中谷防衛相、普天間固定を示唆 停止「辺野古移設が前提」


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米軍普天間飛行場の辺野古移設について意見を交わす(左)中谷元・防衛相と翁長雄志知事=27日午後2時すぎ、県庁

 来県中の中谷元・防衛相は27日午後2時、県庁で翁長雄志知事と会談した。政府が2019年2月までに実現すると県に約束した米軍普天間飛行場の運用停止(5年以内の運用停止)について、翁長知事は中谷氏に具体的な工程を作成するよう求めた。一方、中谷氏は工程作成の是非は答えず、5年以内の運用停止は「県の辺野古移設への理解と協力が前提だ」との認識を示した。中谷氏は会談後、記者団に「知事が辺野古移設に協力しなければ運用停止を具体的に検討するのは難しいのか」と問われ「そのような考え方だと(知事に)述べた」と明らかにした。

 翁長知事は中谷氏が「辺野古前提」の認識を示したことに対し、政府が「5年以内」を直接約束した仲井真弘多知事(当時)も、辺野古移設工事の進捗(しんちょく)と普天間飛行場の運用停止は切り離して行うべきだと県議会などで答弁していたことを挙げ「前提だと確認された記録はない」と反発した。
 翁長知事はその上で、政府が運用停止への工程を作成し、政府、県、宜野湾市で構成する「普天間飛行場負担軽減推進協議会」で議論することを求めた。また「新辺野古基地には反対だという県民の民意が圧倒的だと理解いただく中から物事の打開を考えてほしい」と述べ、移設計画の見直しを重ねて要求した。中谷氏は「再び辺野古移設問題が混乱すれば、普天間は固定化、存続する」と述べた。
 中谷氏は日米両政府がSACO(日米特別行動委員会)合意で確認した米軍北部訓練場の約半分の返還を実現するには、東村高江のヘリパッド建設が条件だと強調した。抗議の市民が工事阻止のために基地ゲート前に止めている車両などの撤去について「道路管理者である知事に協力をお願いする」と求めた。
 翁長知事は「道路をふさいでいることには、口頭で指導を重ねてきた」と説明した。一方、同ヘリパッドでは県が配備撤回を求めている米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが運用されることを指摘し、オスプレイが運用される限り、建設計画は容認しない考えを示した。知事は会談後、違法駐車に対しては新たに文書で指導する考えを記者団に示した。