芸能

『笑点』メンバーに選ばれた落語家は地方営業でギャラ高騰の利権

 1966年にスタートし、来年50周年を迎える『笑点』(日本テレビ系)。その大喜利をまとめる司会者の座を巡り、笑えない“跡目争い”が起きている。その理由は2006年から5代目司会者として番組の“顔”を務めてきた桂歌丸(78)の体調問題だ。

 複数の落語関係者は“座布団利権”の存在を指摘する。ベテラン放送作家がいう。

「大喜利メンバーになれば、年収が数千万円になるのは落語界では知られた話。番組出演のギャラは大した額じゃないけど、『笑点』に出れば全国区の有名人になり、地方営業に引っ張りだこ。

 メンバーではない落語家が地方営業に呼ばれると、真打ちでもせいぜいギャラは10万~20万円だが、メンバーなら1本50万円以上に跳ね上がる」

 2006年からメンバーに抜擢された春風亭昇太は、昨年、自宅を新築した。2階に居酒屋風のスペースを設けた邸宅で、周囲からは“座布団御殿”と呼ばれているという。メンバー入りは、落語家個人だけでなく、所属する団体にとっても大きな利権となる。

 現在の『笑点』は、歌丸、三遊亭小遊三、昇太が所属する「落語芸術協会」、林家木久扇、林家たい平が籍を置く「落語協会」、6代目・三遊亭円楽、三遊亭好楽の「円楽一門会」の3団体で構成されている。

 東京の落語界は、これに立川談志が創始者の「立川流」を加えた4団体で成り立つが、『笑点』の初代司会者でもある談志が番組の方向性をめぐって制作サイドと喧嘩別れして以降、立川流からはメンバーが選出されていない。

 歌丸は芸術協会の会長、小遊三が同副会長、木久扇は落語協会相談役、好楽は円楽一門会の会長(円楽は幹事長)を務めるなど、“派閥”のトップクラスが顔を揃える『笑点』において、司会者はメンバー選出の人事権を握るなど絶大な権力を持つとされる。

「次の司会者」は従来の3派閥から──と有力視される所以だ。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

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