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ストレイテナー(ホリエアツシ)インタビュー
ホリエアツシ(vo,g,key)が語るバンドの変遷や各メンバー評、デビュー当時から今日に至るまでの音楽/ロックシーンの流れ、「他の何者でもない存在」になろうと戦ってきた仲間たち、満足していない現状と辿り着きたい未来、そして初めてのビルボードライブ(1月24日(日)Billboard Live TOKYO)公演について等。ストレイテナーのファンはもちろん、全音楽リスナー必読のインタビュー、ここに公開。
01.ストレイテナーの変遷/ホリエアツシによる4人のメンバー評
−−ストレイテナーのことは、2002年11月8日 下北沢シェルターでの初ワンマンライブから定期的に観させて頂いているんですが、その間にメンバーも増え、あらゆる音楽的手法を試み、けれども基本的な姿勢は変わらぬまま大きなバンドになっていった印象を受けています。自身では、このバンドのストーリーにどんな印象を抱いたりしていますか?
ホリエアツシ:自分では……自然な成り行きとしか言えない(笑)。
−−(笑)
ホリエアツシ:でも「どうなっちゃうんだろう?」ってなったり、浮ついちゃうようなことも全然なくって、自分たち的には地に足をつけてやってこれた結果が今なのかな。だから振り返ってみれば結構なところまで来たと思うし、年月を重ねたんだなと思うんですけど、振り返らなかったらそれには気付かないというか。
−−とは言え、2人(ホリエアツシ(vo,g,key)+ナカヤマシンペイ(dr))が3人(+日向秀和(b))、3人が4人(+大山純(g))へと増えていく流れも、軽音部レベルではよくある話ですけど、メジャーデビュー後のバンドの流れとしてはアクロバティックでしたよね。それでも「地に足をつけてやってこれた」のは何でなんですかね?
ホリエアツシ:そのこと自体が僕らからすると自然な成り行きだった。2人から3人になるときも、周りの人たちからは「これまで2人であることがインパクトだったのに、勿体ない」って言われたりもしたんですけど、自分たちからすると初めから2ピースでずっとやって行こうとは思ってなかったし、良くなることは明らかだったというか、結果、3ピースとしてライブバンドとしての完成形を見せられた手応えはあったし、かなり実力を評価された。そこからさらに4人になったのは、4枚目のアルバムで3人の形には縛られない楽曲を作りはじめて、ライブで僕がピアノを弾く曲が増えたり、再現力に悩んだりしていたときで、「4ピースになるとして、入るとしたら誰なんだろう?」って考えたときに「純がいるな」と思って(笑)。その時もマイナスになるイメージは全く出来なくて、単純に前を向いてやってきた結果、気付いたら2人から3人になって、3人から4人になっていたっていう。
−−さらに増やす構想はあったんですか?
ホリエアツシ:それはなかったですね(笑)。
−−今「もう一度、ナカヤマシンペイと2人でやれ」って言われたら出来ますか?
ホリエアツシ:10周年のときの武道館公演で2人で2人時代の曲を演奏する演出があったんですけど、音スッカスカで(笑)。あくまで演出としてやったので、2人でもやれるじゃなくて、むしろ2人じゃ無理だよねっていう証明でしたね(笑)。
▲ 『Behind The Tokyo』Disc-1ダイジェスト 三吉ツカサ(Showcase)編
−−ちなみに、この13年間でナカヤマさんはどんなミュージシャンになっていったと感じていますか?
ホリエアツシ:周りの、仲間のバンドたちから羨ましがられるドラマー。あと、シンペイが自分で最近よく言ってるんですけど、昔は音楽としての協調とか自分の音の位置とか何も考えず叩いていて、でも今ではストレイテナーの音楽を届けるイメージを持ってドラムを叩いているって。それが実際にバンド感にすごく伝わるようになってきて、昔みたいにパフォーマンスで煽らなくても、バンドにおける存在感が良い形で増していると言われます。アンサンブルのまとまりも広がりも彼のドラムに懸かってると思います。
−−では、日向さんはいかがでしょう?
ホリエアツシ:ひなっちはもう加入当初からバンドを引っ張ってくれていたんですけど、初めは外から見ていた分、ストレイテナーの良さとか個性を客観的に捉えることが出来ていて、バンドの方向性とかについても最初から意見していて。言いづらい部分もあったかもしれないんですけど、それでもバンドを引っ張ってくれようとしていた。演奏面でもそうで、もしかしたら何の特徴もない曲でも彼がベースを弾けば全く違うものになるし、それは次第にこのバンドの個性になっていった。「ストレイテナーの音はこうだな」と思わせる上で中心的な存在です。
−−大山さんは?
ホリエアツシ:冬眠していたところを起こしたんですけど(笑)、元々僕が好きなギターを弾く人で。ギタリストを入れる上で適当に声をかけた訳じゃなくて、あのギターがストレイテナーに足されたら、僕がイメージしているロックに近づけるし、強くなる。僕が求めているロックのアンサンブルになるっていう自信があって誘ったんです。その期待に最初から応えてくれて、さらに2作目あたりでOJ(大山純)ならではのフレーズから作る曲も出てきて、それを彼は「ストレイテナーがこんな曲やったらどうなるか?っていう遊び心だ」と言っていたんですけど、それはとてもバンドらしいし、変化球的な位置付けではなくバンドのあるべき姿だと思って。僕もそれに触発されて応えるような曲を作れたりもして。
−−では、ホリエさん自身はどんなミュージシャンになってると思いますか?
ホリエアツシ:元々バンドというものに対する強い意識があったんですけど、ある時期からバンドで鳴らすべき音楽とそうじゃない音楽があるなと思い始めて、さらにひとりひとりがプレイヤーだったりミュージシャンとして立っていくべきだなと思って。僕は趣味として普段聴くようなベッドルーム的な音楽も作りたくて、それでソロ作品も2枚出して、バンドじゃなく自分ひとりの頭の中で音楽を作る実験も経た今、バンドは本当に安心できる場所というか、落ち着ける場所になっていて、拠り所にしている部分もあるんですけど、甘えるんじゃなくて、予想を上回ってメンバーがビックリするような曲を作りたいし、ライブでもメンバーの興奮を引き出せるような歌をうたえるようになりたいと思います。
−−リスナーの前にメンバーがどんな反応をするか、そこが重要になっている?
ホリエアツシ:そうですね。そこで素直に「良いね」っていう反応がないと自信も持てないので。もちろんファンの反応を聴いてその曲の良さを改めて知ることも多々あるんですけど、まずはプレイしていて楽しいっていうのが一番なので。「こういうドラムを叩かなきゃ」「こういうベースを弾かなきゃ」みたいな、役に縛られるようなところではやりたくないというか、自由に楽しんで出来るのが一番良い。だから驚かせたいし、興奮させたいと思う。
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リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
Behind The Tokyo
2015/08/05 RELEASE
TYCT-69085/6 ¥ 3,850(税込)
Disc01
- 01.KILLER TUNE
- 02.Super Magical Illusion
- 03.VANISH
- 04.TODAY
- 05.泳ぐ鳥
- 06.TRAIN
- 07.TRAVELING GARGOYLE
- 08.SCARLET STARLET
- 09.シンデレラソング
- 10.THE REMAINS
- 11.DONKEY BOOGIE DODO
- 12.Yeti
- 13.Wonderfornia
- 14.Breaking Ground
- 15.瞬きをしない猫
- 16.Lightning
- 17.シンクロ
- 18.放物線
- 19.彩雲
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