本当のリファラルリクルーティングとは?––「縁故」を活かして転職・キャリア採用をスムーズに

本当のリファラルリクルーティングとは?––「縁故」を活かして転職・キャリア採用をスムーズに

そめひこ

そめひこ

こんにちは、人事部長のそめひこです。

突然ですが、「リファラルリクルーティング」という言葉をご存知でしょうか?

LIGは現在、LIGブログやPoole・Wantedlyなどの求人媒体での応募とダイレクトリクルーティングを活用しつつ、今期からは「リファラルリクルーティング」も導入して、優秀な人材との採用の機会をつくっています。

▼実録!LIGのリファラルリクルーティング

後ほど詳しく説明しますが、リファラルリクルーティングとは一言で「縁故採用(友達紹介採用)」のこと。

LIGがプロデュースした長野県にあるゲストハウスの支配人の堀田は、実は僕の高校時代の友人で、LIGにぜひ来てほしい!と誘ってジョインしてもらいました。そういった縁故採用は昔からありますが、今改めて注目されている採用手法のひとつです。

知れば知るほど、奥が深い……。今回はそんなリファラルリクルーティングについて、詳しく紹介していければと思います!

採用プロセスの課題

「採用」というのは、企業にとっても、応募者にとっても、一大イベントです。でも、そのプロセスにはいつも悩みがつきません。
まずは、プロセスでの悩みを企業側の悩み、転職者側の悩みとに分けて整理し、採用プロセスの課題を明らかにしていきたいと思います。

企業側の悩み

企業側が抱える悩みには大きくは2つあるかと思います。それは「募集・選考のコストとリスク」と「早期離職の不安」です。

募集・選考のコストとリスク

「人ひとり雇うのだから当たり前」かもしれませんが、実に多大なコストとリスクがあります。
まず、求人広告の掲載などの「経済的コスト・リスク」です。一般的に、求人広告1本を2週間のあいだ転職サイトなどに掲載するだけで数十万〜百ウン万円というお金がかかりますし、加えて、期間内に人材と出会えなかった、というリスクが付きまといます。

もうひとつは「選考にかかる時間的コスト」です。
企業にとっては、応募者がそもそも会社の雰囲気に合う方かどうかを見極めることが極めて重要な作業になります。ただ、ひとりあたりの選考にあまりに長い時間はかけられません。かといって「時間がない」と労力を省き、ミスマッチが生まれてしまうと本末転倒です。

早期離職の不安

最後は「早期離職の不安」です。希望の人材を採用できたとしても、すぐに辞めてしまっては大損失です。
採用に至ったからといって人材が会社に“定着”したわけではありません。企業としてはしっかりと定着してもらうようフォローアップしなければいけません。

以上のように採用プロセスで、企業側は「募集・選考のコストとリスク」「早期離職の不安」という大きく2つの悩みを抱えています。では、次に応募者の立場で考えてみましょう。

応募者側の悩み

自分が採用する側に立って思いますが、「企業が応募者側の気持ちをどこまで考えて採用活動を行っているか」というところでその企業の「人」に対する姿勢が問われているかと思います。企業理念に「“誰と”働くか」という理念を置いているLIGとしても決して忘れてはならないところです。

応募者側の立場で感じるのは「企業文化とのミスマッチの不安」です。
「企業文化」というのは入社してある程度働くまでは非常にわかりづらいものです。入社前の面接で質問をしたり、オフィス見学をしたりすれば少しは感じられるかもしれないですが、採用プロセスの段階では大変わかりづらいものです。入ってから定着するまで不安は拭えません。

ここまで、おおまかですが悩みを整理してみました。個人的には、あらためて、採用する上で大切にしたいところを言葉にできた気がします。この整理を踏まえつつ、今日紹介したいのが「リファラルリクルーティング」という採用手法です。

古くて新しい採用方法「リファラルリクルーティング」とは?

「縁故」採用の新しい形

「リファラルリクルーティング」とは、社内外の信頼できる人脈を介した「紹介・推薦」による採用活動のことです。リファラル(referral)は「委託、紹介、推薦」といった意味で、具体的には自社の経営者や優秀な社員からの紹介、外部の専門家や著名人からの推薦などを指します。最近では、自社サービスの顧客やファンからの紹介から採用に至るケースも増えてきました。
近年のソーシャルメディアの発達もあり、既存の採用チャネルに頼らない「人づて」の採用活動の利便性・効率性は飛躍的に進化しています。

「人づて」というところで「縁故採用」や「コネ採用」と似ているようにも思われますが「ねらい」が大きく異なります。日本で「縁故採用」というと、企業の幹部や取引先の親族の就職の世話を頼まれ、仕方なく採用基準を満たさない人材を採るというネガティブイメージですよね。ですが、米国で主流の採用手法として定着している「リファラルリクルーティング」は、あくまでも採用候補者に基準以上の質を求め、そのために社員の人脈を積極的に活用します。あの人からの紹介なら間違いない!ーーそのような「つながりによる信頼」によって人材の質を保証しているのです。

米国での導入動向

先ほど、米国で主流の採用手法として定着している、と言いましたが、米国では、実に7割近くの企業が従業員採用にリファラルリクルーティングを活用しているようです。
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米国でのリファラル採用手法の利用率は69.1%。

また、最も採用者の多い採用経路もリファラルです。
オープンでフェアなことを重視するアメリカの企業文化を考えれば、リファラルがいわゆるコネと似て非なるものであることはこのデータから明らかかと思います。
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リファラルリクルーティングのメリット

では、具体的にはどのような利点があるのか。メリットは大きく4つあります。

メリット1:マッチングの向上

社員は、自社の社風や仕事で高いパフォーマンスを発揮するために何が求められているか、をよく理解していますし、紹介者の多くは、マッチしない候補者を紹介し、自分の評判が損なわれるのを懸念するため、候補者をしっかりと人選します。そのため、転職先にマッチする可能性が高い人材の紹介がされやすいのです。
実態調査でも、企業の約70%がリファラル経由の採用者はほかの手段よりも適正が高い、と回答しています。
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メリット2:ニッチなスキルを持つ人材の確保

「類は友を呼ぶ」と言いますが、優秀な人材の知り合いには優秀な人が、ニッチなスキルを持った人にはニッチなスキルを持った人がそばにいることがしばしばです。優秀な人材が欲しいなら、自社にいる優秀な人材にお願いしましょう。「求人広告」といった採用手段では発掘しにくい潜在層にリーチできるはずです。
ある導入事例では、それまで1年以上募集を続けて一人も採れなかった非常にニッチな職種の募集が、リファラル制度を導入してからは1ヶ月で10人以上の採用に取り付ける結果になりました

メリット3:定着率のアップ

優秀な人材の採用に至ったしても、企業文化とのミスマッチが起こった場合、早期離職のリスクが残ります。ですがリファラルを使うと企業も新規採用者と信頼関係を築きやすく、新規採用者も社内に知り合いがいれば、比較的早く新しい職場に馴染むことができます。

入社をしてから定着して活躍するまでの一連の流れを「オンボーディング(On Boarding)」と呼びますが、ある研究では、知人がいる状態で入社するのと、全くいない状態で入社するのにはオンボーディングや早期解雇・離職率に大幅な差が出ることが明らかになっています。

メリット4:採用コストの削減

想像に難くはありませんが、採用にかかるコストが削減されます。
リファラル採用のメリットに関する調査では、対象の企業全体の51.2%が「採用コストの削減」をメリットとして挙げています。事例としては、アクセンチュアがリファラルリクルーティングシステムの導入によって約70万ドルのコスト削減を実現しています。
また、候補者に対しての信頼性は紹介者への信頼を介して確保しているので、書類選考や人材の適性を入念に判断する手間(時間的コスト)を省くこともできます

デメリットも両面みて

こう見るといいことづくめですが、デメリットも少なからずあります。入社のきっかけとなった紹介者が退職した場合、転職者のモチベーションや生産性が低下したり、最悪の場合退職してしまう可能性があったり、紹介ボーナスの受け取りに対して罪悪感を感じる方もいるようです。

ですが、どんな物事もいいことばかりではないでしょう。だからこそ、きちんといいもわるいも両面理解した上での導入を検討することがスマートかと思います。

日本での導入に向けてーー社員の協力を得てリファラルを最適化しよう

リクルートキャリアの独自調査によると、リファラルリクルーティング採用は、日系企業で10%程度、外資系企業で20%程度の採用シェアを占めています。
 「これまで以上に質の高い採用にこだわりたい
 「採用コストを下げつつ、採用の質を上げたい
 というニーズの高まりから、今後ますますリファラルリクルーティングの採用シェアが増えていくことが予想されます。
 ただ、実際に「導入しよう!」と思ったとき、ひとつ気をつけないといけないことがあります。それは、ただリファラル制度を導入したとしてもうまくいくとは限らない、ということです。要因は「社員の協力度」にあります。成功のためには、社員の協力度を高める必要があるのです。

社員の協力を募ろうとすぐに思い浮かぶアイデアは「紹介の金銭的インセンティブを強めること」です。ただ、米国では、1600ドルを超える金額のインセンティブは逆に協力度が下がるという報告があります。
人間はそんなに単純ではないのです。でも、そこが、この仕事の大変だけどおもしろいところかと思います。

自社の規模、経営基盤、社風などをしっかり鑑みた上でさまざまな形で社員の協力度を高め、システムを最適化していくことが重要です。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
あらためてになりますが、「リファラルリクルーティング」は、あくまでも「採用候補者に基準以上の質を求めた上で、人脈を積極的に活用する採用手法」です。

LIGでも「そめひこカード」を活用したリファラル採用を導入しています。正直なところ、「自社の社員協力度はどうだろうか?」「より社員協力度を高めていくにはどうすればいいのか?」など悩みや課題はつきませんが、今後とも様々な社員協力度を上げる実践事例やナレッジを共有しながら、改良していきたいと思っています。

そして、僕と同じような悩みをお持ちの方には、リファラル採用についてのナレッジを共有するコミュニティ「リファラボ」をオススメします。

「リファラル採用」を学び合うコミュニティ「リファラボ」

「リファラボ」は、株式会社リクルートキャリアが主催するリファラル採用についてのナレッジを人事同士でシェアし合う、Facebookグループベースのオンライン/オフラインコミュニティです。

リフクル

リファラボでは、「リファラル採用」に関する勉強会・交流会を月1~2回ペースで実施しており、導入のコツや最新の導入事例などのナレッジを共有し、採用課題などを相談し合うことができます。
「自社」では日々実践し、「リファラボ」ではその試みとナレッジを共有お互い共有し合っていくことで、導入したリファラル制度の最適化を目指します。

もし、リファラル採用に関心のある方やすでに導入されている方はぜひ足を運んでみてください。
「LIGの導入事例」についてもぜひ、共有させていただきたいと思います。
いかに社員の協力を促し、リファラルリクルーティングを盛り上げるかについて、リファラボにて一緒に考えましょう。

それでは、また!

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そめひこと申します。京都で生まれ、京都で育ちました。母の名は直子、父の名前は明でございます。LIGに来る前は藍染師として生きていました。京都の四富会館二階にあるBAR「アイエン」が大好きです。

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