験ゼロでスタートした石田さんを支える『源泉』とは―――。

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石田言行さん/株式会社trippiece 代表取締役社長

1989年東京都生まれ。中央大学商学部商業貿易学科に入学後、大学1年の時に他の学生とともに途上国支援の学生団体「うのあんいっち」を立ち上げる。その活動の中でSNSを通じて旅行参加者を集め、バングラデシュへのツアーを組んだことが転機となり、大学3年の終わりに差し掛かった2011年株式会社trippieceを起業。

Webが生み出す新たな「体験」を追求していく

起業には大きく分けて2通りある。何か立ち上げたいサービスがあり、その方法として起業を選ぶパターンと、元々「起業したい」という意思があり、その上で何をやるかを考えるパターンだ。学生時代に起業した石田さんは、後者だったという。

「中学3年くらいの時に起業に興味を持って、起業しようと考え始めたのは高校生の頃だったと思います。厳密に『これ』というきっかけがあるわけではないのですが、本格的に起業を志すようになったのは大学2年生の頃ですね。当時、周りに起業家を志す学生が多かったことも影響していると思います」

志の近い仲間に恵まれ、ビジネスコンテストに積極的に参加していったという石田さん。しかし必ずしも「旅行」にテーマを絞っていたわけではないという。

「もともと新しい『体験』を作りたい、というのが頭にありました。僕はリアルとの連動というのをテーマの一つに掲げています。検索サービスなどに代表されるように、Webの技術やサービスはどちらかというと利便性を追求していると思うのですが、利便性以外の部分においてももっとできることはあるんじゃないかと。

僕が興味を持っているのは、インターネットというツールが進化したことによって、人がそのツールを使ってどう進化するのか、という点。どういうコミュニケーションが行われるようになり、どんな新しい体験が生まれるのか。そういったコミュニケーションによるエンターテイメントみたいなものを追求していきたいと、僕は思っています」

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8,568通り、あなたはどのタイプ?

「スマホ」という新たなフォーマットが生み出したサービス『RETRIP』

そんな中で生まれたのが新しい旅行体験を提供するサービス「trippiece」だ。ユーザーが自ら行きたい旅の企画をし、賛同する人が集まれば旅行が実現するという、これまでにないユニークなモデル。しかし、新しい取り組みである分、その立ち上げにはかなりの時間がかかった。

「わかっていたことではありますが、『trippiece』はユーザーが自らツアーを企画し、そこに別のユーザーが賛同して初めて企画が成立するという、これまでにないモデル。ユーザー同士の信頼関係を構築していかなければいけない、一種のコミュニティなので、非常に時間がかかるし、難しい。旅行というのは、当然ですがWebだけで完結できるものではなく、現実世界での旅行体験が最大のキモとなるサービスです。すごくシンプルに、Webだけで完結するサービスを作るという選択肢もあったとは思いますが、逆にそこは誰もやっていないからこそ価値があるという考え方でやっています。

『trippiece』は旅行の企画とユーザーを紐づけるプラットフォームの役割を果たすのですが、最初はユーザーもいなければ企画もない状態でした。そんな中で、自分で旅の企画をしたり、友人に使ってもらったりしながらじわじわとユーザーを増やしていきました。

2014年4月にテレビ番組の『ガイアの夜明け』に取り上げられたタイミングで一気にユーザー数が伸びましたが、まだまだこれからです。旅行業界のマーケット規模自体は大きなものなので、じっくりと育てていきたいと思っています」

成功すれば大きな結果がついてくる。しかし時間がかかることもわかっている。そんな中で石田さんが打った次なる一手が旅行に特化したキュレーションサービス「RETRIP」だった。

「ちょうど資金調達ができたタイミングもあって、『RETRIP』をリリースしました。当時『MERY』が大きく伸びている中で、スマホというフォーマットに最適化された旅行メディアが存在しておらず、今なら勝てる領域だと確信がありました。

また『trippiece』というコンバージョン先も同時に保有しているので、ユーザーの『行きたい』を喚起し、ニーズを創りだして、それがトリッピースで企画につながっていく。そんな世界が創れるんじゃないかと当初は考えたんです」

2014年6月にリリースした「RETRIP」は、ソーシャルメディアからの集客を軸として、1年後の2015年7月には国内最大級の旅行サービスにまで急成長を遂げた。しかし今はあえて、両サイトの連携をはかっていないという。

「『RETRIP』は独立で運営しています。当初は、『RETRIP』をメディアとして位置づけをしていたのですが、成長するに連れてメディアではなくサービスとして成長を加速させようという意思決定に至ったのです。一般の投稿者が予想以上に右肩上がりで伸びてきため、trippieceのオウンドメディアのような位置づけではなく偏らないように運営をしてきました。

RETRIPはビジネス的に、広告収入はある程度計算できるよさがあるのですが、メディアとして捉えて広告だけだと年間1億~2億、伸びて4~5億程度です。あくまで旅行・おでかけ×スマホ領域のトラフィックを集め、送客につなげていくことが出来れば何倍、何十倍の規模にすることが出来ると考えています。

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8,568通り、あなたはどのタイプ?

かっこいいと思える道を進むことこそが『源泉』

最初は1人で立ち上げた会社も、気づけばアルバイトを含めて数十人の規模にまで成長。ある程度任せられる社員も多くなってきた中で石田さんが感じているのは、「どういうCEOを目指すか」という自身の課題。若く、それも学生時代に起業という選択肢を選んだ石田さんは、先輩経営者と比べて圧倒的に経験値が少ない。その中で、石田さん曰く「社員に迷惑をかけながら」、自分のやり方・あり方を模索しているのだそうだ。

学生起業という選択肢を選んだ以上、社会人経験がないという課題は常につきまとう。そのことをコンプレックスに感じることはなかったのだろうか。

「社会人経験が少ないことに対するコンプレックスはありません。ただ、個人的にフレームワークへの落とし込みが弱いと感じていて、そういった自分の弱みを痛感したときなどは、社会人経験があると違うのかな、なんて思うこともあります。あとは強いて言うなら、同期という『仲間』がいることを、うらやましく感じることはありますけどね。

とはいえ、今いる場所は自分が選んだ環境、自分が作ってきた環境なので、そこに文句を言っても仕方ない。結局自分で環境を作っていくしかないんです」

仲間―――。

石田さんの中でその言葉は、かなり重要なキーワードになっているという。

「高校時代に打ち込んでいたバドミントンは、サッカーや野球と比べるとマイナーで、なかなか仲間が集まらなかったり、ライバルがいなかったりして、結局続けることができなかった。今振り返れば、そんな中でもできることはもっとあったと思いますが、当時は環境のせいにしてしまっていました。

一方で大学に入って始めたNPOの活動は、優秀な仲間に囲まれてすごく楽しかった。何かに100%になれている自分がいた。そうした経験から、仲間の重要性を強く意識するようになりました」

「同期」のような仲間を求めるなら新卒でどこかの会社に入った方が早いように思える。それでも学生起業を選んだ理由は何か、改めて問いかけてみた。

「自分が好きなことをやっていないと、自分の好きな仲間は集まってこないと思うんです。これは結果論でしかないのですが、僕は当時それを声高に叫びたかった。だから起業したところもあります。まぁ、かっこつけたかったのかもしれませんね(笑)

実は学生時代、一社だけ、大手広告代理店から内定をもらいました。その会社は昔から行きたい会社だったので、すごく嬉しかったのですが、やっぱり自分がかっこいいと思える道を選ぼう、と。そうじゃないと後悔する、と思ったんです。

一方で、あんまり難しく考えていたら、起業ってできないとも思うんですよ。当時も学生起業はたいていうまくいかないと言われていましたが、それで命を落としたっていう話も聞かない。死ぬわけではないのなら、怖気づかずにやってみようと思いました(笑)

たとえ今失敗したとしても、サービスをゼロから立ち上げる経験をしてきた人材って、そんなに多くないと思うので、きっと何とかなるだろうと。決してそれを保険に感じているわけではないですが、とにかく失敗を恐れず、自分が自分をかっこいいと思える道を選びました。

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そうやって取り組んで生まれたサービスが、現在ユーザーから支持してもらえていることで『いいサービスを作っているんだ』という自負になっています。自分の選んだ道を、自分の手でかっこいいものにできるという実感が、僕を支える『源泉』なのだと思います」

新しい『体験』を作りたい、そういって学生起業した石田さん。トリッピースが快進撃を続けているのは、まさにその新しい『体験』がユーザーに受け入れられていることの証だといえる。そして、ユーザーに受け入れられているという、その喜びを源泉に、さらなる新しい『体験』を生み出していく。好循環に入ったトリッピースの快進撃は、まだまだ続きそうだ。

監修:リクナビネクストジャーナル編集部

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