「うれしい」「選挙目当て」 消費増税再延期に県民は…


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 安倍晋三首相が1日、消費増税を2年半延期することを表明した。県民からは「不景気で増税したら大変だ」と延期を歓迎する声がある一方、「先延ばしに意味はない」「選挙目当て」などの批判もあった。増税そのものに反対する意見も聞かれた。

 那覇市の牧志公設市場で衣料品店を営む比嘉シズ子さん(74)=那覇市=は「こんな不景気で消費税を上げたら大変だ。延期はうれしい」と歓迎する。最近は衣料品も売れ行きが良くないといい、「消費税が上がると生活できない人も多い。このまま引き上げないでほしい」と求めた。

 一方でこの時期の再延期表明に「選挙目当てでは」と推測するのは津波古政紀さん(30)=那覇市、店舗経営。「前は『次は延期しない』と言っていた。何を言っても後で変わるんじゃないかと思ってしまう」と不信感を示した。

 糸満市の畑で作業していた金城英雄さん(85)=同市、農業=は「農家の手取りにも影響するので(先送りは)ひとまず安心だ。増税はなるべくないほうがいい」と語った。

 北中城村でパン屋を経営する玉城昇さん(64)は「消費税が10%になったら材料費も上がり、経営も大変だ」と延期を評価。一方で社会保障の財源については「富裕層から取る所得税から充てるべきで、累進課税制を見直してほしい。円安で格差が広がっているように感じる」と語った。

 「生活に負担がかかるので、できれば上げない方がいい」と胸をなで下ろしたのは、東村で農業用水をくんでいたパイン農家の稲福恭彦さん(55)。一方で母親がデイサービスに週2回通っていると言い「社会保障の面はしっかりやってほしい」と求めた。

 沖縄市中央のかばん・小物販売「たじま屋」で仕入れ品の整理をしていた浦崎初美さん(51)=沖縄市=は「経営にとってはよかった。8%に増税した時も駆け込み需要や反動減で売り上げに落差があったので、なければその分安定する」と安堵(あんど)した表情を見せた。