新年を迎えて半月あまり。ひとによっては「会社なんて行きたくない」というおとなのイケナイ感情が、ふつふつとこみ上げてくる頃だろう。そんなときに思い出したいのが、子どもの頃に描いた「スーパーヒーローになる」という夢。夢を追いかける熱い心を思い出せば、今日も明日も明後日も、元気いっぱい過ごせるはず。
そんな夢を抱いて開発されたゲーム『HADO』は、自らの手で魔法が打てるように開発された、ウェアラブルデバイスとAR技術を駆使した新時代のスポーツだ。スマホ挿入型のヘッドマウントディスプレイとウェアラブルデバイスの振動感知センサーを腕に装備すると、炎やストーン、モンスターなどさまざまなエフェクトが目の前に出現。その対象物に向けて手のひらから魔法を放つことができる。HADOは、ITを融合した新しいジャンルのスポーツという意味で「テクノスポーツ」と名付けられている。
今回、リクナビNEXTジャーナル編集部の中でも、日ごろのうっぷんが特にたまっている編集者・KSKが、HADOに挑戦。「ドラゴンボールの孫悟空になりたい」という熱い夢を抱きつつ、かめはめ波でモンスターに打ち勝つまでの軌跡を追った!
夢と希望と勇気をもって、愛と地球を守るために半年前に転職してきたKSK。けれど、なんだかずっと顔色が悪いご様子。
家では便器のフタがあがったままだとヨメに叱られ、会社では上司や同僚に仕事のミスが多いと指摘される日々。
いつからボクの人生はこうなってしまったんだ。スカッとしたいよーーー!
オラに元気をわけてくれーーーーーーーーーー!!
へーんしん!!
気合だ!気合だ!!気合だ!!!
よーし、パワー全開だぞ! 大地よ、海よ、そして生きているすべてのみんな……このオラにほんのちょっとずつだけ元気をわけてくれ…!! ヨメも上司もかかってこい!
トォォォ!
スタート!!(しかし、おめえ強そうだな)
か…め…は…め……
……!?
……はっ!?
あっさり敗北。(エフェクトなしだとこんな感じ)
モンスター強し。まいった。このままかめはめ波も打てないまま終わるのか……。バイバイ、みんな…。
その時、聞き覚えのある声が。
「落ちこぼれでも必死に努力すりゃエリートを超えることがあるかもよ」
そこに現れたのは敵と思い込んでいた上司。立ちはだかる敵は腰がひけてしまう自分自身の分身だったのだ。よし、こうなったら、みんなで力を合わせて闘おう!
「かめはめ波ーーーー!!」
ゴングは再び鳴った。今度のオラはちょっと強えぞ!
オラがやらなきゃ、誰がやる! オラのすべてをこの拳にかける!!
こんな楽しい闘いはオラはじめてだ!!わくわくするぞっ!!
かめはめ波ーー!
どやああああああ!!
「ステキ」と褒められて、気分も上々! サンキュー、HADO!!
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HADOを制作するmeleap社CSOの本木卓磨さんによると、開発メンバーは全員どんぴしゃの「ドラゴンボール」世代。「かめはめ波を打ってみたい」という純粋な気持ちから同プロジェクトを立ち上げた。しかし、創業当時のmeleap社には、映像システムに詳しいエンジニアは誰一人おらず、何もかもゼロからのスタートだったという。
「幼い頃、どんなに憧れても使うことのできなかった魔法ですが、今の技術を使えばもしかすると可能なのではないかと思ったんです。日々試行錯誤の連続ですが、『魔法を使えるシステムを開発したら世界を圧倒的に面白くできる』という思いを胸に開発を進めています」
HADOには今回紹介した「リアルモンスターバトル」ほか、3対3でドッジボールのように魔法を打ち合える対人ゲーム「HADO」があり、子ども同士でも、おとな同士でも、親子でも楽しめる。イベント会場では、第三者視点のカメラ映像が設置され、プレイヤーが魔法を使いながら闘う様子をリアルタイムで見物できるのも魅力のひとつだ。
「勝っても負けても、『魔法をつかえた』という希少な体験を共有できるため、レクリエーションに最適です」
「リアルモンスターバトル」も「HADO」も、1ゲーム120秒。前後運動が多く、常に動き回っていないと負けてしまうので、1ゲームが終わると汗ばんでいることも。
「この仕事についてから筋肉痛は日常茶飯事です。HADOの開発は、人間の動きをきちんと考慮しなくてはいけないなど、ゲームの開発というよりはスポーツの開発に近いと思います」と本木さんはいう。
「これまでは筋電位でパワーを蓄えないと、波動拳が打てない仕様でしたが、それだと力のない人はなかなか打てず、子どもは腕輪がゆるくて使えないトラブルがありました。なので今は、単純に振りを感知するセンサーだけをつかい、誰もが波動拳を打てるように改良しました」
「リアルモンスターバトル」はテーマパークやショッピングモールで行われるアトラクションとして、競技用ゲーム「HADO」は、社内レクリエーションなどの場で広めていく方針。「リアルモンスターバトル」はハウステンボスですでに常設設置されている。
ちなみにどちらも開発者である本木さん以上の点数をたたき出したプレイヤーはいないとか。王者を倒したいひとは奮って挑戦を!
文:山葵夕子 撮影:ヒダキトモコ
参照:「ドラゴンボール」(鳥山明/集英社)