国際情報

米大統領選 ロムニー氏の公約は“健康保険制度廃止”だった

 米大統領選挙ではオバマ大統領が再選されたが、日本の国政選挙の常識からすれば考えられないことが起こっている、と指摘するのは、かつて米証券会社ソロモン・ブラザーズの高収益部門の一員として活躍した赤城盾氏だ。米国ならではの事情を赤城氏が解説する。

 * * *
 2012年のアメリカ大統領選挙は、結果的に民主党現職のバラク・オバマ大統領の圧勝に終わった。しかし、事前の世論調査はほぼ互角の大接戦であり、実際、得票数の差はごくわずかであった。さらに、同時に行なわれた下院選挙では共和党が過半数を維持した。

 今回の大統領選挙では、「崖」と呼ばれるほどの厳しい財政状況の下で政策の選択肢の幅が狭まり、両候補の経済政策が厳しく対立した。オバマ・ケアとブッシュ減税のどちらを継続するか?

 これは、実は、他の先進国では当たり前の医療保険制度と人口の1パーセントに過ぎない富裕層を優遇する減税との選択である。日本の常識で計れば、当然、オバマの楽勝であろう。

 ミット・ロムニー候補は、日本でいうならば健康保険制度の全面廃止を公約に掲げたのである。日本の国政選挙であれば、そんなことを主張するのは、変わり者の泡沫候補に限られよう。しかし、アメリカでは、ことにアメリカ共和党では、事情が異なる。

 ロムニー自身は、オバマ・ケアに先駆けて2006年にマサチューセッツ州に皆保険制度を導入した知事であり、かつては妊娠中絶も認容していたという。しかし、それでは、ティーパーティとキリスト教保守派が勢力を増す共和党の大統領候補にはなれないのだ。

 今回の大統領選挙は、現在のアメリカ共和党が我々とはかけ離れた感性に支配されていることを改めて確認させられた。

※マネーポスト2013年新春号

関連キーワード

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
焼損遺体遺棄を受けて、栃木県警の捜査一課が捜査を進めている
「両手には結束バンド、顔には粘着テープが……」「電波も届かない山奥」栃木県・全身焼損死体遺棄 第一発見者は「マネキンのようなものが燃えている」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン