『山形食べる通信』大蔵村の最上鴨(もがみがも)~『食べる通信』を食べてみる 2食目【タベアルキスト】

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こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキスト Sudaです。 前回から始まった新シリーズ「食べる通信を食べてみる」。こだわりの食材と情報誌が届く、『食べる通信』を取り寄せ、どんな食材なのか実際に食べてみよう! という企画です。

 

『食べる通信』とは?

一般社団法人日本食べる通信リーグが全国展開している食材付き月刊情報誌。会費制で、読者になると各地域における農水産物の生産者に焦点を当てた特集記事を掲載した冊子と、彼らが収穫した食物が毎月セットで届けられる。

 

第2回は『山形食べる通信』 大蔵村の最上鴨(もがみがも)

今回は『山形食べる通信』をセレクトしてみました。

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今回の食材

届いた食材は3種類。最上鴨のロースとひき肉、それに鴨の脂身(3,980円※送料・税込)でした。

こだわり食材:大蔵村の最上鴨(もがみがも)

山形の山間部に位置する大蔵村で加藤貴也さんが育てる最上鴨は、長期飼育をすることで実現する、味が濃く美しい肉色の鴨。通常55日〜65日で出荷されるところを、75日かけてじっくりと飼育されます。

 

ザ・鴨鍋。

山形食べる通信』には、「真似したい!この一皿」として、地元の農家レストラン「知憩軒」のおすすめレシピが2品掲載されています。1品目は、この号が発売された2月の寒い季節にふさわしい<鴨のつみれ鍋>、2品目は甘辛いタレで煮込む<鴨すき>。今回はまず鴨のつみれ鍋を作り、そのスープで鴨しゃぶにしたいと思います。

 

今回もレシピに沿って作ってみましょう。

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まずは、昆布と鰹節を使ってスープのもととなる出汁を取っておきましょう。

昆布を水に入れ一晩おいた昆布出汁を火にかけ、沸騰寸前で昆布を取り出したら、再び沸かして鰹節を投入。火を止め3分待ったら濾します。

 

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材料一式。ゴボウはささがきにして水にさらし、あくを抜きます。ネギはセリと長さをそろえて切ります。ネギの一部をみじん切りに、生姜はおろして絞り汁に。

 

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ネギはあらかじめグリルで表面に焦げ目がつくまで焼きます。今回は味を重視して千寿葱にしてみました。焼くことで甘さとトロリとした食感を引き出します。

 

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ひき肉に味噌を加え粘りが出るまでしっかりと混ぜます。生姜の絞り汁を加え、なじんだら豆乳を少しずつ加えてかたさを調整します。

最後にみじん切りのネギと片栗粉をいれます。

 

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だし汁に酒、醤油、塩を加えてスープにし、火にかけます。味は少し薄いくらいに調整。

スープが沸騰したらゴボウを投入。ゴボウの出汁で旨味に輪をかけます。

 

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再びスープが沸騰したらつみれを丸めてスープの中へ。手のひらで絞り出したものをスプーンですくって形作ります。スープに灰汁が浮いてきたら取り除きましょう。

 

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最後にネギとセリを入れ、セリがしんなりするまで1分ほど蓋をして置いたらできあがりです。

 

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ふんわりとした鴨肉のつみれは、その優しい食感に反して、驚くほど肉々しい味わい。 味噌のコクと生姜のアクセントが肉を引き立てます。

澄んだスープにつみれの旨味がたっぷりとしみ出して、旨味に旨味を重ねたスープは深い味わいに。噛むと甘くトロリとした中身が出てくる千寿葱がこのスープにピッタリ!

 

旨味の出たスープで今度はしゃぶしゃぶ!

スープに鴨の旨味がしっかりとなじんだところで、さらに残りのセリをたっぷりと投入して、今度は鴨ロース肉でしゃぶしゃぶ。

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脂身と赤身のバランスがよい鴨ロースは、きめが美しく見るからに上質なお肉。

しっかりと火を通しても硬くならず柔らかで、脂の旨味だけでなく赤身の旨味までが噛むほどにじゅわ〜っと口いっぱいに広がります。 ああ、なんて至福!

 

しめはうどん

鴨つみれを煮込み、鴨ロースのしゃぶしゃぶを終えたスープは、この上ないほどの旨味がたっぷりと詰まったスープへと育っています。

シメはうどんで一気にその香りごとすすりましょう。少し煮込むとうどんがスープを吸って、なんともいえない美味しさ! 最後の1滴まで、鴨を味わい尽くしました。

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IT業界から畜産農家へ、華麗な転身

「食べる通信」は食材付き情報誌。こだわりの食材と共に、その食材が手元に届くまでのストーリーなども楽しめます。

今号で取り上げているのは、最上鴨を生産する加藤貴也さんのお話。

 

加藤さんの実家は「最上早生」という高品質の蕎麦粉を作る農家。しかし加藤さん自身は跡を継ぐつもりもなく、以前はIT業界で働いていたそう。そんな中、とある生産者直結ビジネスの会社が、実家の蕎麦の価値を聞きつけやってきた際に、蕎麦粉とともに国産鴨を求めている事を知ったのです。「農業も会社と同じで、経営方針をしっかり持てば、もっと発展させられるのでは?」との思いのもと、たった3人のスタッフで食用鴨の生産を始めました。2年目となる現在、スタッフは11人に増え、鴨舎を増築し、都内に鴨肉専門の飲食店を出店するなど、その活躍はとどまるところを知りません。

 

攻めのビューティー・ミート!

もちろん情報誌には、鴨にまつわる情報なども載っています。

ビューティー・ミートと呼ばれる鴨肉は、皮膚や髪を美しく保つ作用をもつ<ビタミンB2>や酸素を細胞に届ける役目の<鉄分>の含有量が多く、また<αリノレン酸、リノール酸>といった良質な脂肪酸も豊富に含まれています。これはもう積極的に食べるしかない!

 

また、最上鴨や最上早生の産地である山形県大蔵村の特産品なども紹介。

保存食として作られた独特の食感のじゃばら大根は、1年の3分の1が雪で覆われているという大蔵村ならでは。他にも無農薬わさび、ほんもろこの養殖、肘折カルデラの天然炭酸水を使った肘折カルデラサイダーなど、魅力的なものがたくさん!

 

さて、来月は一気に南に下って、九州から『くまもと食べる通信』を頼んでみました。 どんな内容が届くか楽しみです!※2022年2月現在休刊

 

書いた人:Kae Suda

Kae Suda

徘徊系オープンゲッターのフードアナリスト。年間400軒以上の食べ歩きをするタベアルキストで、主にカフェ・スイーツ担当。ニューオープンや話題の店にいち早く足を運ぶのが趣味。

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