細い階段を上った先はアートな喫茶「屋根裏 貘」

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みなさま、ご機嫌麗しゅう。

メシ通レポーターのマツーです。

わたくし、普段からのんきにヘラヘラと過ごしておりますゆえ、のんびりくつろげる場所が大好きなんス。

ひたすら「ぼーっ」と過ごすのが、一番の贅沢。珈琲を飲みながら、スローな音楽。サイコーですね。

カフェ……もいいけど、わたくしにはちょっと賑やかで華やかすぎ。

なもんで、喫茶店がベスト。欲を言えば、隠れ家的な店がベストですね。

そんなわたくしが、高校生のころから通っている行きつけがココ。


「屋根裏 貘(ばく)」

ほらほら、「屋根裏」って名前に、心のセンサーが反応しちゃうでしょ?

ここは、知る人ぞ知る老舗の喫茶店なんですが、店があるのは天神のど真ん中、親富孝通りにあるんです。

とはいえ、少し見つけにくいかもしれないので、まずは道案内をします。

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福岡市営地下鉄「天神駅」から地下街を通って10分くらいの道のりです。

レッツゴー!

 

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地下街の一番北側にある「西1出口」を出たら、徒歩で2~3分。

 

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店は、「親富孝通り」の入り口辺りにあります。

とここで、他県の人によく聞かれる「親富孝通り」についてトリビアを。
もともと「万町通り(正式名称)」として数多くの商店で賑わっていた通りでした。そして70年代に入り、通りの近くにあった予備校に通う学生が通学路として利用していたことから通称「親不孝通り」と呼ばれるようになったそうです。

バブル期になるとディスコや飲み屋が立ち並ぶようになり、夜の街へと変貌し全国に名を轟かす通りになりました。多くの若者で賑わう一方で治安が悪化したこともあり、イメージアップとして「親富孝通り」へと愛称が変わり、現在も多くの人に親しまれています。

 

てなわけで、お店へ行きましょう!

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店に入る前に立ちはだかるのが、仄かに暗くて、狭い急こう配の階段。両サイドにはアート展や映画のポスターが貼られています。

すでにムードたっぷりでしょ!

 

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そしてこちらが、店の入り口。年季の入った扉が粋です。

 

てことで、オープン・ザ・ドア~。

もともとは、福岡市内にある九州産業大学の近くで開業した「貘」。当時、九州産業大学芸術学科の教授や学生が常連だったこともあり、彼らの作品を広めるべく、アートギャラリーを併設した喫茶店(「貘」の姉妹店「屋根裏 貘」)として親富孝通りに誕生し、知る人ぞ知る存在になったそうです。そして、今年で開店から40年の節目の年を迎えました。今でも芸術家や芸術を愛する人が足しげく通っています。「当時の喫茶店は、お酒の飲み方や女性の口説き方などを学ぶ場でもあったのよ」と、マスターご夫婦。かく言うわたくしも、若かりし頃にこの店で意中の女性に愛の告白をしたような、しなかったような……(照)。

マスターご夫婦の温かい口調も料理メニューも、妙に色気のある店内の雰囲気も、昔から何ひとつ変わらない喫茶店。「大人になってからも愛用してくれる常連さんが多いことが、長年続けてこれた秘訣ですね 」と、今日も奥さんはニコニコ、珈琲を淹れてくれます。

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なんだか色気のあるカウンターでしょ。実に落ち着くんです。

 

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店には窓ひとつなく、うす暗くも柔らかい電球の灯りがテーブルを照らしています。

ちなみに時計はいつ来ても11時です。「時間を気にしないでね」というオーナーの心遣いと「11時から23時までですよ」という営業時間のお知らせの意味があったそうです(へぇ~知らんかった~)。※注意) 現在の営業時間は11時から24時までなので、終電時間にお気をつけあれ。

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BGMは決まって、50年代のジャズ。

テーブル、壁、ポスターは、マスター夫婦一緒に時代を刻んできました。

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先程の扉の向こうの部屋は、アート・ギャラリー「ART SPACE貘」。現代美術の作品が展示されています。

 

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これがまた、そそる作品ばかり。

アーティストの志が伝わる表現は、コーヒーのように深く胸に沁みます。

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さてさて、こちらは喫茶店ではありますが、アルコールもあり。見てくださいキープされたボトルの数。芸術ファンが夜な夜な集まっては、美術談義に華をさかせているそうです。

ということで、わたくしも何か注文を……。

 

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と、レコード盤がメニューなんです。

こんなちょっとした遊び心がステキでしょ?

で、お腹が空いたらこちら、「屋根裏 弁当(650円)」をご賞味あれ。

 

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むむむ、弁当を注文したのに、なぜか鉄なべ!?
となるかもしれませんが、そこはご愛嬌。

木蓋を開けると……、甘辛く味付けられた生姜焼きに卵焼き&ポテトサラダ。ご飯には昆布の佃煮と梅干し、そしてごま塩パラパラ。栄養のバランスもボリュームも抜群の“お弁当”でございます。鉄なべ(南部鉄)に入れてあるからホカホカ。
ペロッと完食です。

 

続いての登場は……「ベーコンとカッテージチーズサンド(600円) 」です。

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おやおや、サンドイッチとはいえ生地はピタパン。モチモチ食感がおいしいです。

 

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ほんで、料理と合わせる飲み物はビール(600円)!銅製のジョッキが、これまたムードたっぷりでしょ!?

 

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ほんじゃ~喉を潤して、いただきま~す!

 

ベーコンはカリっと香ばしく、トマトとレタスはフレッシュ!! ほんでもって、カッテージチーズの爽やかな風味がサイコ~。

ビールもグイグイ進みます。

 

食後のデザートはミルクセーキ(480円)。

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卵とミルクの香りがふわ~っと広がって、やさしい味わい。口に入れるとふっと溶けてなくなる上品さにスプーンがとまりません。暑い日なんかには、たまらんでしょうねコレ!

ということで、これまたペロリ。
のんびり空間のご紹介のはずなのに、気分が上がるような紹介ばかりしちゃってますな。

 

てことで、最後はやっぱりコレ。

「珈琲(420円~)」でしっぽり締めくくりましょう。

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丁寧に一杯立てで淹れてもらえる珈琲。

コポコポという音も、空間とマッチすると贅沢なBGM。なんだか、珈琲を淹れる奥さんのこの姿に、喫茶店たる趣と温かさを感じますね。

 

近ごろの福岡は都市化が急速に進んできて、古き良き文化が置き去りにされているように思います。海外からの旅行客からも、日本独特の進化をしてきた喫茶店に興味があるという声を良く聞くのですが、それとは裏腹に観光客誘致のために近代的な商業ビルがどんどん建っている。う〜ん、本末転倒なような気が……。

みたいな、大きな課題の答えは、案外、こんな喫茶店での何気ない会話の中で、ふと生まれるものかもしれませんね。まずは心を落ち着かせないと、いいアイディアも生まれないというもんです。ということで、これからも積極的にのんびりすることにします(笑)。

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お店情報

屋根裏 貘

住所:福岡福岡市中央区天神3-4-14
電話番号:092-781-7597
営業時間:11:00~24:00
定休日:なし
HP:http://artspacebaku.net/

www.hotpepper.jp

※本記事は2016年3月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。

 

書いた人:マツータケシ

マツータケシ

福岡在住。某出版社を経て、フリーのカメラマン&ライターとして活動中。好きな言葉は「一日三度のメシ」。福岡の安くてうまい穴場を発掘することにはまっている。

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