一度は行っておきたい!五感を刺激する現代アートがおもしろい地方の美術館8選

f:id:arkcomm:20160202112746j:plain

例えば「自分の背丈の何倍もある、真っ白で、切なげな犬のオブジェ」。例えば「真っ暗で、しばらく居ると、何かがうっすら見えてくる部屋」。

言葉にするとまったく意味がわかりませんが、未知の衝撃に触れることのできる現代アート。地方にも独創的でおもしろい美術館がたくさんあります。今回は『一度は行っておきたい!』現代アートがおもしろい美術館を紹介します。

2016年3月に長期休館から復帰! 三内丸山遺跡の隣、あおもり犬がいる美術館

f:id:arkcomm:20160202111749j:plain▲夕闇のなか幻想的な明かりが灯る

青森県立美術館(青森県青森市)

新青森駅から車で10分の所にあります。すぐ隣に三内丸山遺跡があり、建築もそこから着想を得ています。発掘現場のトレンチ(溝・壕)を、凸凹の白い建築物で覆ったような設計で、まるで遺跡と一体になった美術館です。有名なのは高さ8メートルを超える、奈良美智さんの『あおもり犬』。さらに棟方志功や寺山修司といった県内出身者の作品が見られる常設展の他、特撮・怪獣、ポップカルチャー・美少女など、ユニークな企画展の多さも特徴です。2015年9月から大規模な改修工事をしていましたが、それもようやく2016年3月中旬には終わる予定。春休みの頃には再びあおもり犬に遭えることでしょう。

f:id:arkcomm:20160212071702j:plain▲「美少女の美術史」展 タカノ綾作品展示風景(2014年)

青森県立美術館
http://www.aomori-museum.jp
〒038-0021 青森市安田字近野185
Tel 017-783-3000 (代表)
新青森駅から車で約10分
現在は長期改修工事中で2016年3月中旬にオープン予定

8,568通り、あなたはどのタイプ?

ひとつの家にひとつの作品、アートのための家が集まった美術館

f:id:arkcomm:20160202112055j:plain▲ロン・ミュエク『スタンディング・ウーマン』(撮影 小山田邦哉、 Courtesy Anthony d’Offay, London)

十和田市現代美術館(青森県十和田市)

見る者を圧倒するリアルな4メートルの女性像。展示にあてがわれているのは専用の一室。ひとつの作品に対して独立した展示室が設けられ、それがガラスの通路で連結された構造の美術館です。展示室が美術品の家、美術館はその家が集まった街にたとえられ、街中を巡るようなアート体験ができます。常設展として38作品が展示されており、草間彌生、ロン・ミュエクなど、世界で活躍する33組のアーティストのコミッションワークが見られます。建物の向かい側にある広大なアート広場にも、巨大な謎の生物や家がドンと豪快に置いてあり、十和田のおいしい空気を吸いながら伸び伸びとした気持ちになれるアートスポットです。

十和田市現代美術館
http://towadaartcenter.com
〒034-0082 青森県十和田市西二番町10-9
Tel 0176-20-1127
八戸駅からバスで約1時間14分、七戸十和田駅からバスで約40分

8,568通り、あなたはどのタイプ?

9つの展示室と100メートルの塔がそびえる美術館

f:id:arkcomm:20160202112434j:plain▲水戸市内でひときわ目立つ塔がシンボル

水戸芸術館(茨城県水戸市)

水戸駅からバスに揺られて約10分、目に飛び込んで来るのは高さ100メートルの記念塔です。水戸芸術館は、水戸市制100周年(1989年)の記念塔をシンボルに、コンサートホール、劇場、現代美術ギャラリーで構成されています。現代美術ギャラリーは、大きさと光の状態が異なる9つの部屋が連なる空間。歩を進める度に非日常へと誘われます。これほど規模の大きい、現代アート専用のギャラリーを持つ美術館はそう多くありません。

f:id:arkcomm:20160202112540j:plain▲「3.11以後の建築」展 会場風景(撮影:根本譲 提供:水戸芸術館現代美術センター)

企画展は2から3か月毎に変わり、2016年1月までは「3.11以後の建築」という展覧会が開催されていました。斬新な表現や手法が魅力のひとつである現代アートですが、扱うテーマが今を生きる私たちに直接向けられているのも、おもしろいところです。

水戸芸術館
http://arttowermito.or.jp
〒310-0063 茨城県水戸市五軒町 1-6-8
TEL 029-227-8111(代)
水戸駅からバスで10分後、徒歩2分

群馬県榛名山の山裾にある緑が美しい美術館

f:id:arkcomm:20160202112746j:plain▲ジャン=ミシェル オトニエル「Kokoro」2009年

ハラ ミュージアム アーク(群馬県渋川市)

東京にある私設の美術館、原美術館の別館は群馬にあります。場所は緑が豊かな榛名山の山裾で、芝生の緑、空の青、黒の建物のコントラストが見事です。到着したら赤いガラス製の繊細な「Kokoro」をくぐり抜けて入り口に向かいましょう。展示されているのは主に1950年代以降の作品でしたが、2008年に特別展示室が完成し、近世日本絵画も見られるようになりました。敷地内に点在する作品を歩きながら見て、疲れたらカフェで一休み。ミュージアムショップでお土産も買えます。なお冬季は休業期間で再開は3月12日から。それまでは東京の原美術館・本館を楽しみましょう。

ハラ ミュージアム アーク
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
〒377-0027 群馬県渋川市金井 2855-1
Tel 0279-24-6585
渋川駅からタクシーで10分 または
渋川駅より伊香保温泉行きバスにて約15分「グリーン牧場前」下車徒歩7分
現在は冬季休業中で2016年3月12日に再開予定

北陸新幹線で金沢が近くなった! 体験型・インスタレーション作品が多い美術館

f:id:arkcomm:20160202112927j:plain▲地上1階、地下1階、全周ガラス張り(撮影:渡邉修、写真提供:金沢21世紀美術館)

金沢21世紀美術館(石川県金沢市)

新幹線を金沢駅で降りたらバスで10分、アクセスの良さも旅行者としてはありがたい都市型美術館です。収集している美術作品は1980年代以降の新しいものが多く、現代アートの最新の潮流を見てとれます。たいへん人気がある場所で、休日になると、チケット・カウンターに行列ができるほど。どうしてこんなに人が来るのかというと、答えはシンプルで、楽しい展示作品が多いからです。

f:id:arkcomm:20160202113031j:plain▲マイケル・リン《市民ギャラリー 2004.10.09 -2005.03.21》2004年、金沢21世紀美術館蔵(撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ、写真提供:金沢21世紀美術館)

水面下の空間に入って水底から上を見上げる体感型の作品や、展示室の空間全体を使うインスタレーションと呼ばれる作品が恒久設置されています。また市民参加型の展示やワークショップが開かれるなど、参加交流が盛んな活気ある美術館であることも特徴です。北陸の人たちのエネルギーが集まった、熱い空気を感じに行ってみてください。

金沢21世紀美術館
http://www.kanazawa21.jp
〒920-8509 石川県金沢市広坂1-2-1
Tel 076-220-2800
金沢駅からバスで10分(周遊バスは20分)

2016年3月に出発進行! 走る美術館

f:id:arkcomm:20160202113235j:plain▲こんな色の新幹線は見たことがない! 車体全体に描かれているのは長岡の花火(エクステリアデザイン、蜷川実花)

現美新幹線(越後湯沢〜新潟を中心とした上越新幹線区間)

新幹線の色といえば白、青、緑をイメージしますが、2016年春に新しく上越新幹線に登場する車両はなんと濃紺が基調になっています。これはJR東日本による、世界最速の走る美術館「現美新幹線」です。内部のインテリアは、車両毎に異なる気鋭のアーティストがプロデュース。13号車にあるカフェでは、魚沼産コシヒカリの米粉や、佐渡バターを使用したスイーツ、それに燕市のこだわりのコーヒーが味わえるといった具合に、地元・新潟の力が結集しています。

f:id:arkcomm:20160202113343j:plain▲13号車・カフェのイメージ

公開されている情報によれば、車両はE3系の改造とのこと。6両編成で座席は105名。運行線区は、新潟エリア(越後湯沢~新潟間)を中心とした上越新幹線区間。 臨時列車として、土休日を中心に年間120 日程度の運転が予定されているそうです。2016年の春は、何にも用事がないけれど、現美新幹線に乗って新潟に行って来ようと思う人が続出するのではないでしょうか。

現美新幹線
http://www.jreast.co.jp/genbi/
2016年春頃運行予定

瀬戸内海に浮かぶ島の、地中に埋設された美術館

f:id:arkcomm:20160202113457j:plain▲地中美術館(写真:藤塚光政)

地中美術館(香川県直島)

アートが好きな人ならば、一度は訪れたいと口を揃える美術館です。設計は安藤忠雄で、瀬戸内海の景観を壊さないようにと、開口部以外の大半が地中に埋められています。地下であるにもかかわらず、時間とともに変化する自然の光の下で作品を鑑賞できるのがとても印象的です。館内に展示されているのは、「クロード・モネ」、「ジェームズ・タレル」、「ウォルター・デ・マリア」の3作家たちによる作品のみ。それぞれの作品が、その作品を引き立たせるために考え尽くされた空間で、恒久展示されています。作品と建築が一体となって、半永久的に美しく存在し続ける雰囲気は、あまりに静謐で、この世の場所とは思えないくらいです。

f:id:arkcomm:20160202113610j:plain▲家プロジェクト「はいしゃ」 大竹伸朗"舌上夢/ボッコン覗"(写真:鈴木研一)

地中美術館がある瀬戸内海の離島・直島は、島全体がアートスポット。歩いていると桟橋に突然、草間彌生の作品が表れたりします。これは直島とその近くの豊島、犬島で、そこをさまざまな現代アートの表現の場とすることで活性化しようというプロジェクト「ベネッセアートサイト直島」が展開されているからです。中でも人気があるのは「家プロジェクト」と呼ばれる、古い家屋を改修するアート活動。民家の他にも、神社や歯科医院を丸ごとアート空間にした作品があります。せっかく直島まで来たなら、地中美術館から足を延ばしてみるのがおすすめです。

地中美術館
http://benesse-artsite.jp/art/chichu.html
〒761-3110 香川県香川郡直島町3449-1
Tel 087-892-3755
地中美術館のある直島までは高松港からだとフェリーで約50分

九州・熊本、複合ビル内の都市型美術館

f:id:arkcomm:20160202113806j:plain▲現代アートに囲まれている無料の図書スペース「ホームギャラリー」

熊本市立現代美術館(熊本県熊本市)

市街地の中心にある複合ビル内にあり、熊本駅からはバスか市電で約15分の所にあります。同じビルには、ホテルやカフェ、ショッピングセンターが入っており、初めての人は美術館があると思えないかもしれません。しかしながら蜷川実花や日比野克彦など所蔵作品は粒ぞろいで、ここでしか見られない作品がたくさんあります。見所はなんといっても、現代アートの世界でしばしば名前が登場する4人の作家「ジェームズ・タレル」「マリーナ・アブラモヴィッチ」「草間彌生」「宮島達男」による、館内建築と一体となったアートワーク。図書スペースの照明はタレルが手掛けていて、その下で読書をする贅沢が体験できます。企画展以外は入館無料なので、熊本に行く機会があれば気軽に立ち寄ってみましょう。

熊本市現代美術館
http://www.camk.or.jp/index.html
〒860-0845 熊本市中央区上通町 2-3
Tel 096-278-7500
熊本駅からバスか市電で15分

文:本山光
編集:大山勇一(アーク・コミュニケーションズ

PC_goodpoint_banner2

Pagetop