「大変なことになっている!」 園児興奮、ツマベニチョウ羽化


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羽化したツマベニチョウをのぞき込み、羽を広げようとする様子を観察する園児=3日、伊江村立西幼稚園

 【伊江】シロチョウの仲間で羽の先端がオレンジ色をした特徴があるツマベニチョウが3日、伊江村立西幼稚園(多賀明彦園長)で羽化した。園児24人は、羽を広げようとするちョウの姿に「フレーフレー!チョウチョ」と応援。食草であるギョボクを育て、幼虫から成虫になるまでの約1カ月間、変態する過程を観察し、自然や命を学んでいる。

 西幼稚園にあるギョボクの木は約3年前に村内の伊江幼・小学校の蝶(ちょう)園から譲り受けたもの。約2年前に完成した西幼・小学校の蝶園で、当時譲り受けたほかの木などと一緒に育ててきた。

 この間、一度も羽化することはなかったが、日々の水やりや蝶園から鉢を出し入れして環境を変えるなどの地道な努力が実を結び、ことしの5月9日、担任の棚原まき幼稚園教諭がギョボクの葉についていたツマベニチョウの幼虫を発見した。園児は観察を日課とし、蝶になる日を楽しみに待っていた。

ツマベニチョウ

 3日の朝9時すぎ、「大変なことになっている。チョウが生まれた」と大きな声を発した第一発見者の工藤大翔(だいと)ちゃん。園児はチョウを取り囲み「かわいい」「うれしくて泣きそう」などと興奮し、気持ちを抑え切れない様子だったという。

 園児が帰宅する午後2時が近づいても羽を広げなかったツマベニチョウに園児は、「元気に飛んでね」「危ない目に遭わないで」「卵を産んでね」と声を掛けた。

 園児の思いを受けて蝶は午後4時ごろに1羽が、続いて6羽が大空へ羽ばたいた。
(中川廣江通信員)