香港の大富豪、李嘉誠・長江実業グループ会長は中国四川省成都と広東省にある同グループ傘下のスーパーマーケットチェーン店「百佳超市」の計7店舗の営業を3月末で停止することを決めた。李氏はすでに中国内の4か所の大型複合施設を売却するなど中国離れを強めており、中国内で批判を受けている。
その一方で、事業拡大を目指している英国における携帯電話会社買収について、英当局が難色を示すなど、事業展開が難しい局面にさしかかっている。
中国紙「証券日報」などによると、百佳超市の中国地区幹部は店舗閉鎖の理由について、店舗の賃貸契約が満了したことや大幅な賃貸料値上げなどのコスト高を挙げている。
同社はこれによって成都市内の6店舗のうち、5店舗の閉店に踏み切り、残る1店舗も将来的に営業を停止する見通しだ。これに先立ち、上海では2012年に21店舗すべてを閉鎖している。
長江実業グループは近年、中国市場からの離脱を進めており、2014年8月以来、広州や上海に所有していた少なくとも4つの大型物件を次々と手放している。
このような李嘉誠氏の中国離れの動きについて、中国国営新華社通信は昨年9月以来、李氏を批判するキャンペーンを展開。李氏の中国資産売却の動きが現在の中国経済の停滞に拍車をかけているとの中国側の懸念が背景にあるとみられる。
その一方で、長江実業グループは欧州でのM&A(合併・買収)を加速しているが、英国での携帯電話会社買収について、英国の規制当局は「通信料の値上げなど消費者に不利益をもたらす可能性も否定できない」として、買収に待ったをかけており、欧州での事業展開に黄信号がともり始めた。
香港メディアは「中国と英国でのビジネス展開の停滞によって、李嘉誠氏のスーパーマン伝説に陰りが出ているのは明らかだ」などと指摘している。