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末吉 陽子(やじろべえ)
2014年6月23日 (月)

住宅購入時の増税緩和策「すまい給付金」ってなんだ?

高額商品は消費税率が1%単位で数万円の違いが出てしまうもの。増税後のタイミングは住宅の購入にも及び腰になってしまうが、負担を軽減する新たな制度もスタートしている(写真:iStock / thinkstock)
写真:iStock / thinkstock

今年4月に消費税が8%に上がり、早くも2カ月が過ぎようとしている。読者の方のなかには、増税を見越して住宅の「かけこみ購入」をした人もいるかもしれない。また、2015年10月に予定されている10%への引き上げまでに、住宅の購入を検討中の人もいるのではないだろうか。
そこで、増税分の負担を軽減するべく、今年の4月から始まったのが「すまい給付金」制度。制度内容、対象条件、申請の方法とポイントについて取材してきた。

対象となるのは年収が一定以下の人

消費税増税に伴い住宅ローンの控除額も拡充されたが、住宅ローン控除は支払っている所得税から控除されるしくみなので、どちらかといえば収入が高い人が恩恵を受けやすい。そこで、一定以下の収入層に対する期間限定の増税緩和措置として制度化されたのが、この「すまい給付金」である。

では、収入が一定以下という他にどんな要件があるのか? 「対象者の要件」と「住宅の要件」についてみていこう。

●すまい給付金の対象者の主な要件
・住宅の所有者:不動産登記上の持分保有者
・住宅の居住者:住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者
・収入が一定以下の者:[8%時]収入額の目安が510万円※以下
           [10%時]収入額の目安が775万円※以下
・(住宅ローンを利用しない場合のみ)年齢が50才以上で収入額の目安が650万円以下※の者
※夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人のモデル世帯において住宅取得する場合の夫の収入額の目安です。

●給付対象となる住宅の主な要件
・引上げ後の消費税率が適用されること
・床面積が50m2以上であること
・第三者機関の検査を受けた住宅であること 等
※新築住宅/中古再販住宅、住宅ローン利用の有無で要件が異なりますのでご注意ください。

●給付額

住宅購入時の増税緩和策「すまい給付金」ってなんだ?

【図1】給付額の計算方法(すまい給付金HPより)

つまり、収入額が425万円以下の人が2500万円の住宅を購入した場合、消費税が5%から8%に上がった際の差額75万円のうち、30万円がバックされるということになる。参考までに、すまい給付金のホームページには、「すまい給付金」をいくら貰えるかシミュレーションできるページ(http://sumai-kyufu.jp/simulation/index.html)もあるので、あらかじめ算出してみてもいいかもしれない。

意外と簡単! 「すまい給付金」申請の手順とは?

では、実際に「すまい給付金」を申請するにはどんな手続きが必要なのか? 「すまい給付金」の申請窓口を設けている、アキュラホームの猪野間寛さんに聞いてみた。

――申請書類はどこで手に入りますか?

「国土交通省すまい給付金のホームページ(http://sumai-kyufu.jp/)からダウンロードできます。全部で8種類の申請書が用意されており、取得住宅の種類 (新築住宅or中古住宅)、給付金受領方法 (申請者本人or事業者代理受領)、住宅ローン利用の有無(利用有りor住宅ローンの利用なし/現金取得)に分かれていますので該当するものを選んでください。ちなみに、すまい給付金でいうところの新築住宅とは、『工事完了から1年以内、居住実績のない住宅』となります」

――申請書にはどのような項目が用意されているのでしょうか?

「大きく分けて5項目あり、申請者の情報や住宅の売主、給付申請額に関する情報などを記入するかたちになります。住宅の契約書や源泉徴収票、通帳などが手元にあれば、記入自体は短時間で完了するような内容です」

●住まい給付金 申請書類の一例

住宅購入時の増税緩和策「すまい給付金」ってなんだ?

【図2】すまい給付金 申請書類(新築住宅、本人受領、住宅ローンの場合)の一部キャプチャ

――給付申請書以外に必要な書類はどのようなものがあるのでしょうか?

「新築の場合は次の通りです。

(1)【原本】住民票の写し(住民票記載の住所が取得住宅の住所で、発行日から3カ月以内のもの)
(2)【原本】個人住民税の課税証明書(非課税証明書)※発行する市区町村により名称が異なる
  …取得住宅が所在する市区町村ではなく、前住宅が所在する市区町村から発行を受けてください。
  …提出する課税証明書の年度は「国土交通省 すまい給付金」ホームページの「給付額について」を参照してください。
(3)【原本】不動産登記における建物の登記事項証明書・謄本(所有者である事が確認でき、発行日から3カ月以内のもの)
(4)【コピー】工事請負契約書または不動産売買契約書(約款部分も添付)
(5)【コピー】給付金受取口座を確認できる書類(通帳など)
(6)【コピー】住宅取得に係る金銭消費貸借契約書(住宅ローン契約書)

これらは、法務省と市役所もしくは区役所ですぐにそろう書類です。また、住宅を購入した先の事業所に手配してもらうものになりますが、下記のいずれか1つを提出してください。

・【コピー】住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書(住宅瑕疵担保責任保険に加入している場合)
・【コピー】建設住宅性能評価書(建設住宅性能表示制度を利用している場合)
・【原本】住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書(住宅瑕疵担保責任保険と同等の検査を受けている場合)

以上となります」

――いつまでに申請しなくてはいけないか、期限は設けられていますか?

「申請は住宅の引渡しを受けてから1 年以内となります。申請に必要な書類などもほとんど住宅購入時に用意してあるものばかりなので、取っておいてあれば手配する手間も省けます」

――申請にあたって気を付けたいことはありますか?

「まず、住宅の売主に『すまい給付金』を受け取りたい旨を伝え、対象になるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。事業所によっては事前に伝えておかなければ書類を手配できない場合や、中古住宅などではそもそも書類がない場合がありますので、最初に意向を伝えて確認しておきましょう。あとは、住宅の持ち分をどのように登記しているか。夫50%、妻50%と分けている場合はそれぞれ書類を用意する必要があります。いずれにしても給付基礎額を超える額にはなりません」

以上のような手続きを経て給付金が支払われるのは、申請から2カ月後くらいだそう。誰かに頼まずに自分で申請できるように、サイトには申請書だけでなく申し込み方法も詳しく書いているので安心だ。また、住宅ローン減税とも併用ができるのもうれしい限り。まずは自分が給付対象かどうかを確認し、条件を満たしていれば積極的に利用しよう。

●国土交通省 すまい給付金
HP:http://sumai-kyufu.jp/
●アキュラホーム
HP:http://www.aqura.co.jp/
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