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連載元編集長の鎌倉古民家リノベ移住
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長井純子
2016年3月4日 (金)

古民家リノベ[4] 毎日使うものだからこだわりたい 設備選びのコツ

古民家リノベ[4] 毎日使うものだからこだわりたい 設備選びのコツ
(写真撮影/片山貴博)
プランが決まったら、設備選び。大規模リノベーションなので、注文住宅を建てるのとほぼ同様の多種多様の設備を短期間で選ぶ。使い勝手良く、デザイン良く、かつお値段もリーズナブルに。キッチンだけで4社7回、照明4社6回など、ショールームにも通い詰めて自分好みの設備を探した。
●連載「元編集長の鎌倉古民家リノベ移住」
10誌以上の住宅情報誌の編集長を経験してきた筆者が、都内マンション暮らしから鎌倉の築90年古民家への移住を決意。物件との出会い、リノベーションのパートナー探し、プランの検討、コストダウン方法など実体験に基づくノウハウや失敗談を含めた本音を7回連載でお伝えします。

自分好みの素材感や微妙な色味は実物じゃないと分からない

設備は、まず概算コストやプランに直結するキッチンやバスなどの大物から決めていく。数も多いので、専門誌を見て資料請求したり、リフォーム会社のオススメを聞いたり。当たり前だが、性能やデザインが良いものは高く、安いものはそれなり。上を見るとキリがないので、特にこだわりのある設備以外は「シンプルで基本性能がきちんとした中クラスの商品」で概算見積もりと提案をお願いした。

いくら良い物でも、全て「上」の設備でそろえては大幅予算オーバー。良い物がたくさんあるのも知っているが、見てしまうとグレートを下げるという判断はしにくいものだ。まずは中クラスの商品の中で、リフォーム会社のオススメを聞いたうえで、サンプルがあれば見せてもらい、ない場合は取り寄せる。

【画像1】左:設備の情報収集をしたときに集めた資料のごく一部。カタログで気に入ったものはショールームで実物を見たり、実物見本を取り寄せたりして、さらに具体的検討を進める。右:わが家で採用したアンティーク加工されたフローリングの見本。小さな見本なので、これが床一面に敷き詰められている光景は想像力をフル活用しなければならない(写真撮影/長井純子)

【画像1】左:設備の情報収集をしたときに集めた資料のごく一部。カタログで気に入ったものはショールームで実物を見たり、実物見本を取り寄せたりして、さらに具体的検討を進める。右:わが家で採用したアンティーク加工されたフローリングの見本。小さな見本なので、これが床一面に敷き詰められている光景は想像力をフル活用しなければならない(写真撮影/長井純子)

しかし、見本はあくまで見本、実物に勝るものはない。実物を見て触れて使い勝手なども確認できるショールームがある商品は、是非足を運んで選んでほしい。自分自身がこれから毎日目にしたり触れたりして使うものだし、選択肢も沢山ある。発色がイメージ通りか、素材感は安っぽくないか、レバーやハンドルなどを使ったときの感触は……。実物を確認するために、短期間で何回ショールームを訪れたか分からない。そして発見も沢山あった。

日進月歩の住宅設備。ショールームはまさに情報の宝庫

驚いたのは、設備機器やショールームの機能の進化。元住宅誌編集長という仕事柄と2回のリノベーション体験で、ある程度の設備事情は把握しているつもりだった。それが、想像を上回る選択肢が出現していたのはうれしい誤算。

例えばキッチンでは、機能が進化していてふらりと空いた時間にショールームを見ても、工夫の数々を把握しきれた自信がない。照明では、この2年間でLED対応の洒落たデザインのものが格段に増えた。カーテンもさまざまな種類や機能があり、お値段もピンキリ。アピールポイントを分かりやすく見せ、選びやすくする展示面の工夫も増えていた。

しかし、ショールームは土日はもちろん、平日の昼間でも混んでいた。商品も機能も多様すぎて、一人ではどこを見たらいいか分からないし、見落としもある。その結果、同じショールームに3回行くことになった私の体験からオススメなのは、事前にカタログなどを取り寄せ予習して見学ポイントを絞り、可能な限り予約をして行くこと。たいてい予約すると担当アドバイザーがつき、最新機能の説明や質問に答えてもらえるので商品理解が深まる。間取図を持っていくと、プラン提案や見積もりをしてくれるサービスもある。設備導入後の気になるお手入れアドバイスなど、豆知識も仕入れることができた。アドバイザーがいれば、同じ所要時間でも情報量は確実に3倍以上だ。

実際の検討プロセスを、スムーズに決まったシステムバスの例で紹介しよう。 元の浴室は現場でタイルやバスタブを工事する、昔ながらの在来工法だった。これが寒いし水漏れで下の土台までも傷んでいたため、今回は浴室の床・壁・天井・バスタブなどが防水性の高い素材であらかじめユニット化されているシステムバスを選んだ。

システムバスは、バスタブも含めて全てセットのほぼ完成形になっているので、ショールームで見た空間そのままが自分の家にスッポリ入ると思えばいい。リフォーム会社にオススメされた商品は実家でも使っているシリーズで、カタログで確認したところ、サイズも機能も条件に合い、好みの色もありそうだった。ショールームで実物を見て、好みの清潔感ある色合いで、お手入れも楽そうな良い素材だと確認できたので、即決。更に、水まわりの窓枠は白にした方がより爽やかに見える、など実際にショールームで得た情報も取り入れた。

【画像2】お風呂のビフォーアフター。在来工法(現場施工)で寒かったお風呂が、暖かく機能的なシステムバスに。清潔感ある白とブルーが好みだったが、ガラスタイル風の壁が安っぽくないかをショールームで見て、触れて確認。サッシは白にした(写真撮影/長井純子)

【画像2】お風呂のビフォーアフター。在来工法(現場施工)で寒かったお風呂が、暖かく機能的なシステムバスに。清潔感ある白とブルーが好みだったが、ガラスタイル風の壁が安っぽくないかをショールームで見て、触れて確認。サッシは白にした(写真撮影/長井純子)

こだわったのは、毎日使うキッチンと来客も使うサニタリー

設備の中で特にこだわったものをあげると、まずはキッチン。毎日の料理を気持ちよくするために、また「宴会仕様の家」がテーマだったので、来客時にも対応しやすいように。キッチン自体もできるだけ大きなサイズに、収納も必要、食器洗浄乾燥器もビルトイン、冷蔵庫も大型に、など限られたスペースの取り合いで間取りプランもキッチン商品も二転三転。いくつもキッチンを検討した結果、セミオープンのキッチンスペースに、オフホワイトの木目でシンプルかつ機能的で美しいL型キッチンが収まった。難産だった分、とても気に入っている。

次にこだわったのは、来客も使うサニタリースペース。空間を広く使うため洗面とトイレを一体化させ、リビングから直接出入りするので、機能性だけでなく、インテリアコーディネートにも配慮した。トイレはシンプルに、洗面はホテルライクに、古い建具を利用したサニタリーの入り口ドアとマッチするデザインに。バラバラのものを組み合わせるのは手間もかかるけど楽しみでもあった。

【画像3】左:限られたスペースながら来客時に便利な食器洗浄機も収納も充実したキッチン。使い勝手良く、シンプルで美しく、大満足。右:来客も使うサニタリースペースはホテルライクに。古い建具のドアと洗面台のデザインイメージを合わせるなど見た目にもこだわった(写真撮影/片山貴博)

【画像3】左:限られたスペースながら来客時に便利な食器洗浄機も収納も充実したキッチン。使い勝手良く、シンプルで美しく、大満足。右:来客も使うサニタリースペースはホテルライクに。古い建具のドアと洗面台のデザインイメージを合わせるなど見た目にもこだわった(写真撮影/片山貴博)

このように、床材、壁材、サッシ、照明、カーテン、などひとつひとつ紹介し始めたらきりがないくらい設備の種類は多く、大変だけど選び甲斐がある。手間をかけた分、完成時に全てが一体化した空間を目にしたときは感動的ですらあった。こだわりも人それぞれだが、使うのは自分。せっかく選ぶチャンスがあるなら、自分好みの納得の設備を見つけて欲しい。

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連載 元編集長の鎌倉古民家リノベ移住 10誌以上の住宅情報誌の編集長を経験してきた筆者。都内マンション暮らしから鎌倉の築90年古民家へ移住するまでのノウハウや失敗談を7回連載でお伝えします。
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