裁判長、国姿勢を疑問視 不服審査併用、理由求める 代執行訴訟第2回弁論


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐり、翁長雄志知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めて国土交通相が提起した代執行訴訟の第2回口頭弁論が8日午後2時から、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。国が行政不服審査制度を利用したのに加えて代執行訴訟も提起した理由について、多見谷裁判長は国側の姿勢を疑問視し、次回までに詳細に説明するよう求めた。多見谷裁判長は「防衛局長も国交相も行政主体としては国だし、行政組織としても内閣の一体の下にある。簡単に『行政不服審査は関係ない』という話にならない」と述べた。

 また多見谷裁判長は県側が出した「国が言う危険の除去策としての普天間飛行場閉鎖は、新基地の運用開始後か」「新基地の運用開始時期は現時点でいつごろと想定しているか」の質問について、国側に回答するよう求めた。
 県側弁護団によると、裁判所は口頭弁論後の進行協議の中で、翁長雄志知事や稲嶺進名護市長ら本人・証人尋問の採否について、29日の第3回口頭弁論で決定する見通しを明らかにした。
 第2回弁論で、国側は「代執行訴訟は提訴から15日以内に主張・立証を終え、裁判所に判断してもらうものだ。国として証人尋問は不要と考えるので、次回で弁論を終結すべきだ」と早期結審を求めた。県側は「国は訴状の中で初めて、県知事の承認取り消しに対する法令違反の内容に言及してきた。審理は必要な範囲で十分にやるべきだ」と反論した。
 国側は、裁判所が追加書面の提出期限とした12月28日より後の1月7日に県が提出した書面の扱いについて「代執行訴訟の趣旨を踏みにじるものになりかねない。準備書面は陳述(採用)しないという毅然(きぜん)とした訴訟指揮をお願いしたい」と主張した。県側は「国は12月28日に提出した書面で初めて海兵隊の問題に関する具体的な反論を行った。私たちとしては再反論しないということはできない」と反発した。県が7日に提出した書面の採用可否について、裁判所は29日に決定する。