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「借金して進学」批判に見る日本の大学制度が抱える問題点

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堀江氏が「借金して進学」を批判。そこに潜む大きな問題

「借金して進学」批判に見る日本の大学制度が抱える問題点

ホリエモンこと堀江貴文氏が、特別な理由がないにもかかわらず奨学金を借りてまで大学へ進学するのは安易であり、採用企業側としても無名大学を卒業しても付加価値は認めない、とテレビ番組で発言して物議を醸しています。これは、目的もなく何となく進学した大学生と、社会で役立つスキルを教えられない大学の双方に向けられた痛烈な批判です。

個人的には彼の意見に頷ける部分は多いのですが、大学へ行く・行かないは個々人の判断事項で、他人が口を挟むべき問題ではありません。むしろ、全国の大学の入学定員総数が受験者総数を上回る「実質大学全入」時代になって、選り好みさえしなければ誰もが大学へ進学でき、4年間、無為に過ごしても卒業できてしまうところに、日本の大学制度の本質的な問題が潜んでいます。

キャリアパスに合わせて生涯いつでも大学へ出入り自由にすべき

これを解決するには、「大学は高校卒業後すぐに入って4年で卒業するもの」という固定観念を打破しなければなりません。勉強を続ける意欲も目的もない人はいったん社会に出て、仕事を続ける上で知識や技能を学ぶ必要が生じた時点で大学へ入って勉強する。また、8年で卒業単位数を取得できなければ除籍処分にするのではなく、中退して社会に出ても再入学できるようにする。

このように、個人のキャリアパスやライフスタイルに合わせて生涯いつでも大学へ出入り自由にすべきです。

政府は、大学授業映像のオンライン無料公開の財政支援を

さらに、個人の嗜好に合わせて特定の講座を受講できるよう聴講生の受け入れを積極化することや、授業を映像化してネットで無料公開し、誰もがいつでもどこでも自身の興味関心に合わせて好きなことをマイペースで学ぶことができるような環境を提供すべきです。政府も、大学による授業映像のオンライン無料公開化を進め、オンライン講座の受講生を直接支援する方が、大学へ助成金を配分するより多くの国民に利益をもたらすことができるでしょう。

当然ながら、純粋に学問がしたくて奨学金を借りて真面目に大学へ通っている学生も多くいます。名称に惑わされがちですが、給付型の奨学金は一部で、実態はほとんどが「学生ローン」です。中には多額の奨学金借入れに耐えかねて大学を中退した人や、卒業時に何百万円という借入れ残高を背負い社会人になって自己破産した人、また返済のため結婚や出産を諦めた人も多いと聞きます。

意欲がありながら経済的理由で進学を断念する人が出ないよう、政府には高い授業料を工面しなくても勉強できるような環境の整備を期待します。その意味においても、大学授業映像のオンライン無料公開を財政支援することは有意義です。

MOOCをモデルに、日本の企業の採用方法も変わるべき

そして、学生を採用する企業側も大学卒業を応募条件にするのではなく、職種ごとに必要な知識や技能を明確にして、例えばA大学の△△講座とB大学の○○講座を修了すれば応募資格を与えるなど、名より実を見て採用してほしいと思います。

アメリカではすでに2,000以上ものMOOCと呼ばれるオンライン無料講座が存在し、トップ大学のほとんどが何らかのコースを提供しているため、高いお金を払ってキャンパスに通わなくても学べる環境が整いつつあります。そうして企業自らがMOOCのスポンサーになり、指定の講座を修了するとインターンのポストが優先的に与えるなど、日本より一歩進んだ採用方法が導入され始めています。

21世紀型個別+自律教育のプロモーター

小松健司さん(21世紀教育応援団 アイパル)

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