スマホを使う前に…
「子どもの発達に何がいちばんいいのか」に立ち返って

2015.10.02

ミキハウス編集部

スマートフォン、タブレットと子育てについて、アンケート結果専門家の意見をお伝えしてきましたが、今回はその3回目。“スマホを使うことで子どもの体と心への影響はあるの?”というママたちの疑問を解消するべく、小児科医にお話を聞いてきました。

答えてくれたのは、長年子どもとメディアの関係について警鐘を鳴らしてきた2つの組織、NPO法人「子どもとメディア」(福岡・福岡市)と「日本小児科医会」(東京・新宿区)に所属する、佐藤和夫先生です。

 

ブルーライトは日内リズムを崩す原因に

「子どものスマホ利用に関する調査」では、子どもにスマホやタブレットを使わせたことのある人が6割というのは多いですよね。ウェブアンケートなので、普段からよくインターネットを使う人が答えていて、数字が高めに出たということはあるかもしれません。けれど、時代的に増えているのは間違いないと思います。

では、アンケートで多くのお母さんが心配されていた、子どもの心身への影響についてお答えしていきましょう。

まず電磁波について。スマホではなく、フィーチャーフォンの時代に、耳に当てて使うと聴神経腫瘍が増える可能性があることが示唆され、ヨーロッパでは耳の近くで子どもに携帯電話を使わせないようにという勧告が出ています。小さい頃は聴覚をつかさどる神経細胞が発達する段階なので、大人の僕らより影響が大きいということは否定できません。電磁波のことをものすごく恐れる必要はありませんが、注意しなくてはなりません。

ブルーライトに関しては、日内リズムと関連が深い問題です。朝、人間は体温がゆっくり上がって覚醒して、日中活動し、夜になって眠ります。太陽にリズムがあるように、人間の体内のホルモンや体温にもサインカーブがあるのです。昼は覚醒するホルモンが出て、夜になって暗くなるとメラトニンというホルモンが出る。また、成長ホルモンも夜出るんですね。これを日内リズムといいますが、ブルーライトはこのリズムを崩す原因になります。光は本来、体を起こすための刺激だからです。たとえば、アメリカなど時差のあるところに行くと調子が悪くなり、いわゆる“時差ぼけ”状態になりますが、これが日常生活で起こっているのと同じ。夜、光を浴びていつまでも起きていると、翌朝起きられないし、きついし、フラフラするし、注意力が散漫になります。女性の場合は、ひどいときには生理の不調がきたりもします。

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生まれたばかりの赤ちゃんは、日中でも寝たり起きたりしているのが普通ですが、半年、1年とたつと、だんだん朝の光を浴びて起きて、夜暗くなって寝るというリズムが確立してきます。だから、乳幼児期の子どもが夜寝る前にスマホの光を見ることは、せっかくできてきた日内リズムを崩していくことになってしまうのです。

僕は、1か月健診のときにこういっています。「今まであまり昼夜がなかったかもしれないけど、赤ちゃんは、これから少しずつ昼は昼らしく、夜は夜らしくなっていきます。昼間の明るいときにたくさん親子でかかわりあいましょう。そして、夜は授乳がすんだら暗く静かにして、寝かしつけましょう。たとえお父さんが夜11時くらいに帰ってきても、それから遊ぶのではなく、休日などできるだけ昼間に多くの時間かかわってもらうようにしてください」と。

1歳くらいだと、夜長く寝てくれるお子さんと、夜中に何度も目を覚ますお子さんがいると思うのですが、これも生育環境によるところが大きいでしょうね。赤ちゃん自身の個人差のように思っている方もいるかもしれませんが、その家族の生活リズムが大きくかかわってきます。ふだんはなかなか寝てくれない子でも、早起きをさせて、昼に一生懸命、キャッキャッと声をあげて喜んで体を使ってたくさん遊んだら、その日の夜はコトンと寝てくれます。

次のページ 15歳まで子どもの目は発展途上 とくに乳幼児期は注意を

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