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末吉 陽子(やじろべえ)
2016年2月8日 (月)

100%座れる通勤電車・京急「モーニング・ウィング号」って?

100%座れる通勤電車・京急「モーニング・ウィング号」って?
画像提供:京急電鉄
都心へ働きに出るビジネスパーソンにとって、通勤電車の混雑は避けて通れません。しかし、できることならラッシュアワーの喧騒を避けて通勤したい……そう願う人がほとんどでしょう。そんな希望に応えようと2015年12月から運行を開始したのが、京急電鉄の「モーニング・ウィング号」。朝の通勤時間帯に“必ず”座れるという、着席保証型の電車として注目を浴びています。

長年温めていた着席保証型電車の構想がついに実現

これまでありそうでなかったサービスですが、具体的には平日の朝に運行する「モーニング・ウィング1号」「モーニング・ウィング2号」の座席を事前に確保することができるというもの。各列車全436席あり、神奈川県の三浦海岸駅、横須賀中央駅、金沢文庫駅、上大岡駅の4駅から乗ることが可能。各乗車駅で所定の座席数と乗車車両が決まっていて、300円の1回券(Wing Ticket)と5500円の1カ月券(Wing Pass)が各乗車駅で販売されています。だいたいの販売数の割合は1回券が7割、1カ月券が3割とか。

「モーニング・ウィング1号」は三浦海岸駅を6時9分に出発し、横須賀中央駅・金沢文庫駅・上大岡駅に停車の後、ノンストップで品川駅に7時28分に到着。「モーニング・ウィング2号」は7時56分に三浦海岸を出発し、同3駅に停車のち品川駅に9時19分に到着し、泉岳寺駅が終点になります。

そもそも、なぜ着席保証の列車を増設することになったのでしょうか? その理由を京急電鉄営業企画課の木部さんに教えてもらいました。

「じつは8年前から構想はあったのですが、一昨年の11月ごろから実現に向けて本格的に動き出しました。2100型という特急のようなゆとりある座席の車両が導入されたことも、計画の後押しになりました。、モーニング・ウィング号によって混雑状況を解消することが一番ですが、ラッシュ時に三浦・横須賀方面から横浜駅に到着する列車への乗車率が最大130%にものぼるため、横須賀方面から都心へのアクセスを便利にすることも目的のひとつです。住まいをどこにするか選ぶうえで、通勤状況も考慮される方が多いと思います。そのため、モーニング・ウィング号が運行することで、都心への通勤が苦ではないと感じていただければと考えています」(木部さん、以下同)

JRではグリーン車に代表されるように、朝のラッシュ時に特別車両が利用できる列車もありますが、必ず着席できるかというとそうではなく、座席がいっぱいで通路に立たなければいけないなんてことも。その意味でも100%座れるというのは、新しい試みといえるのではないでしょうか。

【画像1】モーニング・ウィング号の車内。100%座れるというのは、新しい試みといえそう(画像提供:京急電鉄)

【画像1】モーニング・ウィング号の車内。100%座れるというのは、新しい試みといえそう(画像提供:京急電鉄)

1カ月券・1回券の利用率が100%の駅も

乗車駅の4駅には、乗降数などを参考に車両、座席数が割り当てられているとか。ちなみに、最初に販売された11月16日から今日にいたるまで一番人気なのが上大岡駅だそう。

「毎月1日になると1カ月券を求めて販売の窓口には行列ができますし、乗車前日の15時から22時まで1回券が販売されていますが、上大岡駅の翌日分の1回券は22時までに完売してしまいます。皆さん、帰宅する際に翌日の券を購入されているようです。上大岡駅は1日の乗降人数が、横浜駅、品川駅についで第3位の多さとのことですが、ここまで人気とは想定していませんでした。いまのところ上大岡駅での利用率は100%となっています」 

【画像2】Wing Ticket 発売機。上大岡駅では利用率100%ということは、ほかの駅では空きがあるかも?(画像提供:京急電鉄)

【画像2】Wing Ticket 発売機。上大岡駅では利用率100%ということは、ほかの駅では空きがあるかも?(画像提供:京急電鉄)

なかなかの争奪戦が繰り広げられている様子ですが、1時間を超える乗車時間を寛ぎ感溢れる空間で過ごせるとあれば、仕事の鋭気もアップしそう。ちなみに、ダイヤの関係で現状は「モーニング・ウィング号」の運行本数を増やす予定はないとのことですが、ほかの鉄道でも同様の列車が誕生することが待たれます。

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