phaはいつも何を食べている?日本一有名なニートと称されている彼が語る「だるい自炊とたまの外食」

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phaという人物をご存知だろうか。

「ファ」という聞き慣れない、気の抜けたような名前だが、ネットの世界ではちょっとした有名人で、「日本一有名なニート」と称されている彼。現在は「会社員」というステータスを捨て、定職にも就かずニートとして生活を送っている。いや、これまでに著作を何作か出したり、関連のイベント出演したりしているので、正確には「ニート」とは呼べないのかもしれない。

 

phaさんのことは、以前からブログや書籍を通して知っていた。普段からTwitterやブログで「毎日寝て暮らしたい」とか「生きることがつらそうな人がこんなにたくさんいるのはおかしい」という発言をしているphaさんの考えに共感し、「たしかに、こういう生き方もいいよなぁ」なんてことを思ったりもする。けれど、一つ気になることがある。そう、「食事」だ

 

「毎日カップラーメンやスナック菓子ばかり食べているのでは?」「しっかり毎日ご飯食べてるの?」「ってか、料理とかするの?」と、想像しだすとキリがない「ニートの食生活」。また、ブログでは「サイゼリヤの店内音楽」について書くほどのサイゼ信者だったりして、「もしかしたらサイゼリヤに住んでるんじゃないの?」と、どんどん疑問は膨らむばかりだ。

 

そんなことを考えていると居ても立っても居られなくなったので、なんとかしてphaさんに話を聞かせてもらえないかと頼んだところ、なんと今回『メシ通』でインタビューさせてもらえることになった! 

 

10月某日。やってきたのは、phaさんが知人らと同居している通称・ギークハウスと呼ばれるシェアハウス(2015年10月時点。現在は移転)。「しかし、ちゃんと話してくれるのかねぇ……」と、取材前から不安そうにしているのは担当編集者のムナカタだ。

 

むりもない。phaさんといえば、Twitterやブログ上でいつも「ずっと寝て暮らしたい」「だるい」と発信し続けており、常に無気力なことで知られている。そんなphaさんがちゃんと我々の取材に応じてくれるのか。「もしかしたら、話しかけてもずっと無視されるじゃないか」「ずっとだるそうにしていたら気まずいな」などと不安を漏らしながら歩くと、目的地であるphaさんの自宅に到着した。 

 

玄関前に着くなり、おじいちゃんの家にある懐かしいタイプの呼び鈴を鳴らす。

 

「ピンポーン!」

……ガチャ。

 

その奥からヌルリと現れたのが、phaさん本人だ。

 

pha:あぁ、どうも。……中に入ってください。

 

──はい。お邪魔します!

 

なんか、思っていたより普通の人だ……! 少なくともブログの記事やTwitterの発言でイメージしている感じとは、いい意味で違う。僕らは少し安心し、phaさんのご自宅に招き入れてもらった。

 

リビングに通してもらい、さっそくインタビューを始めることに。

 

話す人:phaさん

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1978年生まれ。大阪大阪市出身。京都大学を24歳で卒業し、25歳で就職。28歳のときにインターネットとプログラミングに出会った衝撃で会社を辞める。今は毎日ふらふらしながら「日本一のニート」を目指している。また、シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」を運営している。著書に『ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法』(技術評論社)、『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』(幻冬舎)がある。
 

3人でシェアハウス生活でも、食事は意外に個人主義

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▲phaさん宅のベランダにある。ここではゴーヤや唐辛子を栽培しており、収穫できたらシェアハウスの住人と一緒に食べるのだそう

 

──今、17時過ぎですが、この時間帯は普段起きているんですか?

 

pha:最近は起きてるかなぁ。でも、ずれることも多くて、たまに今くらいの時間に起床することもあります。

 

──深夜まで活動しているから、ということですか?

 

pha:今は完全に昼夜逆転してしまっていて、朝寝て夕方起きる、みたいな感じです。時間を調整しても、じわじわとずれていきますね。先月もわりとそんな感じで、だいたい1ヶ月くらいの周期で生活サイクルが変わっていきます。

 

──このシェアハウスには、現在何人で住んでいらっしゃるんですか?

 

pha:3人です。

 

──住人の3人で食卓を囲むことってあるんですか?

 

pha:3人で、というのはあまりないですねぇ。みんな生活リズムがバラバラなので、たまに都合が合えば一緒に食べるくらいの感じです。なので、学生寮みたいに何人分かを一斉につくるということはあまりないです。

 

──シェアハウスといえば毎晩みんなでワイワイ飲んだり食べたりするイメージがあったので、あまりシェアハウスっぽくない感じがしますね。

 

pha:すべてがそうだとは思いませんが、シェアハウスっていってもこんな感じじゃないですかね? ただ、食材をみんなで分け合えるというのはすごく大きなメリットだと思います。 

 

そのときだった。

 

「ガチャ」とドアが開いて、ドタドタと無遠慮な足音を立てながら、30歳くらいの男性が入ってきて冷蔵庫を開けた。一連のしぐさから、すぐに同居人であることが分かった。

 

同居人:……ウッス。

 

pha:同居人です。気にしないでください。

 

──あっ、お邪魔してます! 

 

挨拶をするなり、同居人の方は早足で2階にある自分の部屋へ。「お邪魔してます」とは昔から言い慣れた言葉であったが、初めて本当の意味で「お邪魔してます」と思った。

 

日本人は料理に手間暇をかけすぎ

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▲インタビュー中、ずっとphaさんのまわりをうろつく猫の「スンスン」。誰にでも尻尾をスリスリしてくるのがかわいい。もしかしたらギークハウスの中でいちばん「人なつっこい」存在かも

 

──社会に出る前、大学生時代の食生活ってどんな感じだったんですか?

 

pha:実家を出るまでは全然していませんでしたけど、学生時代に寮生活を始めて、そこで初めて料理をするようになりましたね
当時、殊能将之(しゅのう まさゆき)さんという方の日記をずっと読んでいたんです。そこには「ザ・男のひとり暮らし」みたいな雑な料理が出てくるんですけど、それに結構影響を受けてましたね。

 

──具体的にはどんな料理なんでしょう?

 

pha:雑な炒め物とか、雑なスープが多かったかなぁ。

 

──シンプルで「男の料理」っぽいですね。フライパンや鍋一つでできちゃうような。

pha:料理って、もっとシンプルに考えていいと思うんです。


「料理できない」って人は、ちょっとややこしく考えているような気がします。要は「切って、加熱して、味をつける」、これで十分。たしかに、手の込んだ料理はいっぱいあるけど、基本は加熱して味をつければ食えるんですよね。変な味付けをしなければ、肉なんかは塩コショウや醤油だけでもおいしかったりしますしね。「料理」っていうと仰々しく聞こえてしまいますが、そんなに難しく考えなくてもいいんだよなぁって。

 

──たしかに、日本人って料理を難しく捉えがちな気がします。

 

pha:「一汁三菜」なんて、難しいしめんどくさいですよね。食べてしまったらすぐなくなるのに、やたらと時間をかけてしまうのはめんどくさいなと思います。ちょっと前、ブログの記事で「フランス人は料理にそんなに手間をかけない」みたいなものを読んで、すごくいいなと思ったんですよね。カンタンな出来合いのものを買ってきて、パンをちぎって野菜と一緒にサクッと晩ごはんにしちゃう、みたいな。

 

──「手間暇かけて料理をつくる」っていうのは日本人特有の感性なのかもしれないですね。

 

pha:以前タイに住んでいたことがあるんですけど、そこでの気付きも大きかったです。タイ人って、料理をほとんどしないんですよ。なぜかって、あの国は屋台なんかの外食文化が栄えていて、メニューもすごく安い。だから自炊は必要ないんです。むしろ、外食する余裕がない人が家で料理をするもの、という風潮すら感じました。

 

──外食オンリーで毎日の食事がまかなえるものなんですか?

 

pha:屋台で買って家で食べたりするんですけど、いろんな料理が食べられるし、栄養バランスもいいですし、十分に満足できますね。日本で「屋台」というと少し特別感がありますが、日本もタイのようにもっと広く一般的なものになればいいのになぁ。

 

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▲なぜかリビングに鎮座しているマネキン人形。部屋の中で異様な存在感を示していた

 

ここまで聞いてきて、「あれ、phaさんってタイに住めばいいのでは?」という疑問が湧いてきたが、黙っていた。「ギークハウス」ってなんだか不思議な場所だと思っていたけど、ホントになんでもありだな!ちょっと興奮してきたぞ!

 

料理って基本的に「だるい」

──ちなみに、いまはどんな料理をよく作りますか?

 

pha:1人のときは、「とりあえず食事を早く済ませたい」という思いから、丼ものを作ることが多いですね。「洗い物がラク」ってのも大きな理由です。

 

──分かります(笑)。僕も一時期、目玉焼きをそのままご飯の上に乗せて食べる「目玉焼き丼」ばかり食べてました。

 

pha:僕もそれはよくやります(笑)。 食べものの好き嫌いはなくて、結構なんでも好きですね。そういえば、チャーハンは好きです。チャーハンにすればだいたいおいしくなる気がします。

 

──他にはどんな料理が多いですか?

 

pha:あと多いのは、煮物かなぁ……。たまにスーパーで安かった野菜とかをこれでもかとぶち込んで「野菜スープ」を作って、3日くらいずっと食べたりしてます。毎日食べているとだんだん飽きてくるので、途中でトマトを入れてトマトスープにしたり、最終的にはカレーにしたりします。そうすると、その過程で3段階くらい味が楽しめるのでいいですね。

 

──これまで聞いた感じ、かなり自炊を楽しんでいる印象がありますが、外食はほとんどしないんですか?

 

pha:たまにはしますけど、会社を辞めてからちょっと減りました。働いていたときは自炊するエネルギーがなかったので、今なんかよりもずっと外食が多かったんです。

 

──やっぱり、だるくてどうしようもないときってありますよね。

 

pha:ありますねぇ。というか、基本的に「料理ってだるいなぁ」と思ってます
ものすごく頑張ったときに「雑な炒め物」を作るくらいで、そうでないときは「納豆ごはん」とか「レトルトカレー」とか、そんな簡単なものばかり食べてますね。あと、冷凍食品はやっぱり便利ですよね。最近の冷凍食品はすごく美味しい。

 

──レトルトにしろ、冷凍食品にしろ、だるいときに簡単に食べられるものは便利ですよね。ちなみに、このスパム®(権利者はホーメル・フーズ・コーポレーション。以下同)はどうされたんですか?(とテーブルの上に無造作に置かれたスパム®缶を指さしながら)

 

pha:これは、とあるスマホアプリをインストールして、そのときにもらった1500ポイントで交換してもらったんです(笑)。

 

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▲1500ポイントの価値がある、某社のスパム®缶。3つ並ぶと謎の存在感がある

 

pha:ポイントをもらったときに、もうすでに有効期限が迫っていたので、「なんか換えてもらわなきゃ!」ってことでこれにしました。

 

──アプリをインストールしたらスパム®がもらえると。だったらしますよね、インストールくらい(笑)。

 

pha:はい(笑)。半信半疑だったんですけど、ちゃんともらえました。いくつか交換できる品があったんですけど、スパム®を選んだ理由には、加工肉はシビアに管理しなくても大丈夫っていう安心感があって。料理の計画を立てるってすごく面倒なんですよね。「この食材をこれから3日間かけて食べきらないといけない」みたいな。最近、どんどんいろんなことが面倒くさくなってきて、米も無洗米しか買わなくなりましたね。もはや、吸水させるのも面倒で、いきなり炊いちゃうみたいな。

 

──吸水させないとどうなるんですか?

 

pha:わりと普通に食べられますよ。吸水させた方がおいしいのかもしれないけど、あんまりよくわからないので(笑)。

 

「ニート」と聞くと、もっとスナック菓子とかカップ麺みたいなジャンクフードばかり食べてるイメージがあったけど、意外なほど多様なバリエーションで食生活を楽しんでいる……。これが、日本を代表するニートの暮らしなのか。会社員の僕なんかよりもよっぽど充実してそうで、モヤモヤがとまらない。幸せとは一体……。

 

サイゼリヤの「雑な感じ」が好き

──ところで、phaさんはブログや自著で、サイゼリヤを大絶賛されてますよね。いろんなことを「だるい」と言い切るphaさんがここまで持ち上げるのはどうしてなんだろう?といつも不思議に思ってたんですが。

 

pha:いま、自宅からいちばん近いからっていうのが大きいですね(笑)。いや、それだけじゃないんですけど、サイゼリヤは料理の値段が安く、そのためにいろいろ省いている雑な感じが、気楽で好きなんです。水を持ってきてくれなかったりとか。

 

──あの「ほったらかし感」がいいと。

 

pha:そんなに過剰なサービスは求めてないですからね。ドリンクバーとかも雑な感じがするけど、僕らみたいに仲間内でダラダラとしゃべったり、延々パソコンで作業したりする人間にとっては、それが都合がいいんです。普通に料理も美味しいですし、正直、他のファミレスに比べてもコスパはいいですよね。あと、2015年に出した自著の『持たない幸福論』はほぼずっとサイゼリヤで書いてました(笑)。

 

──やっぱり、他のファミレスじゃダメなんですか?

 

pha:例えば、これが「ロイヤルホスト」だとなかなかできないですよね。あそこって、あんまりダラダラしてはいけない雰囲気があるじゃないですか(笑)。

サイゼリヤはやっぱり、あの独特のダラっとした感じがいいんですよね。似たような場所でいうと、駅前のマクドナルドとかも好きで、夜によく行きます。マクドナルドは24時間営業の店舗が多くて、深夜のあのほっとかれる感じというか、殺伐さはいいですよね。

 

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▲サイゼリヤの話をしているときにじっと見つめてくるスンスン。上目遣いがとにかくかわいい

 

あぁ、たしかにサイゼリヤの「ほったらかし感」は心地いいかも。カフェほどオシャレで洗練されてないけど、かといって全くサービスがないわけでもない。phaさんは『持たない幸福論』という本のなかで、お金やモノを「持たない」ことについて説いたが、「サイゼリヤ」という存在だけは常に傍らに「持っていたい」のではないだろうか。残念ながら、僕が住んでいる街にはサイゼリヤがない。けれど、もし彼と似たような立場だったら、日がなダラっとパソコンを叩きながら、ドリンクバーを延々おかわりし、たまの贅沢でミラノドリアを頬張っているだろう。

 

プロニート・phaさんの手料理をいただく!

インタビューもそこそこに、どうしてもphaさんが料理をする様子が気になってきた。ここまでインタビューに付き合ってくれたとはいえ、そこは「ニート」。しかも、「日本一有名なニート」だ。きっと、「えぇ、料理?だるいなあ……」と思っているに違いないんだろうなあ。まぁ、無理だろうなあ。しかもさっき、「ものすごく頑張っているときに、炒め物を作るくらい」って言ってたし。いや、でもダメ元で聞いてみよう。

 

──インタビューの途中にいきなりなんですが、なにか料理を作ってもらうことはできますか?

 

pha:あっ、いいですよ。

 

──えっ

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▲「手料理を振る舞ってもらえないか」という、我々の無理な要求に快く応じてくれたphaさん。妙に生活感のある台所に、なんだか懐かしさを覚える

 

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▲冷蔵庫の中も見せてくれた。調味料や飲み物がとても充実している。理由はわからないが、乳製品が多かった

 

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▲どこの家庭の冷蔵庫にも貼ってあることでおなじみのマグネット。これを冷蔵庫に貼り付けるのは、全世界共通のしきたりなのではないかとすら思えてくる

 

──お料理の途中にすみません。今って、ネットでグルメのネタが氾濫していて、「たくさんカネを使って、うまいメシを食え」みたいな風潮があるような気がするんですけど、こんな風潮についてどう思います? まあ『メシ通』なんてその最たる例ですけど(笑)。

 

pha:全然いいと思いますよ。グルメネタってやっぱり定番だし、みんな気になることですから。僕はそういうブログとか記事とか読むのは好きですね。むしろ、「もっとやったらいいんじゃないか」って思っちゃうくらい(笑)。マンガも好きで、本棚にその手のグルメマンガたくさんあるんで(確かに、同居人どうしでシェアしている本棚にはグルメマンガコーナーがあり、その手の作品がギッシリ。特にオススメなのは、『鬱ごはん(ヤングチャンピオン烈コミックス)』だそう)。

 

──全肯定ですね(笑)。

 

pha:たまに命をかけている人っているじゃないですか。平日のランチとかも金に物を言わせて、毎日いいところで食べて写真をアップしたりとか、個人的には「食べたいな」とは思うけど、行こうという気持ちにはならないし、「別にいいんじゃね」って感じで流してますね。Instagramとかみると、食べ物の写真ばっかで平和だなぁと思いますね。

 

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▲塩コショウを振るphaさん。あまりの手つきの良さに、写真がぶれてしまった。フライパンさばきも軽々とこなし、料理スキルはかなりのもの

 

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▲完成! 先ほどのスパム®と野菜の炒め物。晩飯時に見る炒め物の破壊力は、とどまるところを知らない

 

pha:完成しました。

 

──おお、ありがとうございます! これでご飯と味噌汁が付けば普通の定食ですよね。ちょっと味見していいですか?

 

pha:いいですよ。

 

──……う、うまい! 長芋がシャキシャキしててうまい! 塩気と野菜の甘味のバランスが取れていて、味付けも抜群。栄養バランスもよさ気だし、言うことないですね。

 

pha:そうですか? ありがとうございます(笑)。

 

(食べてみて)うん、美味しい。やっぱり、自分がつくった料理がいちばんおいしいなぁ。味の好みもわかっているわけだし。味付けは酒と醤油と塩コショウと、すごくオーソドックスなんですけどね。スパム®の塩気がいい感じに効いてるってのもあるかもしれません。

 

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▲自作の炒め物を食べるphaさん。あまり美味しそうな表情ではないが、炒め物はとても美味しかった! いやマジで本当に!

 

「料理できない主婦は、出来合いを買えばいい」 

──以前、Twitterで「日本人の自炊スキルが高過ぎる」と揶揄されていましたが、phaさん自身のスキルも相当なものだと思いました。

 

pha:ぼくなんかほとんど何も作れないですよ。僕はわりとこんな感じの雑な料理しかできないけど、料理ができる人は手の込んだ料理を作ったり、すごくたくさんの品数を作ったりしますよね。例えば、3、4品の料理を同時進行で作りながら、最後にバッと同時に食卓に出すみたいなことができる人って、本当にすごいなって思います

 

──僕もそんな芸当、到底マネできないです……。

 

pha:でも、「主菜と、あとに添える副菜を何品か作って……」みたいなノリが当たり前っていう風潮はよくないと思うんです。日本って家事へのハードルが高くて、特に女性の料理や掃除に関して「それぐらいできなきゃいけない」みたいなことをよく言われますよね。逆に雑な料理ばっかり作っていると「手抜いてる」「怠けてる」とか言われたりするし。けど、そういうのって結局人を苦しめるだけで、あんまりよくないと思うんですよね。

 

──芸能人のブログとかでもありますよね。「こんなものばかり食べさせて、子どもがかわいそう!」ってdisられたり。

 

pha:料理ができる人はどんどんやればいいと思うけど、そうでない人は、出来合いのものを買って食べるとかでもいいし、そういうのがもっと認められる社会がいいなと思います。その辺りはもっと自由に、何者にも囚われることなく生活していけるといいですよね。

 

「ニート」という肩書からは想像もできないほど、食生活を楽しんでいたphaさん。そんな彼の暮らしぶりから、「なんでも、もっと自由に気楽にやっていいんだ」というメッセージをもらったような気がしました。
「切って・加熱して・味をつける」だけ。人生も、料理のようにシンプルに考えてみてもいいのかもしれませんね。

 

書いた人:下津曲浩

下津曲浩

1993年生まれ。鹿児島県出身。週に1度ナポリピッツァを食べなくてはいけない身体になってしまった、悲しきweb編集者。

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