ヤンコプチャン(釜山)

ホルモン/양곱장


火を囲んでじりじり焼けるお肉。その上、体に良い補養食なら体も丈夫になって、寒さもへっちゃらさ!食べなきゃ損するぞ!の「ヤンコプチャン(牛のホルモン)」!「ヤン(ミノ)」は牛の胃腸部分でたんぱく質食品として皮膚やダイエットにも良いと言われている健康食。老弱者の滋養にも最適!また、牛の小腸にあたる「コプチャン」は噛めば噛むほど美味しいと人気です。さあ、ヤンコプチャンの真髄に迫りますよ~ !

1.ホルモン(牛の内臓)料理の歴史は長いのだ!

紀元前2000年ごろに牛の家畜化が進んだ朝鮮半島。同じころ、ホルモンの食用も始まったといわれています。古くは、4世紀ごろの文献からも牛についての記録を伺うことができ、その後もたくさんの文献に牛についての記録が記されるようになりました。牛の内臓料理についての本格的な記録は、16世紀に執筆された医学書によって著されています。これらの著書によると、ヤンコプチャンには滋養強壮、疲労回復といった効果があるほか、内臓を丈夫にし糖尿病の予防や皮膚美容にもよいなど様々な効能があるのだとか。これは食べなきゃ損ですよ!

2. ヤンコプチャン?ヤンとコプチャンは別物だ!

よく「ヤンコプチャン」といいますが、これは牛の内臓部分であるヤン(ミノ)とコプチャン(小腸)で作る料理の名称として呼んでいるものです。牛の胃が4つあるというのは有名な話ですよね。その4つをすべて食材として使うのですが、最初の胃袋が今回Best foodに選ばれたヤン(ミノ)です!韓国では昔から補養食品として利用されてきました。特に胃の手術をしたあとにヤンを食べると胃の再生速度が速くなると、手術後の回復期の患者たちがよく食べるものの一つでもあります。その柔らかさと味は逸品!
コプチャンは牛の内臓の中でも小腸部分を称するもの。適当な長さに切り取られた小腸を鉄板で焼いて食べるのですが、コプチャンの中身(消化酵素)がぎゅっと詰まった状態なので、見た目とは違い柔らかくて香ばしい食感が魅力。コプチャンはコレステロールの含有量が少なく、高たんぱく質のスタミナ栄養食として知られています。また、血液循環を促進させ、血液をキレイにするので成人病の予防にすぐれた効果を発揮します。
日本でヤンコプチャンを食べるようになったのは1920年代で、当時日本に渡ってきた多くの韓国人によって伝えられたといいます。参考までに、一般的に肉はメスの方が柔らかくてよいといわれますが、内臓の場合、オスのほうがいいのだとか。
慶尚南道地方では牛の内臓のほかに、豚の内臓「テジコプチャン」も有名。また、同じ慶尚道であるテグ(大邱)では「マッチャン」と呼ばれる牛の4番目の胃袋(ギャラ)を好んで食べるとか。プサンのムンヒョン洞のコプチャン通りや南浦洞のヤンコプチャン通りと同じく、大邱では西部ターミナルのマッチャン通りが有名なんですよ。なぜテグではマッチャンが人気なのかって?残念ながら、それについての正確な根拠は見つかりませんでした(涙)。安くて高たんぱく質、その上、低カロリーなので焼酎のつまみにぴったり!というが人気の秘密なのでは…?
とにかくプサン地方ではヤンコプチャンと並んでテジコプチャンも負けず劣らずの人気。どちらも赤(コチュジャンで混ぜ合わせたもの)と白(コチュジャンの入らないもの)の2種類があり、またその他にもチョンゴル(鍋)やソグムクイ(塩焼き)で楽しむ人たちもたくさんいます。

3.下準備が重要ですぞ!

牛の内臓料理を美味しく作ろうと思ったら、大切なのはやっぱり下準備。内臓を包む丈夫な膜をきれいに剥がし、内臓特有の臭いを消すため、水につけて血を抜くことが最も重要なポイント。きれいに血を抜いたら、今度はニンニクやしょうがで臭いを取ります。このとき調理用のお酒や、こしょうなどの香辛料を好みで使ってもOKです。
一般的にヤンコプチャン専門店に搬入されるヤンコプチャンは、すでにこのような処理が施されたもの。こうして搬入された商品は、とにかく鮮度が命!すぐに洗って冷凍保管するのが重要なポイントなのです。

4. ヤンコプチャン

料理をするにあたって、まずアイスボックスからヤンコプチャンを取り出して基本となる味付けをしておきます。これには、内蔵特有のにおいを消し、肉をやわらかくする効果があるのだとか。

*「赤」ヤンコプチャンの下味付け
材料:下準備をすませたヤンとコプチャン、パイナップル1/4個(2cmくらいに切る)、こしょう、塩、調味料、つぶしたニンニク、ごま油少々
A. きれいに洗ったヤンは、包丁で細かく切れ目を入れます。これはヤンニョンを均等につけることができ、また、焼くときの収縮を防ぐ効果があるのだとか

A. きれいに洗ったヤンは、包丁で細かく切れ目を入れます。これはヤンニョンを均等につけることができ、また、焼くときの収縮を防ぐ効果があるのだとか

B. コプチャンは、コプチャンについている丈夫な膜を取ることが大切。この膜は、丈夫で油気が多く味を落とすことにつながるので必ず取り除きましょう。

B. コプチャンは、コプチャンについている丈夫な膜を取ることが大切。この膜は、丈夫で油気が多く味を落とすことにつながるので必ず取り除きましょう。

C. ヤンとコプチャンを4cmくらいの大きさに切ってボールに入れておきます。 C. ヤンとコプチャンを4cmくらいの大きさに切ってボールに入れておきます。

C. ヤンとコプチャンを4cmくらいの大きさに切ってボールに入れておきます。

D. ヤンコプチャンが入っているボールにパイナップル1/4個を手でつぶしていれます。

D. ヤンコプチャンが入っているボールにパイナップル1/4個を手でつぶしていれます。

E. こしょうを少し入れます。ヤンコプチャンに赤いヤンニョン(薬味)で味をつけずに、塩焼きで食べる場合は白いこしょうを使いましょう。

E. こしょうを少し入れます。ヤンコプチャンに赤いヤンニョン(薬味)で味をつけずに、塩焼きで食べる場合は白いこしょうを使いましょう。

F. 少量の調味料をいれます。これはお好みで。 F. 少量の調味料をいれます。これはお好みで。

F. 少量の調味料をいれます。これはお好みで。

G. 小さじ1/2の塩を入れ、混ぜ合わせます。

G. 小さじ1/2の塩を入れ、混ぜ合わせます。

H. つぶしたニンニクを入れて、また混ぜ合わせます。

H. つぶしたニンニクを入れて、また混ぜ合わせます。

I. ごま油を大さじ1くらい入れて合わせたら、下味付けは完了です。 I. ごま油を大さじ1くらい入れて合わせたら、下味付けは完了です。

I. ごま油を大さじ1くらい入れて合わせたら、下味付けは完了です。

5. ヤンコプチャン焼きを作ろう!

*赤いヤンニョン作り
材料:プルカンジャン(中華料理に使う醤油)、水、長ネギ、玉ねぎ、ニンニク、しょうが、砂糖、水飴、片栗粉、粉トウガラシ

A. プルカンジャン、水、長ネギ、玉ねぎ、にんにく、しょうがを入れて火にかける。
B. 沸騰してから30分位煮込む。
C. 砂糖と水飴を入れる。
D. 水で溶いた片栗粉を入れてよく混ぜたあと、火を止めて冷ます。
E. こしょうを少し入れます。ヤンコプチャンに赤いヤンニョン(薬味)で味をつけずに、塩焼きで食べる場合は白いこしょうを使いましょう。
塩焼きで食べたいときは、下味付けをしたヤンコプチャンをそのまま焼けばOK。辛さを気にせずにこりこりとした味わいを楽しんでください。辛いの大好き!なアナタには、これから「真っ赤なヤンコプチャン」の作り方を紹介しますよ!

*赤ヤンコプチャン作り&食べ方♪
A.下味付けをしたヤンコプチャンに準備したヤンニョンをよく混ぜます。

A.下味付けをしたヤンコプチャンに準備したヤンニョンをよく混ぜます。

B.そのまま20~30分くらい置いて味をつけます。

B.そのまま20~30分くらい置いて味をつけます。

C.鉄板を十分に熱したら真っ赤なヤンコプチャンを焼きます。このとき油をひく必要はありません。一口大に切ってよく焼きましょう。 C.鉄板を十分に熱したら真っ赤なヤンコプチャンを焼きます。このとき油をひく必要はありません。一口大に切ってよく焼きましょう。

C.鉄板を十分に熱したら真っ赤なヤンコプチャンを焼きます。このとき油をひく必要はありません。一口大に切ってよく焼きましょう。

F.ヤンコプチャンをごま油やみそにつけて野菜の上にのせます。 F.ヤンコプチャンをごま油やみそにつけて野菜の上にのせます。

F.ヤンコプチャンをごま油やみそにつけて野菜の上にのせます。

G.薄切りにした玉ねぎやニンニクなどを重ねてもよし!

G.薄切りにした玉ねぎやニンニクなどを重ねてもよし!


H.準備完了!包んだらパクッと食べましょう♪ H.準備完了!包んだらパクッと食べましょう♪

H.準備完了!包んだらパクッと食べましょう♪

チョンゴルとしてもよく食べるヤンコプチャンですが、特にプサンでは焼いて食べることが一番多いようです。それ以外にも大腸や心臓も人気。どちらもヤンコプチャンと同じように料理して食べます。日本でもホルモンは安くて美味しいと人気ですよね。また、簡単に購入することも出来ます。しかし、韓国では一人前が1万ウォン(1000円)を超えることも多く、どこに行っても買えるというものではないため家庭で料理して食べるということは少ないのだとか。一般的に外で食べるもの、と考えられているようです。

いかがでしたか?冬の寒さに負けそうなときには「ヤンコプチャン」を食べに行きましょう。体にもよく、味も食感も抜群のヘルシーな料理「ヤンコプチャン」。まだ食べてみたことがない、というそこのアナタ!この味を知らないなんてもったいない!ぜひぜひお試しあれ。きっと病み付きになることでしょう。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2000-05-14

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