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教師に「部活の顧問をしない」選択権を! ブラックすぎる現状訴える署名活動に激励の声

中学、高校の先生といえば、学業のほかに「部活動の顧問」をやって当たり前――。そんなイメージを持っている人も多いだろう。特に若い先生たちは、ベテランの先生から持ち回りと言われて頼まれれば、なかなか嫌だとは言いにくいに違いない。

そんな現状に、ノーを突きつける動きがあるようだ。署名サイトのchange.orgでは12月24日、文部科学大臣に向けてこんな依頼をする呼びかけが起こっている。

「部活がブラックすぎて倒れそう… 教師に部活の顧問をする・しないの選択権を下さい!」

「教師自身の裁量で使える時間が必要」と主張

change.orgウェブサイトより

change.orgウェブサイトより

署名を集めているのは、若手教員で構成された「部活問題対策プロジェクト」という団体。「教師のボランティア」であるはずの部活動の指導だが、実質的に教師に強制されているのが現状であり、過重労働で過労死などの不幸が起こっていると指摘している。

さらに教師の中には、部活動よりも本来の教師の仕事を優先させたいという情熱を持った教師も多く、放課後は部活指導ばかりに拘束されるのではなく「教師自身の裁量で使える時間が必要」と主張して、次のように要望する。

「教師の人権を守るために、また、教師から生徒が享受すべき部活動以外の本来の権利を保障するために、教師に『部活動の顧問をする・顧問をしないの選択権』を与えるよう貴省が各教育委員会に対して早急かつ積極的に指導することを求めます」

この取り組みは12月27日、名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授がYahoo!個人で紹介してネットの注目を集めている。内田氏は文科省の「教員勤務実態調査」や各調査結果を基に、若手教師に負担が集まっていることを示す。

例えば30歳以下の教員の「勤務日の残業」と「持ち帰り仕事の時間」の総計は、平日には3時間40分だが、51歳以上の教員は2時間12分。休日には30歳以下は4時間56分、51歳以上は2時間43分と差はさらに開く。運動部の顧問は顧問を担当しない教員よりも、平日で49分、休日で2時間29分長くなっているという。

「無給、無休が教師の基本、嫌ならやめろ!」という声もあるが

署名サイトのトップには、日本の教師の仕事時間がOECD加盟国の「世界ワースト1位」であることを示すグラフとともに「残業代も出ません」と書かれている。内田氏の記事を読んで、初めて教師の「ブラック労働」の実態を知ったという人もいるようだ。ネットには驚きとともに非難の声があがっている。

「今までなんでこんなのがまかり通ってるんだ?」「土日返上ってほんとかわいそう」
「無給だったのか。断って当然だよ。教師に人権無いもんね現在は。闘え!」

これに対し、教師がこのような声をあげることはけしからんとして、「無給、無休が教師の基本、嫌ならやめろ!」「それを覚悟で教師になる道を選んだ訳で」「代わりはいくらでもいる」と批判する人も少なくない。しかしこれには、反論があがっていた。

「サービス残業させるブラック企業の手口だな。法律違反してる時点で企業側が悪い」

教職に携わる人たちも思うところがあるようだ。教員だったという人は「まじで部活は嫌だったわ。補習や進路指導だったら無給でも喜んでやるけどね」と当時を振り返った。他の教員は、高野連の大会に必ず教員の引率が必要とされることに触れ、「おかげで平日の授業潰して後でしわ寄せが来る」と明かしている。

尾木ママも問題視「中学の教育破壊の大きな要素」

教員の部活動の指導については、有識者も異を唱えている。立命館大学教授の陰山英男氏(@Kageyama_hideo)は、部活の教育的な意義を認めつつ、12月27日にこうツイートしている。

「指導が一部の教師に押し付けられ、無理な勤務も多い。今まで問題になっていなかったのが不思議なほど。そろそろ筋の通った結論を見つける段階と思う」

東京都教育委員を務める乙武洋匡氏(@h_ototake)もこの問題に関して、12月20日にこう疑問を呈している。

「(部活の顧問が)義務化されていない以上、『やらない』選択肢も認められるべき。『そんなことを認めたら部活が成立しなくなる』との声もあるが、教員への強制によって成り立たせている現状がおかしい」

教育評論家の尾木直樹氏も、かねてから現状を問題視しており、6月26日のブログでは特に中学校における部活動を「『異常』としか言えません!」と断じ、教師の多忙化のみならず、「中学の教育破壊の大きな要素と言っても過言じゃありません」と指摘している。

あわせてよみたい:厚労省と文科省が「ブラックバイト」対応に乗り出す

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