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社債購入にはクーリングオフ適用されない 中途解約も基本NG

竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「社債の契約を解約したいのですが、応じてくれません」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
元本保証という社債を勧められ、契約しました。途上国で鉱物の採掘をして業績を上げているというので、大丈夫だろうと思い、契約したのですが、友人に話したら、その話は危ないからやめたほうがよいといわれました。そこで先方に解約を申し入れましたが、応じてくれません。お金は戻りませんか。

【回答】
最近、元本保証と高利回りをうたい文句にして、実体のない社債を売りつけ、その後業者が行方不明になる事件が頻発していますが、それを心配されてのご質問だと思います。

社債は会社の借金ですが、多くの人から募集する点が特徴です。中途解約を認めるかは、その条件次第です。通常は、借金の返済期日にあたる満期償還期に返済されます。しかし、社債の発行条件として途中で定期的に償還したり、社債権者の繰上償還請求を認めるケースもあります。これらの事前償還は、発行時に定められた条件に従って、償還を受けることができますが、こうした条件がなければ、中途解約はできません。

しかし、事前償還できなくても、社債が市場に上場されていれば、相場で売買できます。事前償還の条件がなく、上場もしていない社債であれば、元本の回収は満期まで待つしかありません。なお、元本保証の約束は、社債が投資ではなく借金である以上当然です。

問題は実際に元本が戻るかどうかですが、これは社債の発行元の信用如何です。資力がなければ元本保証は無意味です。なお社債の販売は、登録した金融商品取引業者の資格のある外務員によって説明されなくてはなりません。不審があれば、消費者センターに相談してください。

ところで、社債や株式の取引契約について定めた金融商品取引法では、これらの取引のクーリングオフ制度はありません。しかし、販売業者の説明が事実に反していたり、満期の償還見通しについて大丈夫などと断定していたときには、業者は金融商品取引法の定める禁止行為をしたことになり、信頼して蒙った損害の賠償を請求できます。儲け話のようなうまい話には、落とし穴がありますから、十分に注意してください。

※週刊ポスト2012年1月1・6日号

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