自信たっぷりにプレゼンするために、心理学的に大切な「7つの秘策」

スーザン・ワインチェク

米ヒューマン・ファクターズ・インターナショナル社UXストラテジー部門の責任者。心理学博士。心理学の最先端研究をデザインに応用する方法を、30年以上にわたって研究し続けている。

小さな会議室でも大きな講堂でも、あなたが人前に立つとき、聴衆はあなたのことをリーダーであり、責任者であると思っています。しかしその権威は、下手な行動によって簡単に損なわれてしまいます。権威ある指導者の地位を維持できれば、聴衆はより注意を払ってあなたの話を聞くようになります。その方法を紹介しましょう。

01.
身振り、立ち方、表情…
判断を下されるのは「最初の1秒」

過去15年の間に行われた心理学の研究によると、他者を見たときに、人は情報を無意識のうちに処理し、1秒もかからず瞬時に判断を下すといいます。瞬時に評価を下すので、プレゼンの始まりは慎重に計画し、準備しなくてはなりません。

プレゼンを始める前にあなたを紹介する人がいるなら、自分が与えたい印象に基づいて、どんな紹介方法が望ましいか検討し、あらかじめ紹介文を主催者に送りましょう。

初めの身振りは非常に重要です。歩き方、立ち方、顔の表情、アイコンタクトはあなたが緊張しているか、自信に満ちているか、興奮しているかを伝えます。自分について与えたい印象を決め、それをどう伝えるかを考えましょう。

あなたはリーダーです。聴衆は強いリーダーを求めています。自信たっぷりに堂々と歩けば、聴衆は「この人についていこう」という気持ちになって、プレゼンに興味を持ってくれるはずです。

02.
誠実で穏やかな態度でいれば、
失敗しても許される

最初の印象がいかに重要かを強調しましたが、ときには不運もあります。私も長年プレゼンターを務めるなかで、様々なことを経験しています。すべてスライドで構成していたのに誰もプロジェクターを用意していなかったり、飛行機で到着したら荷物が届かず、カジュアルな服装で発表する羽目になったり、靴にトイレットペーパーをひっかけているのに気づかずにステージに上がってしまったり、といった具合です。

こういった、権威を損ないかねない状況から抜け出すには、ユーモアを発揮し、誠実で正直な態度を取り、穏やかで控えめであることを心がけることをおすすめします。早い段階で聴衆との間に信頼関係が築けていれば、みんながあなたの味方になって許してくれるでしょう。

03.
深呼吸をしたら、姿勢をピン!
自信に満ちた態度を示す

最初の印象に加え、人はプレゼンを通じて、無意識のうちにあなたの体の姿勢を解釈し、反応しています。自信、リーダーシップ、権威、情熱、寛容を伝えたいなら、取り入れるべき姿勢と避けるべき姿勢があるのです。

権威や自信を直接伝えたいなら、あなたと聴衆の間にどんな障壁があってもいけません。演台は使わず、できれば机も片付けましょう。あなたを信じてもらうためには、聴衆に全身を見せる必要があります。

首をかしげると、それは服従の合図になります。プレゼンで権威や自信を伝えたいなら、首をかしげるのは避け、体重を均等に両足にかけ、頭をまっすぐにしてきちんと立ちましょう。

パブロ・プリノルの研究で、人は自信のあるポーズをとると、実際に自信が湧いてくることが明らかにされています。プレゼンを始める前に、廊下や舞台裏へ出て姿勢を正しましょう。深呼吸をして、まっすぐ立ち、頭をあげます。自信に満ちた姿勢を取れば、自信は湧いてきます。

04.
伝えたい内容に合わせて
手のひらを自在に動かす

手の仕草を全く使わないことは無関心を示します。聴衆にあなたの手が全く見えなければ、あなたは信頼してもらいにくいでしょう。

手を広げ、手のひらを上にするときには、聴衆に何かを求めていることを伝えます。手を広げて手のひらを45度傾ける仕草は、あなたが正直で寛大な人であることを伝えます。手を広げて手のひらを下に向けているときには、話す内容に確信を持っていると伝えることになります。

手の動きで何を伝えたいかを考え、伝えたい内容にあった手の動きをしましょう。

05.
練習中の声を録音して
ダメなところを知る

言葉のわからない国で交わされる会話を聞いて、単語の意味などはひとつもわからないのに、会話の中の感情に理解できることに驚いたことがあるかもしれません。こういった、言語に伴う声色や身振りなどの要素は、パラ言語と呼ばれています。

偉大なプレゼンターは、パラ言語を利用し、情熱を伝えるために声色を変えたり、重大なことを述べる前後に一呼吸を置いたりします。

プレゼン中にどんな声で話しているかを確認するため、練習中の声を録音しましょう。パラ言語を意識して耳を澄まし、聞きにくいところはないか、調整すべきところ、調整できるところはないかを確認しましょう。

06.
聴衆と知り合いになる
努力をする

心理学者のフェナ・クリーネンは、知人か初対面の人か、同じ意見を持つか持たないかという違いに対し、脳がどう反応するかを調査しました。その結果から推測できるのは、あなたがプレゼンテーションを行うとき、初対面の人を相手にするよりも、友人に対して行う方が、より大きな影響力を持ち、好意的に受け止めてもらえるということです。

プレゼンを始める前に、可能であれば聴衆と知り合いになる機会を持ちましょう。そうすれば、彼らのプレゼンへの反応は、より良いものになるでしょう。

07.
ペース配分はしっかりと
ただし、焦りは禁物

誰もプレゼンを統制していないと感じると、聴衆は落ち着かず、不安に感じるでしょう。プレゼンターはその場をコントロールしなくてはなりません。

しかし、たった一つの行動でプレゼンをコントールし、保つことはできません。小さな行動の積み重ねで、あなたは責任者であると示せます。次の点に気をつけましょう。
・前項までに示してきた身振り、声の調子、体の姿勢を意識する
・プレゼンは、時間通りに始めて終わらせる
・終了時間が近づいて焦っていると思われないように、ペースを調整する
・質疑応答の際、話に割り込んできたり、とりとめもなく話したりする聴衆に対しては、丁重にコントロールする
・プレゼン中、できればずっと立っている

聴衆はあなたがその場をコントロールすることを望んでいます。自信を持って堂々と振舞ってください。

コンテンツ提供元:イースト・プレス

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