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葉加瀬太郎【情熱大陸 SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA'15】インタビュー

葉加瀬太郎 【情熱大陸 SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA'15】 インタビュー

「ヴァイオリニストで死にたい」と思ってる

 デビュー25周年を迎えた葉加瀬太郎が、自身の音楽家/表現者としての生き様を語ってくれた。クラシックしか知らない少年とピストルズの出会い、クライズラー&カンパニーの解散、セリーヌ・ディオンとのワールドツアー、クラシックをカジュアルにしようとするシーンへの苦言、そして今年も開催される【情熱大陸フェス】の魅力(前夜祭で朝まで呑んだり、アナ雪の衣装着て女装したりしている理由含め)について等。全音楽ファン、必見。

セリーヌのツアーを廻りながらも「……これのどこが面白いんだろう」

--デビュー25周年おめでとうございます。四半世紀を音楽家として過ごしてきた訳ですが、どんな25年だったと感じていますか?

※葉加瀬太郎 情熱大陸【OFFICIAL】
※葉加瀬太郎 情熱大陸【OFFICIAL】

葉加瀬太郎:一昨年の末ぐらいからスタッフたちが「2015年で25周年なんですよね」みたいな話をするようになって。ただ、自分としてはバンド時代とソロ時代の境目ぐらいしかなくて、それ以外は毎年ただ繰り返してきただけなんです。いつも大体9月ぐらいから年末にかけて自分のツアー、そして春は春で【ライブ・イマージュ】だったり、もうひとつ自分のソロのツアーをやる。それを繰り返して、大体1年に100本ずつぐらいのコンサートをやってるんですね。それで全てのプロジェクトが今“15周年、20周年”っていう感じで畳み掛けてきちゃってるんですけど、大体それぞれのプロジェクトをやっている最中に「さて、来年、このプロジェクトどうしますか?」という打合せをする訳ですよ。ちょうど1年後ぐらいを見据えて、小屋探し、バンドメンバーのブッキング、どんなことをやるのか……って動き出す訳じゃない? そうすると、ただひたすらローリングストーンで、自分の中では「25周年」って言われてもよく分かんないんです(笑)。

--そこを意識して活動してきた訳じゃないですもんね、きっと。

葉加瀬太郎:あまり先を見据えて動くのが怖いので、僕は。それこそ自分のスケジュールも明日までしか知らない。知らないようにしてるんです、わざと。見たら最後。

--何がそんなに怖いんですか?

葉加瀬太郎【情熱大陸 SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA'15】インタビュー

葉加瀬太郎:いや、単純に忙しすぎるので。自分のスケジュールを見ると「1週間の中でこんなに出来るんだろうか」とか思っちゃうから、ひとつひとつ片付けるようにして、先のことはスタッフにどんどんどんどん準備してもらって。だから僕はここにぶら下がったニンジンだけを追い掛けてる。

--そしたら25周年を迎えていたと。

葉加瀬太郎:ハハハハハ!

--葉加瀬さんは、ヴァイオリニストとしてはもちろん、音楽シーン全体で見ても他に類を見ないアーティスト/ミュージシャンだと思うのですが、自身では葉加瀬太郎をどんな存在だなと感じていますか?

葉加瀬太郎:自分自身変化してきてると思うので、年代によって随分違ってると思うから一概には言えませんが、元々クラシックしか知らない少年だったんで、かなりオタッキーというか、マニアですよね。そこから扉が開いたのは18歳になってやっとで、18歳から初めてクラシック以外の音楽が音楽として聴こえてきた。それまではポップスもロックも何もかもクラシック以外は音楽だと思ってなかったので。18歳をきっかけにいろんなことを勉強し始めて、だから僕にとってポピュラー音楽は学習したようなものなんですよね。小中学生のときに夢中になってたクラシック音楽とはちょっと存在が違う。

--どうやってクラシック以外の音楽への扉は開いたんですか?

※Sex Pistols - Anarchy In The UK
※Sex Pistols - Anarchy In The UK

葉加瀬太郎:ピストルズです。ピストルズのコピーバンドです。芸大に入って、そこの美術の学生がピストルズのコピーバンドやってて、それがあまりにも格好良くて。というか、音がデカくて(笑)。若い頃ってデカい音に感動するじゃない? それまでの僕にとってはマーラーの「シンフォニー」が一番デカかったから、ピストルズをバカでかい音で鳴らして、その周りで人がぴょんぴょん跳んでて、ファッションとかも含め、そういうパンクとかニューウェーヴに惹かれていったんです。

--いわゆるポップスターと競演したり、自身で【情熱大陸フェス】を開催したり、時にはバラエティ番組にも出て行ったり。クラシック畑のミュージシャンがここまで派手に活動するケースを他に知らないんですけど、ここまで活動の幅を広げた理由やきっかけって何だったんでしょう?

※葉加瀬太郎 Etupirka【OFFICIAL】
※葉加瀬太郎 Etupirka【OFFICIAL】

葉加瀬太郎:クライズラー&カンパニーを解散したのが1996年なんですけど、そのときに解散してまた普通のヴァイオリニストに戻るのが怖かったんです。クラシックの業界に戻る事は難しかったかもしれないけど、スタジオミュージシャンやセッションミュージシャンになる可能性は多分にありましたから、それは自分の本意ではなかったんですよね。で、クライズラーは、僕以外の2人がクリエーター、アレンジャーや作曲家だったので、僕はわりとパフォーマーに徹してたんですけど、解散した事によってあの2人がやっていたことを自分でやるようになって。もっと言うと、ヴァイオリニストと呼ばれるのが一番イヤな時期だったので、こういう取材を受けても「ヴァイオリニストとは書かないでくれ」ってお願いして、「アーティスト」や「ミュージシャン」「作曲家」って書いてもらってて、後にそれはそれでウザくなってイヤになるんだけど(笑)。でもその時期はちょうど『情熱大陸』の曲とか「エトピリカ」を作曲/プロデュースしていた頃だったので、それをアピールしたかったんですよね。絵を画き始めて個展も始めたり、テレビのバラエティショーの司会もやったり、マルチなアーティストを目指してた。「別に音楽だけが僕の表現じゃないんだよ」っていうことを自分自身から発信してました。そこから何年間かはずっと。

--なるほど。

葉加瀬太郎:あと、僕はセリーヌ・ディオンとのワールドツアーを3年間やっていて、100回以上のコンサートを彼女と出来たので、これはもう経験として物凄く勉強させてもらったと思ってて。それまではクライズラー&カンパニーっていう変なバンドをやりつつ、その当時の僕はかなりプリミティブな音楽にハマっていってたんですね。ラテンだったり、キューバンだったり、アフリカンだったり、或いはインディアンだったり、いわゆるワールドミュージックって言うのかな。それこそピーター・ガブリエルが興したリアル・ワールド・レコードみたいな、ああいうものにすごくintoしてる頃で。だからセリーヌのツアーを廻りながらも、彼女たちがやってるエンターテインメント音楽の意味が全く分かんなかったんです。仕事で自分も演奏はしてるんだけど、「……これのどこが面白いんだろう」って。

--(笑)

※Celine Dion - My Heart Will Go On
※Celine Dion - My Heart Will Go On

葉加瀬太郎:全く分かんなくて! ところがアメリカツアーでどのスタジアムも5万人の満員で、どかーん!ってやって感動させるっていう。お客さんとコミュニケートする為の音楽の作り方って一体どうすればいいのか?ってことをあの3年間の現場で学べたことはとても大きかったですね。僕なんて「To Love You More」1曲だけのゲストなんだけど、結局全部観る訳じゃないですか。それでだんだんだんだん分かってきて。「さぁ、みんな! 騒ぎましょうよー!」って5万人をバァーって立たせて、「じゃあ、ツイスト&シャウトねー!」って言ってズンチャチャズンチャン♪ってやる訳ですよ。「ほぉー、今の時代、これもアリなのか」と。アメリカのエンターテインメントで言うと、マイケル・ジャクソンがいて、マドンナがいて、尖がったアメリカンドリームみたいなものがあったじゃん。その時代の次にセリーヌっていうすごくコンサバティブな人がアメリカンドリームを見る。もっと言えば、セリーヌはカナダ人だから、外国人があそこまでアメリカを制すっていうのを見て、「なんじゃこれは!?」って驚いて。それこそ『タイタニック』(主題歌:My Heart Will Go On(Love theme from 'Titanic')」の頃も一緒に廻ってたから、てっぺんの頃じゃん。そこでショウビズの面白さっていうのを教えてもらった気がします。裏側から。自分の考え方が随分変わった。

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葉加瀬太郎「葉加瀬太郎 25th Anniversary アルバム「DELUXE」~Best Duets~」

葉加瀬太郎 25th Anniversary アルバム「DELUXE」~Best Duets~

2015/08/05 RELEASE
HUCD-10192/3 ¥ 3,740(税込)

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Disc01
  1. 01.TO LOVE YOU MORE
  2. 02.CAN YOU CELEBRATE? feat.葉加瀬太郎
  3. 03.ベイビー・アイ feat.葉加瀬太郎
  4. 04.Once Upon A Time In America ~デボラのテーマ~
  5. 05.Etupirka
  6. 06.組曲 「もうひとつの京都」 (vocal version)
  7. 07.情熱大陸 2007
  8. 08.春風 meets 葉加瀬太郎
  9. 09.I LOVE YOU
  10. 10.雪の華 (silent version)
  11. 11.黄昏のワルツ
  12. 12.放課後の音楽室
  13. 13.As Time Goes By

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