『祖父母の家に対する意識調査』の結果が報告されたのは、2015年9月30日に開催された、住宅リフォーム推進協議会の『リフォームで生活向上プロジェクト』本格始動についての記者発表会でのこと。
筆者が最も関心を持ったのが、祖父母の家に対する孫・子どもの印象を聞いた、この調査だ。同じ家に長く住み続けている祖父母は、新しい住宅や設備と比べて、自宅が不便だったり快適でなかったりして、実は我慢して暮らしていること自体に気づかないことが多い。
以前同じ家に住んでいたことがある子どもと少なくとも3、4カ月に1回は訪れる孫が、祖父母の家についてどう感じているのかを調査し、改めて祖父母に自宅の問題点に気づいてもらい、リフォームへとつなげたいというのが狙いだ。
祖父母にとってうれしい結果としては、孫が楽しいと感じるのは「一緒にご飯を食べること」(65.3%)、「一緒におしゃべりをすること」(53.7%)が半数を超え(図1参照)、家族で一緒にいることが楽しいと回答していることだろう。
一方で、孫が祖父母の家で最も苦手な場所として挙げたのが「トイレ」(19.7%)(図2参照)。理由には、「寒い」「暗い」「古い」が目立つ。また、子どもが改めて実家を見ると、両親の家は至る所で「寒い」のが不満(図3参照)ということも分かった。床の冷たさは、小さな子どもがいるとなおさら気になる点だろう。
孫や子どもの不満を解消するリフォームをすれば、訪問頻度が必ず増えるということではない。しかし、省エネやバリアフリーのリフォームは、小さな子どもはもちろん、高齢者自身も快適に暮らせる条件でもある。
例えば、バリアフリーリフォームで、家の中でつまずいたりする危険を回避し、力が弱くてもドアノブや水栓が開けやすくなるなど、暮らしやすくなる。省エネリフォームで屋外との寒暖差を減らせば、室内が快適なだけでなく、光熱費も抑えられるし、ヒートショック(屋内の急激な温度差がもたらす身体への悪影響のこと)や熱中症の危険性も減らせる。
祖父母が健康で気持ちよく暮らしている家こそ、子どもや孫が訪れたくなる家になるといえるだろう。
したがって、予算との兼ね合いも見ながら、自分たちが快適に暮らすためのリフォームを、優先順位を付けて行うということが大切だと思う。孫が望んだからといって遊び場をつくっても、ほどなく遊ばない年齢になるものだから。
さて、『リフォームで生活向上プロジェクト』は、消費者に自宅をリフォームすることのメリットに気づいてもらい、充実したリフォーム支援制度について知ってもらおうという目的と、リフォーム施工事業者の多くを占める中小事業者が連携することを目的にしている。
10月から全国1093会場で、リフォーム支援制度のパンフレットの配布や孫・子どもの本音クイズ大会などのイベントを開催し、約28万人を集客する予定だという。
詳しくは下記のサイトを見て欲しい。