自然エネルギーで地域自立 脱化石へ新潮流 那覇で環境講演


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持続可能なエネルギーをテーマに、デンマーク・サムソ島の実践などを報告する環境講演会「自然エネルギー立県への展望」=18日、那覇市の沖縄産業支援センター

 島しょ県沖縄の持続可能なエネルギーの在り方を考える環境講演会「自然エネルギー立県への展望」(県地球温暖化防止活動推進センター主催、琉球新報社共催)が18日、那覇市の沖縄産業支援センターで開かれた。デンマークのサムソ島で100%自然エネルギーによる電力供給を実現したサムソ・エネルギー・アカデミー代表のソーレン・ハーマンセン氏、NPO法人環境エネルギー政策研究所長の飯田哲也氏の2氏が講演し、「エネルギー自立は地域に経済と雇用を生み出す」と地元にある資源で地域のエネルギーを賄う新たな潮流を紹介した。

 人口4千人のサムソ島は化石燃料から自然エネルギーへの転換を進め、現在、風力や太陽光で島の電力と熱を自給する。余剰電力をデンマーク本土に売り、風力発電施設の管理運用で新たな雇用も生まれた。
 ハーマンセン氏は「電気をよそから買うのではなく自分たちで生産することで地域にお金が残り、島の人に自信が生まれた。沖縄に合った将来ビジョンを、多くの人を巻き込んで議論してほしい」と呼び掛け、エネルギービジョンの策定で地域住民が主体となることの重要性を語った。
 飯田氏は、自然エネルギーによる発電が安価となり、化石燃料や原子力発電に頼らなくても地域や個人ごとにエネルギーが自給できるようになった技術的な進展を紹介。「大規模中央独占型から小規模地域分散型へのビッグシフトが世界で起きている。沖縄の小さな島から一歩を踏み出すことで、日本全体の大きな変化をもたらす」と述べた。