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蟲ふるう夜に ラストワンマンライブ【pupation】インタビュー
「蟲ふるう夜に、終了」の真相=解散。
覚悟を決めた先に見えた世界。
思い通りにいかない現実に翻弄されながらも、まるでドでかい光の塊のような音楽を必死に叩きつけてくるロックバンド 蟲ふるう夜に。バンドとしての活動を終了し、プロジェクトへと移行するというニュースが結成8周年を迎えた2015年11月28日に発表され、その理由や経緯がトークイベントで語られた。が、メンバー4人はプロジェクト以降後も共に音楽を奏で続けるのか、mushifuru projectでは一体どんな活動をしていくのか。ファンが最も気にしていたであろう終了と移行の真相は明言されず。
このまま我々は2/6ラストワンマンライブ【pupation】を迎えていいのか。心の底から来るべきmushifuru project始動を受け入れることが出来るのか。その疑問を明確にするべく、いつでも剥き出しでバカ正直に活動してきた蟲ふるう夜のフロントマン・蟻(vo)に全てを語ってもらうことにした。覚悟を決めて解き放ってくれた言葉たち、覚悟を決めて受け止めてほしい。
「大切なものを守る為に捨てる」っていうこともあるんだな
--蟲ふるう夜にとしての活動を終了し、mushifuru projectへと移行するというニュースが結成8周年を迎えた2015年11月28日に発表されました。その理由を先日のトークイベントで語っていましたが、きっかけは慎乃介(g)の発言だったみたいで。
※私たちは今、命の上を歩いている / 蟲ふるう夜に (mushifuru)
--なんで慎乃介はそんなことを言い出したんだと思いますか?
蟻:まず自分のお尻を叩きたかったんだと思う。--外から見てると、慎乃介(g)が難病フィッシャー症候群から復活し、蟻のインフルエンザで一度は延期になったものの、渋谷CLUB QUATTROワンマンを成功させて、あそこから一気に飛躍していくムードを感じていたんだけど、バンドからすると「このままじゃダメだ」って思う状況だったの?
蟻:私からすると渋谷CLUB QUATTROワンマンはそんなに大きな意味を持たなかったんですよ。本当に意味があることってすごく拡散していくと思うんです。クモの巣みたいにバァ~って。数百人が騒ぐことによって数百万人に届くぐらいの事態になると思うんですけど、そうはならなかったなって。「昨日、蟲ふるう夜にのライブ行ったんだけど、すごく良かったよ」って言ってくれるかもしれないけど、それで終わるものだったなって。多分、それは蟲ふるう夜にの描いたストーリーが観てくれた人にとってのストーリーにはならなかったから。病気やインフルエンザを超えて実現したっていうドラマはあったけど、観てる側からすると「良かったよ」で終わっちゃった。私の歌を自分の歌のように感じて拡散してくれるレベルにはならなかったなって。--うーん……あれぐらいのレベルのライブを何回もやることでそこに辿り着くんじゃないの? ようやくあれだけのライブを出来るようになった、そのスタート地点だとこちら的には受け取っていましたけど。
蟻:そうですか。--ただ、半年後に渋谷CLUB QUATTROワンマンをもう1回やろうと思って出来る状況にはならなかったんだよね?
蟻:そうなんですよ。あの感動はもう生まれないだろうし、それこそ今度は誰がぶっ倒れるか?みたいな話になってくるから(笑)。あと、あの日のワンマンは映像で見返したときに恥ずかしかったんですよね。その場にいた人にしか伝わらない感動だなって。第三者が観て「あ、この歌はすごく響くね。これ、友達に教えたい」ってなる歌かと言ったらそうじゃない。もう涙でボロボロになってるし、声も震えてるし、そういう歌だったんで近い人には届いたと思うんですけど。--その場に居合わせた人の胸には深く刺さるかもしれないけど、蟲ふるう夜にの状況やストーリーを知らない人が観たら「なんで泣いてんの? この人」で終わっちゃうんじゃないかってことですよね?
蟻:「引くわ~」みたいな。--その渋谷CLUB QUATTROワンマンを終えてから「蟲ふるう夜に活動終了」を発表するまでは、どんなモードで過ごしていたの?
蟻:「今年は一番最悪だな」ってずっと言ってました。「2015年はバンドをやってきた中で一番不幸だ」って。病気もあったし、いろんなことで迷惑かけたし、メンバーの気持ちが変わって「バンドをやってるだけで幸せ」ではなくなってしまったことは、私にとっては不幸だったんです。それによって私はすごく悩んだし、ストレス抱えたし、でも2015年の終わりにようやく「一番成長できた年だったな」って思えた。自分がメンバーに依存していたこととか、本当は「売れなくてもいい」って思っていたこととか、この場所が居心地が良いゆえに「在り続けてくれればいい」っていう気持ちだったんだろうなってことに気付けた。それでメンバーを悩ませてしまっていたことにも。--なるほど。
蟻:居心地が良くて、何百人かのファンの前でたまに歌えて、ときには老人ホームで歌ったりとか、そういう施設でボランティアでもいいから歌っていって、自分がそれで幸せなんだったら、それを一生続けたって良い訳じゃないですか。別に「売れることを目指して」って頼まれてる訳でもないし、自分が決めていく道だから。でも「それを一生続けていきたいのか?」って自分に聞いたときに「違うな」って。やっぱり挑戦していきたいし、メンバーを路頭に迷わせるようなことはしたくないし。--それでバンドを解散……解散って言っていいんですよね?
蟻:「終了」とは言ってますけど。--それを決めたときはどんな気分だったの?
※それでも鳴らす (2015.5.8 Rehearsal) / 蟲ふるう夜に (mushifuru)
--その為に戦ってきた訳ですからね。
蟻:でも「大切なものを守る為に捨てる」っていうこともあるんだなって。- < Prev
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