Asian Meeting Festival 2019

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Artwork by Pisitakun

アジアン・ミーティング・フェスティバル2019
今年で14年目を迎えるアジア有数のアンダーグラウンド音楽イベント、アジアン・ミーティング・フェスティバル(AMF)3年ぶりの東京公演。シンガポール、マレーシア、台湾での海外公演や札幌国際芸術祭での特別公演を経て 拡張し続けるAMFのネットワークから、インド、インドネシア、シンガポール、タイ、台湾、ベトナム、そして日本の超個性的なアーティストたちが集う。

「共に聴く」ということ
今から10年前、アサヒアートスクエアで3日間に渡って行われたアジアン・ミーティング・フェスティバル2009に初めて出演し、そこでユエン・チーワイをはじめ、世代も地域も異なる初顔合わせの音楽家たちと共演をした。この時の体験がその後の自分の活動を方向づけ、参加者たちとは今でも続く強い結び付きを形成した。2014年にチーワイとともにAMFのディレクションを任された時、語らずともお互いに認識していたこのフェスティバルのコアの部分は「共に演奏をする」ということだった。
しかし地域を広げ、より多様なアーティストによるネットワークを目指す中で「共に演奏をする」自体に多様な理解があることや、その一側面を押し付けるだけではAMFが単に一回限りのギグで終わってしまうことが回を重ねるごとにはっきりしていった。そこで僕らはコンサート以外で過ごす時間を意識して、さまざまな環境のもと参加者が演奏の形態やセッティングを一緒に考えたり、自然の中や市内を散策するサウンドツアーをプログラムに組み込んでいったりした。これらの時間の中で参加者たちは片言でもジェスチャーやユーモアを交えてコミュニケーションをとり、そして相手の伝えようとしていることに耳を傾けた。その結果、 即興的な本番のステージで流暢な音のやり取りや予期しない展開が有機的に生まれるようになった。「共に演奏をする」ことで僕らが成し遂げようとしていたものは実は「共に聴く」ことの上に成り立っていたのだ。
ある関係性を築くためにいかに聴く耳を持ってもらうか。この課題は演者のみならずコンサートを観てもらう人たちに対しても向けられていくようになっていった。 近年は開催する地での一般参加型ワークショップやレクチャーなどの活動にも力を入れている。AMFはユニークなアーティストのショーケースである以上に、演奏や聴く時間を共有することでいかに共通の価値観が見出されていくのか、またそれによってどんな音楽の形が可能なのかを当事者として体験する場なのだ。
AMF2019ではこれまでの海外公演に出演してきた音楽家に加え、これから活動を広げていこうと目指している南アジア地域からや日本で越境的に活躍するゲストも参加し、それぞれ独特の佇まいを持つ会場で濃厚な時間を過ごしてもらう。果たして今回東京ではどんな結び付きが生まれ、どんな音楽が立ち現れるのだろうか。

dj sniff

concert

Concert #1

日程 2019年7月2日(火)
セッション1 14:30開場 15:00開演
セッション2 17:30開場 18:00開演
会場 旧平櫛田中邸
東京都台東区上野桜木2-20-3
JR「鶯谷駅」北口から徒歩10分
JR「日暮里駅」南口から徒歩10分
東京メトロ千代田線「根津駅」1番出口から徒歩13分
※旧平櫛田中邸は近代日本彫刻を拓いた彫刻家、故平櫛田中(ひらくし・でんちゅう、1872~1979)が、1919年から1970年まで住み彫刻制作に励んだところです。当時の最先端の近代的なアトリエと大正時代の伝統的技術による日本家屋がほぼそのままに残る貴重な建物です。文化財保護の観点から建物へ充分ご配慮いただきながら、コンサートをお楽しみください。
料金 無料(予約制、各セッション限定30名)
チケット セッション1お申込み
セッション2お申込み
出演 Pisitakun KUANTALAENG[バンコク]、NGO Tra My[ハノイ]、Senyawa[ジョグジャカルタ]、Dharma[シンガポール]、Sheryl CHEUNG[台北]、Seljuk RUSTUM[コチ]、dj sniff[東京]、YUEN Chee Wai[シンガポール]、大友良英[東京]

Concert #2

日程 2019年7月5日(金) 18:30開場 19:00開演 
会場 北千住BUoY
東京都足立区千住仲町49-11(墨堤通り側入口)
東京メトロ千代⽥線・⽇⽐⾕線「北千住駅」1番出口から6分
JR・東武・つくばエクスプレス「北千住駅」西口から8分
料金 [前売]一般3,000円、学生1,800円 [当日]3,500円
チケット こちらからお申込みください。
出演 Pisitakun KUANTALAENG[バンコク]、NGO Tra My[ハノイ]、Senyawa[ジョグジャカルタ]、Dharma[シンガポール]、Sheryl CHEUNG[台北]、Seljuk RUSTUM[コチ]、dj sniff[東京]、YUEN Chee Wai[シンガポール]、大友良英[東京]
ゲスト Killer Bong[東京]、坂口光央[東京]、食品まつり a.k.a foodman[名古屋]

Concert #3

日程 2019年7月6日(土) 16:30開場 17:00開演
会場 ドイツ文化会館・OAGホール
東京都港区赤坂7-5-56
東京メトロ銀座線・半蔵門線「青山一丁目駅」4番出口から徒歩8分
料金 [前売]一般3,000円、学生1,800円 [当日]3,500円
チケット こちらからお申込みください。
出演 Pisitakun KUANTALAENG[バンコク]、NGO Tra My[ハノイ]、Senyawa[ジョグジャカルタ]、Dharma[シンガポール]、Sheryl CHEUNG[台北]、Seljuk RUSTUM[コチ]、dj sniff[東京]、YUEN Chee Wai[シンガポール]、大友良英[東京]
ゲスト ANTIBODIES Collective[京都]、石橋英子[東京]、角銅真実[東京]

ワークショップ

チャリ・パドゥ

全ての声は等しいーチャリ・パドゥはルリー・シャバラによる混沌と調和の途切れのない関係性を作り出す即興合唱パフォーマンスのためのワークショップ。
7月5日(金)のコンサート#2で、成果を発表します(希望者のみ)。

日程 2019年7月4日(木)|19:00~21:00(18:30より受付)
場所 東京都足立区千住仲町49-11(墨堤通り側入口)
東京メトロ千代⽥線・⽇⽐⾕線「北千住駅」1番出口から6分
JR・東武・つくばエクスプレス「北千住駅」西口から8分
料金 無料(限定30名)
参加予約 こちらからお申込みください。
講師 ルリー・シャバラ(スニャワ)

Profile

Pisitakun KUANTALAENG/ピシタクン・クアンタレーング(バンコク)
PISITAKUN01.jpg 2009年よりビジュアル・アートを始め、その後異なるメディア環境下でいかに表現が生成されていくのかに興味を持ち音楽を始める。歴史、合成音、楽器などさまざまなものが彼の曲のインスピレーションとなる。彼の実践は2014年5月22日の軍事クーデターに際して発動された戒厳令下にある、同じタイのアーティストたちとは一線を画す。彼は政治的腐敗を単純に非難したり、程よい 緩和剤を用 いたりすることなく根本的でより本質的な価値観を問い、政治的想像力とアーティストとしての外的/内的葛藤を元に作品を作っている。
NGO Tra My/ゴー・チャー・ミー(ハノイ)
Tra My.jpg ベトナムを代表するダン・バウ奏者の一人であり、その活動は伝統音楽、現代音楽、実験音楽の演奏だけにとどまらず、その研究や教育にも携わっている。現在はベトナム国立音楽院で教え、The Six Tones、The MMTM、The Thang Long Traditional Music GroupそしてVietnam Traditional Orchestraのメンバーでもある。Asian Traditional Orchestraや「One Asia ジョイントコンサート」でも代表を務め、2015年より「C asean Consonant Project」の音楽アドバイザーにも就任した。
Senyawa (Rully SHABARA & Wukir SURYADI)/スニャワ(ジョグジャカルタ)
Senyawa by helambang jaluardi.jpg ジョグジャカルタのスニャワはインドネシア伝統音楽の音世界を体現しつつエクスペリメンタル・ミュージックを実践しその両分野を革新する。彼らは前衛主義からの影響と自らの伝統文化を調和させることで現代を反映するような新しいインドネシア音楽を作り出している。ルリー・シャバラの拡張されたボーカル・テクニックとウキル・スリヤディーのモダン・プリミティブな自作楽器の激しい音が拮抗する中で、スニャワの独自のサウンドが生まれる。
Photo by Helambang Jaluardi
http://senyawa.tumblr.com/
Dharma/ダルマー(シンガポール)
dharma by Josh Wells Photography.jpg シンガポールの前衛ロックバンドThe Observatoryのギタリストとして広く認識されている一方で、2015年以降はソロでの演奏に力を入れている。初期のスタイルはエフェクターを多く使用するものであったが、より質感豊かな音を求めてさまざまなオブジェクトを直接ギターにあてて演奏するようになり、その結果インダストリアルな音や神秘的な世界観へと向かうようなスタイルに到達した。『インターグラニュアル・スペース』は彼の初のソロアルバムであり、2019年4月に最新アルバム『エレクトリック・アニマニズム』を発表している。
Photo by Josh Wells
Sheryl CHEUNG/シェリル・チャン(台北)
Sheryl.jpg 「身体は情動によって絶え間無く演奏される楽器」というコンセプトをベースとし、実験的な作曲、抽象楽譜、そしてパフォーマンスを通して生命の物質性を追究する。彼女にとって積極的に聴くという行為が幼少期から移り住んできた多重な世界への認識を深めてきた。道教思想からの影響を身体テクノロジーとともに探究するアート・プロジェクト「lololol.net」の発起人の一人でもある。
Seljuk RUSTUM/セルジュク・ラスタム(コチ)
SELJUK. R.jpg インドのケララ州カヌール出身、コチを拠点にする画家、音楽家、キュレーター、録音エンジニア。録音スタジオ「3:1Audiostation」とパフォーミング・スペース「Forplay」のディレクターでもある。アルトサックスを中心にさまざまな楽器を演奏し、いくつかのバンドや音楽性を共有する仲間たちとの拡張し続けるコレクティブに参加している。独学による彼の音楽は視覚芸術の延長線上にあり、インド伝統音楽、アラブ音楽、フリージャズなどの要素を取り入れながらも爽快なノイズとシンプルなメロディーで構成される。
YUEN Chee Wai/ユエン・チーワイ(シンガポール)
Chee Wai by Udo Siegfreidt.jpg シンガポールを拠点とする音楽家、芸術家、デザイナー。文学的なモチーフや写像的な視点から着想を得る彼の音楽は、記憶と喪失、不可視性と不確定性への内省によって紡ぎ出される。多国籍即興グループFEN(Far East Network)のメンバーでありAMFの共同ディレクターも務める。またシンガポールの前衛ロックバンドThe Observatoryの中心メンバーでもあり、現在までに12枚のアルバムリリースに加え、「BlackKaji」や「Playfreely」フェスティバルなどの音楽イベントも精力的にオーガナイズしている。
Photo by Udo Siegfreidt
http://www.theobservatory.com.sg/
dj sniff (東京)
dj sniff (Photo by Vivian Lin).jpg アムステルダムSTEIM電子楽器スタジオで長年アーティスティック・ディレクターとしてリサーチ、キュレーション、レジデンシープログラムを任され、多くのコンサートおよびアーティストプロジェクトを手がける。演奏家としてはターンテーブルと独自の演奏ツールを組み合わせながらインプロビゼーションや電子音楽の分野で活動。2017年まで香港城市大學創意媒體學院で客員助教授を務め、現在は東京に拠点を移しAMFの共同ディレクターとして活動を続けている。
http://djsniff.com/
OTOMO Yoshihide/大友良英(東京)
IMG_3028.jpg 1959年横浜生まれ。10代を福島市で過ごす。常に同時進行かつインディペンデントに、即興演奏やノイズ的な作品からポップスに至るまで多種多様な音楽を作り続け、その活動範囲は世界中に及ぶ。また多くの映像作品の音楽を手がけ、TVドラマ「あまちゃん」の音楽でのレコード大賞作曲賞など数多くの賞を受賞している。近年はさまざまな人たちとのコラボレーション・ワーク「アンサンブルズ」、障害のある子どもたちとの音楽ワークショップや一般参加型のプロジェクトなど音楽の枠にとどまらない活動にも力を入れている。AMFは日本とアジアの作家をもっと交流させたいという思いから大友が2005年に始めた企画である。
http://otomoyoshihide.com/

ゲスト

Killer Bong(東京)
Concert #2
KillerBong.jpg 最も黒い男。
Mitsuhisa SAKAGUCHI/坂口光央(東京)
Concert #2
Sakaguchi.jpg 2008年より東京を中心に活動するキーボード・シンセ奏者。エフェクトをかけたキーボードや複数のシンセ、ピアノ、発信機材などを同時に操り、ソロでの即興演奏や実験的なプロジェクトでの演奏のほか、ハードコアバンドからポップスバンドのサポートまでその活動は多岐にわたる。これまでに3枚のソロアルバムに加え、stand alone-404やguru hostなどのグループでのリリース、またさまざまな音楽家とのコラボレーションを精力的に行っている。
http://enjyaqu.main.jp/
食品まつり a.k.a foodman (名古屋)
Concert #2
Foodman / ODOODO (a-sha).jpg 名古屋出身のトラックメイカー 、 絵描き。ジューク / フットワークを独自に解釈した音楽でニューヨークの<Orange Milk>よりデビュー。常識にとらわれない独自性あふれる音楽性が注目を集め、七尾旅人、あっこゴリラなどとのコラボレーションのほか、「Unsound」や「Boiler Room」、「Low End Theory」への出演、Diplo主宰の<Mad Decent>からのリリース、英国の人気ラジオ局NTSで番組を持つなど国内外で活躍。
https://soundcloud.com/shokuhin-maturi
ANTIBODIES Collective(京都)
Concert #3
antibodies2.jpg 芸術と生活、記憶と歴史、そして個人と社会の新しい関係性を探求するさまざまな分野のスペシャリストたちの集合体として、音楽家・演出家のカジワラトシオと舞踊家・振付家の東野祥子によって、2015年結成。さまざまな鍛錬や境界がダイナミックに関わり合うコラボレーションの形態を発展させていくための環境を創り出し、そこに蓄積された体験を、舞台作品の上演やコミュニティー・ワークショップ、アウトリーチといった行為へと結び付けていく。
http://www.antibo.org/
Toshio KAJIWARA (BING)/カジワラトシオ (BING)(京都)
ANTIBODIES Collective
Kajiwawara Toshio by 井上嘉和 Yoshikazu Inoueのコピー.jpg 90年代初頭にターンテーブルやテープを駆使した独自の即興パフォーマンスを始める。後にクリスチャン・マークレイと実験音楽トリオを結成、数々のコンサートやツアーを共にする。現在は京都に拠点を移し、パフォーマンス・アーティスト、芸術家、エンジニアの集合体ANTIBODIES Collectiveを立ち上げ、演出や音響に関わる独自の方法論の探求を続けながら、日本各地でコラボレーションによる総合的な創作に従事している。即興演奏やDJも続け、2016年には中古アナログ専門店「ヒト族レコード」を京都で開店。
Photo by Yoshikazu Inoue
Yoko HIGASHINO/東野祥子(京都)
ANTIBODIES Collective
Yoko Higashino by 井上嘉和 Yoshikazu Inoue.JPG ANTIBODIES Collective振付家・ダンサー。先鋭的な舞台作品を多く発表し、「トヨタコレオグラフィーアワード」、「横浜ダンスコレクションソロデュオ〈Competition〉」など受賞歴多数。国内外の劇場やフェスティバルでの公演は55都市を超える。2014年までDance Company BABY-Qを主宰し、その後京都に拠点を移し、2015年にはANTIBODIES Collectiveを結成。多ジャンルなアーティストとともに国内外で大掛かりな舞台作品やパフォーマンス、インスタレーションなどを実践している。
Photo by Yoshikazu Inoue
Kenjirubien/ケンジル・ビエン (京都)
ANTIBODIES Collective
Kenjirubien by 井上嘉和 Yoshikazu Inoue.JPG 未知を獲得するべく、さまざまな局面に身体を晒している舞踏家。Dance Company BABY-Qに2005年より参加し、ANTIBODIES Collectiveとなった現在も、国内外の全ての公演に参加し、重要なパートを担う。舞踏団「トンデ空静」「黒パイプ」などにも多数出演し、またジャンルレスな演奏家達と偏執的に即興セッションを数多く行う。
Photo by Yoshikazu Inoue
Eiko ISHIBASHI/石橋英子(東京)
Concert #3
ishibashi eiko.jpg 日本を拠点に活動する音楽家。シンガー・ソングライターであり、即興演奏、ダンスや演劇、映画、服飾ブランドとのコラボレーション、他のミュージシャンのプロデュース、そして舞台や映画の音楽制作も行う。 ピアノ、シンセ、ドラム、フルート、ヴィブラフォン等を演奏するマルチ・プレイヤーでもあり、ジム・オルーク、山本達久とのバンド「カフカ鼾」での活動や星野源、坂本慎太郎、前野健太、七尾旅人などの作品にも参加している。
http://eikoishibashi.net/
Manami KAKUDO/角銅真実(東京)
Concert #3
kakudo profile  0424.jpg 長崎県生まれ、音楽家、打楽器奏者。 自身の声、マリンバをはじめとするいろいろな打楽器、言葉、身の回りの気になるあらゆるものを用いて、音楽といたずらを紡いでいる。2枚のソロアルバム発表に加え、バンドceroのアルバム制作やライブサポート、原田知世や石若駿の作品への歌詞の提供、海外の映画やアート・プロジェクトの音楽作りなど、演奏だけにとどまらない作家としての自由な表現活動を国内外で展開している。
https://manamikakudo.wordpress.com/

主催:国際交流基金アジアセンター、アジアン・ミーティング・フェスティバル事務局