「平成27年 全国犬猫飼育実態調査」の全国の推計飼育頭数は、犬が991万7000頭、猫が987万4000頭とほぼイーブンの頭数だった。実は時系列で見ると、猫の頭数はほぼ横ばいだが、犬の頭数は減少し続けているため、平成27年に両者が肩を並べたのだ(画像1)。
ペットフード協会によると、犬の人気が下落した理由は特定できないというが、一人世帯や高齢世帯の増加、女性の就業率の増加などの人口動態の変化による要因が大きいのではないかという。
というのも、犬の飼育については、毎日散歩に連れていったり、きちんとしつけをしたりといったことが必要で、世話に手間がかかる。一方、猫は外に連れていかなくても済み、留守がちでも飼いやすい。飼育の手間の違いが、ペットを選ぶ際に影響していると考えられる。
さらに、医療費等を含む飼育にかかる1カ月当たり支出総額は、犬が7841円(犬全体の平均寿命は14.85歳)で、猫が5087円(猫全体の平均寿命は15.75歳)だ。平均寿命までの支出で比較すると、犬のほうが43万5823円多くかかるという計算になり、支出の面でも猫のほうが手軽と考えらえる。
飼っている猫の種類は「雑種」が78.8%と大半であるのに対し、飼っている犬の種類は「雑種」が14.4%で、「ミニチュア・ダックスフンド」12.5%、「トイ・プードル」10.6%、「柴犬」9.1%、「チワワ」8.8%が続く。室内で飼える犬種が人気のようで、最近の住宅事情を反映してのことだろう。
犬種を決めた実感度で「とても実感できる」という回答が多いのは、「抜け毛が少ない」(69.9%)、「無駄にほえない」(64.0%)、「家の中で飼いやすい」(61.5%)が挙げられる。いずれも、室内で飼うときに気になる点だ。
ペットフード協会のホームページを見ると、室内飼いの場合、「一緒にいる時間が長くなり、円滑なコミュニケーションが図れる」こと、「目が届く範囲に入るので、健康管理もしやすい」ことなどのメリットがある半面、落下の危険性がある風呂場やベランダ、からみやすい電気コード、滑りやすいフローリング、誤飲など、室内の事故が起こらないように注意が必要としている。
ペットフード協会では、毎月20日を「ペットフードの日」(「フー」×「ド」=2×10)と制定している。この日は「家族同様である犬、猫、その他ペット全般の食事を改めて考える日」なのだそうだ。協会によると、最近はペットの肥満も問題となっており、ペットの年齢や体重に応じた適切な量の食事を与えてほしい、ということだ。
ペット飼育の阻害要因では、「集合住宅で禁止されている」(26.0%)、「十分に世話ができない」(25.8%)、などが挙がっている。最近では、ペット可マンションも増えており、ペット飼育規定を設けたり、飼育に適した設備や仕様を採用していたりしている。ペットは生活に潤いや安らぎを与えてくれるという効用があるが、しっかり世話をして、生活ルールを守って共生することが大切だろう。