1614年、徳川幕府が豊臣家を攻めてはじまったのが、大坂冬の陣。「真田丸」とは、このとき大坂城にたてこもる豊臣方の防御陣地として真田幸村が築いた戦国時代最強最後の砦である。ドラマでは「真田丸」で徳川勢を迎え撃った真田幸村の半生が、小さな家族船「真田丸」の航海にも例えて描かれるというから楽しみだ。まだドラマはスタートしていないのだが、真田丸のことをよく知るために、現地を歩いてみたい。
強大な砦「真田丸」の正確な場所は諸説あるようだが、大阪市天王寺区には現代も「真田山」という地名があり、近辺には真田丸の痕跡とされるものがいくつも残っている。有名なのが三光神社の「真田の抜け穴」。大坂城と真田丸を地下で結ぶ秘密の通路があったとされ、その入り口が神社内に残っている。三光神社から、真田丸の痕跡を巡ってみよう。
こうしてみると、「真田丸」が存在したとされるエリアは、現在は小高い丘を中心にして神社仏閣、公共施設、公園、そして学校施設などが集まる場所である。とても静かで、道を歩くと自然に背筋が伸びるような清々しさも感じた。400年前に兵たちが戦いを繰りひろげた跡は、土地の記憶を受け継ぎながら、現在は人を育んでいく場へと姿を変えている。この姿は将来も変わらず、静謐なたたずまいを保ち続けていく場なのだと思う。
一方、真田山の周辺には家々やビル、マンションが建ち並ぶ「大阪の街」が広がっており「真田丸」の当時からは大きく姿を変えている。玉造駅前にはアーケード型の商店街「日之出通商店街」がにぎわいをみせており、路地に入ると真新しい一戸建ても見られる都市型の住宅地でもある。
真田山の北側には大阪城を護る堀跡とされる「空堀通」が東西にのび、西へ向かうと「からほり商店街」へとつながる。このあたりは戦災にもあわなかった古くからの町屋が残り、リノベーションされて飲食店やカフェなどに生まれ変わった建物もある。また、真田山を南へ向かうと鶴橋にも近い。多くの焼肉店をはじめ、さまざまな店が軒を連ねる、とても元気な街だ。
今回歩いてきた真田丸周辺はJR環状線の内側で、東西には何本もの地下鉄路線が通っている利便性の高いエリア。“住む”ことを考えてみると、いろいろなスタイルで生活を楽しめる場所でもある。真田山の住居表示エリアでは30m2の1LDKが6万円前後、50m2の2LDKが8万円台、60m2の3LDKで10万円台からとバリエーションも豊富、賃料もそれほど高くない。物件名に「真田山」がつく新築分譲マンションもあり、2LDK70m2弱で約4500万円、3LDK75m2で5000万円後半だ(2015年10月現在・価格は随時更新)。シングルからファミリーまで、暮らしにあわせた物件選択もできるだろう。
ドラマをきっかけにして、知らなかった街の歴史や文化を調べる街歩きは、とても楽しいもの。思わぬ発見や出会いもあり、知的好奇心を満たす旅でもある。そこで興味を持った街で暮らしてみる……、そんな選択もあっていいだろう。ドラマと歴史に興味を持ったなら、「真田丸」を歩いてみることをお勧めする。