もしも、「人生最後の日」に何かを食べなら? そんな問いかけに、日本料理店『分とく山』総料理長・野﨑洋光さん(63才)が選んだのは、「土鍋で炊いたご飯とみそ汁」という答えだった。
「毎日食べてる米とみそ汁なんですよ。日々、食べものと真剣に向き合っているから、その延長線上に最後がある。毎日食べているものが自然と最後になる」
野崎さんは、米の粒が立つように炊きあがった米を食べたい、と話す。米は三食食べても飽きないので、最後に米を食べられないことが、この世に後悔を残してしまう、と。
「大根と油揚げ、ねぎがいっぱい入って、大豆10:米麴7ぐらいの越後みそで作ったみそ汁。そのくらいが一番おいしいかな。田舎の福島もそんな味だったから。それに焼鮭と漬物があれば。子供の頃から、ずっとそれを食べながら生きてきたってことが、自分の味になってる。それはぬぐい捨てられないでしょ。最初に染みついた味だから、最後も一番自然でいいんじゃないんですか」
※女性セブン2016年5月12・19日号