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モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー



モーニング娘。'16 鈴木香音卒業 インタビュー

「自分はどういう風に思われたっていい。笑ってほしい」 「私にとってはモーニング娘。が太陽だった」

 5月31日の日本武道館公演をもってモーニング娘。での5年半の活動に終止符、そして芸能界を引退し、次の夢である福祉の世界へと進んでいく鈴木香音。この卒業インタビューでは、加入前の少女時代~センター宣言したデビュー、愛をもって厳しく育ててくれた先輩、体型にも表れた0か100の性格、心ない言葉に傷ついた無の時代、笑顔を大切にしたいと思った理由、アメリカでの人気の理由、卒業の真相、メンバーへのメッセージ等、あの笑顔を何度も輝かせながら語ってくれた。

 香音が笑えば娘。は笑う――― 12歳から17歳という幼いままで何の問題もない日々を、とにかく人を笑顔にする為に生きてきたモーニング娘。人生。そのドキュメンタリーをここに記録する。

厳しくしてくれた先輩「なんでそこまで人の為に出来るんだろう?」

--2011年1月2日 中野サンプラザで行われた【Hello! Project 2011 WINTER ~歓迎新鮮まつり~】にて、9期メンバーとして「なるべく早いタイミングでセンターポジションを獲れるように頑張るので、よろしくお願いします!」と加入してきた鈴木香音12歳。当時のことはよく覚えてますか?

モーニング娘。9期コメント 2011/04 (English sub)
モーニング娘。9期コメント 2011/04 (English sub)

鈴木香音:覚えてます! とにかく「モーニング娘。のメンバーさんに会えて嬉しい」みたいな気持ちが大きくて、頭を撫でられたりとかして「うわぁ~! さわってもらった。めっちゃ良い匂いする!」って思ってました。まだただのファンでしたね(笑)。

--モーニング娘。に会えたことがとにかく嬉しかったんですね。

鈴木香音:あと、すごくたくさんお客さんがいて、でも普段と変わらずに喋れてる自分にビックリして。とにかく笑いすぎて、歯が乾いてくちびるがくっついちゃったりしたんですけど(笑)わりと落ち着いていつも通り喋ってたなって。今振り返ると「度胸あるなー」って驚かされます。

--当時の映像を振り返ると緊張してる様子が全くないですよね。

鈴木香音:怖いもの知らずで、それまでもほとんど緊張したことがなかったんです。それこそマラソン大会とか競わなきゃいけないときぐらいで、学校の発表会とかも全く緊張しない子供だったので、あのときも全く緊張しなかったです。むしろずっとニコニコしてて楽しそうでしたよね(笑)。

--モーニング娘。に加入する前はどんな女の子だったんですか?

鈴木香音:加入当時、全くカメラとか回ってないのに「モノマネします!」って先輩の前ではしゃいだりしてて、とにかく自分がふざけることでみんなに笑ってほしい!みたいな感じだったんですけど、加入前もそのまんまでした。小学校高学年ぐらいから授業中に先生の話していることにチャチャ入れるようになって、それでクラスに笑いが起きるみたいな。授業を楽しくしたいと思っちゃうような子だったんですよね。だから基本的には変わらないです。

--そんな女の子が何きっかけでアイドルになろうと思ったんでしょう?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:一番最初はアニメだったんですけど、『おジャ魔女どれみ』が好きで、その中の女の子がアイドルだったんですけど、私が生まれてちょっと経ってから始まったアニメだったから、物心がついたときにはもう「アイドルになりたい」「テレビに出る人になりたい」ってなってたんです。だから将来の夢について悩むとかもなかったんですよ。それが4,5歳ぐらいのとき。そこから12歳でモーニング娘。に加入するまで「アイドルなんてなれる訳ないじゃん」ってすごくバカにされて、悔しくて「じゃあ、歌手になりたい」ってちょっと方向転換した感じで言ったりもしてたんですけど、本当はずっとアイドルになりたくて。今から目指したい福祉系の仕事に就く夢も小学校高学年ぐらいには抱いていたんですけど、そんな中でモーニング娘。のオーディションがあったので「受けたい」と思って、そっちの道へ進んで行った感じです。

--モーニング娘。を最初に認識したのっていつ頃なんですか?

鈴木香音:その時期です。メンバー募集が始まったぐらいのときに「モーニング娘。をちゃんと知ろう」と思って。それまでも知ってはいたんですけど、どの期にどのメンバーが入ったとかそこまで詳しくは分かっていなかったので、ちゃんと観るようにしたら一気にファンになっちゃって。毎日学校に行く前、早起きして朝からモーニング娘。の動画を観て、学校から走って帰ってきてからもずっとモーニング娘。を観てました。それぐらいすっごいハマっちゃって、「好き!好き!」って気持ちが止まらなくなった時期に合格できたから「え、いいのかな?」みたいな(笑)。

--なんでそんなにハマったんですかね?

モーニング娘。 『リゾナント ブルー』 (MV)
モーニング娘。 『リゾナント ブルー』 (MV)

鈴木香音:アーティストっぽい感じ。アイドルだけどキャピキャピしてなくて、格好良くて見入っちゃう感じ。アイドルと言えばモーニング娘。というイメージはあったんですけど、実際にちゃんと観てみたら、私の知っているアイドルとは違う格好良いアーティストだったんですよ、当時のモーニング娘。は、その8人、9人編成のときのモーニング娘。にハマってしまって「このグループに入りたい!」って思ったんです。自分があんな風になれるかどうかは分からないけど、「会いたい、この人たちに」って思いました。

--そんな鈴木香音含む9期メンバーがモーニング娘。に入ってきた訳ですが、鞘師里保も「最終的にはリーダーになる」と強気でしたし、みんな幼くて小さいのにビッグマウスだったのが印象的でした。

鈴木香音:ハハハ!

--あの頃、鈴木香音は将来的にモーニング娘。でどんな存在になると夢見ていたんでしょうか?

鈴木香音:当時はまだそういうイメージとか全くなくて、とにかく「モーニング娘。が好きだから一緒にいたい」って思ったりとか(笑)、あとは「なんちゃって恋愛」とか「しょうがない 夢追い人」とかをステージ上で歌っている自分で在りたいと思って、そういう漠然とした夢はあったんですけど、自分がグループの中でどういう立ち位置でやっていくか?とかは全く考えてなくて、とにかく「あの曲を歌ってみたい!」っていう気持ちだけがありましたね。

--先日の鈴木香音ソロイベントで「しょうがない 夢追い人」を一人で歌われていましたけど、どんな気分でした?

モーニング娘。 『しょうがない 夢追い人』 (MV)
モーニング娘。 『しょうがない 夢追い人』 (MV)

鈴木香音:「これ、やりたかったやつ!」って(笑)。夢が叶いました。

--その「しょうがない 夢追い人」も歌っていた5期の高橋愛、新垣里沙、6期の田中れいな、道重さゆみ、8期の光井愛佳と錚々たるメンバーが揃っていた時代のモーニング娘。へ加入した訳ですけど、実際に共に活動してみてどんな印象を持たれました?

鈴木香音:私、当時のモーニング娘。の皆さんを超人だと思ってて(笑)、リハーサルなんかしなくても何でも出来ちゃう人たちだと思っていたんですよ。

--アニメキャラ的な見方だったんですかね?

鈴木香音:そうなんです。まだ12歳だったから知ってることも本当に少なかったので。でもいざ自分が入ってみたら、1,2ヶ月みっちりリハーサルをして、それで私が映像で観ていたあのコンサートにまでクオリティを上げていくんだなって知って、想像していた世界とは違いましたね。裏で努力しているところまで想像ができてなかった。

--で、自分たちはもっと努力しなきゃいけない訳ですよね?

鈴木香音:そうなんですよ(笑)!

--憧れの先輩たちと初めて一緒にパフォーマンスを披露したときは、どんな気持ちになりましたか?

モーニング娘。 『まじですかスカ!』 (MV)
モーニング娘。 『まじですかスカ!』 (MV)

鈴木香音:完全に5(先輩)対4(9期)みたいな感じだったので、9期は一緒に前に行って後ろに下がるっていう、移動の仕方も全部5対4だったんです。だから最初は一緒にやってる感じがあんまりなかったんですけど、9期のデビュー曲である「まじですかスカ!」のミュージックビデオが出来上がったときに、先輩のリップシーンと9期メンバーのリップシーンが交互に入っていたのを観て、「え、おんなじように出て行っちゃっていいのかな?」って思って、「しかも自分の顔が高橋愛さんの次に映っちゃっていいのかな?」って思って、それはすごく不思議な感覚でした。だから最初は「きっとこれは世に出ずに終わっちゃうんだろうな。自分たちで観て終わっちゃうんだろうな」って思ってたんです。信じられなさ過ぎて。12歳ながらに自分でも自分が子供なのは分かるし、こんなに違和感ある感じで出ちゃっていいのかなって思ってたんです。現実味がなかった。

--では、自分の中でリアリティが出てきたのは?

鈴木香音:そこに辿り着くまでは結構時間がかかりましたね。先輩が卒業していくにつれてっていう感じだったので、だいぶ時間がかかりました。

--当時の9期は、光井さんが新人教育係的なポジションでいろいろ教えていたと思うんですけど、彼女にはどんな印象を持たれていましたか?

鈴木香音:うーん……最初は「あ、こんなに怒る人なんだ?」と思ってました(笑)。それまで先輩に怒られることってなかったんですよ。小学生だったから部活も全然厳しくなかったし、だから先輩後輩の関係値みたいなものも全く分かってなくて。だから「敬語を使って、先輩よりも一歩引いてれば大丈夫」ぐらいの結構軽い意識でいたんですよ。なので、例えば、本番前に「何分前です」ってスタッフさんから言われても、とっさに返事が出来なくて怒られたりして。一番よく覚えている怒られ方が「9期、返事」っていう。

--(笑)

モーニング娘。 『女が目立って なぜイケナイ』 (光井愛佳 PV Solo Ver.)
モーニング娘。 『女が目立って なぜイケナイ』 (光井愛佳 PV Solo Ver.)

鈴木香音:すっごい低めの声で「9期、返事」って(笑)。でもその光井さんが卒業された後に、高橋さんから「本当は怒っていいのか悩んでたんだよ」っていう話を聞いて、私も先輩になってそれを経験して「こんなに難しい事を率先してやっていてくれたんだな」って思って。一番近い後輩だから本当は……、私は10期が入ってきたときに「仲良くしたい」って思っちゃったんですよ。「友達になりたい」ぐらいの勢いで思っちゃったんですけど、光井さんは私たちが一番近い後輩なのにちゃんと厳しくしてくれて、本当に凄いなと思いますし、感謝してますね。

--その話、高橋さんはラジオで語られてましたよね。光井愛佳は嫌われると分かりながらも後輩に厳しい先輩であり続けていたこと、でも裏では泣いていたこと。それを知った瞬間はどんな気持ちになりました?

鈴木香音:一切そういう姿を私たちに見せなかったんですよ、光井さんは。だから「なんでそこまで人の為に出来るんだろう?」って思いました。だって、誰だって「自分が一番」って思ったりするじゃないですか。自分の評価が気になったりもするはずなのに、それをさしおいて私たち9期メンバーのことを想って、私たちが恥をかかないように一生懸命いろいろ教えてくれていた訳だから……そこまで人の為に出来る人なんて本当に少ないと思うし、すごく嬉しかったです。

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笑顔の理由「自分はどういう風に思われたっていい。笑ってほしい」

--また、高橋さんは鈴木さんについて「9期に嫌われてもいいから厳しくした愛佳のような責任感の強さを感じる。モーニング娘。の歴史というか絶対忘れちゃいけないものを伝えてくれてる役割をしてるなぁ。これからもよろしくお願いします」と語っていましたけど、光井さんの教え方や生き様みたいなものは、鈴木さんがどんどん先輩になっていって後輩に何か伝えたり教えていく上で生きていた?

鈴木香音:光井さんの存在が一番大きくて、「光井さんがこうしてくれたんだから、私もそうしよう」って思ったりして。それで一番叱ったりしたのが佐藤(佐藤優樹/10期)だったんですけど、自分が言われてきたことを一番伝えたメンバー。だから今になっても「鈴木さん、こわーい」ってすごく言われるんですよ(笑)。でもやっぱり私が怖いって言われても何とかお仕事の……最初は「今日、何の取材ですか?」ってちゃんと紙に書いてあるのに聞いてきちゃう。というか、「取材ってなんですか?」みたいな! そういったそもそもの部分から一つ一つ教えていったんですけど、そこまでやっておいて良かったなって。今はしっかりしてくれているので。

--いきなり最初の相手がまーちゃんだったんですね。

鈴木香音:おかげで免疫がついたので、その後はそんなに苦労してないです(笑)。

--先日、石田亜佑美さん(10期)に単独インタビューを行ったんですが、そこで「鈴木さんは私がモーニング娘。に加入して、一番最初に仲良くなれた先輩だったんですよ。鈴木さんがそうやって楽しく歓迎してくれてなかったら、10期もこんなにはしゃぐ人たちになってなかったと思うんですよ(笑)」と語っていました。どういう想いから積極的に後輩とコミュニケーションを取ろうと思っていたんですか?

モーニング娘。'16『Tokyoという片隅』(Morning Musume。'16[In a corner of a city called Tokyo]) (Promotion Edit)?
モーニング娘。'16『Tokyoという片隅』(Morning Musume。'16[In a corner of a city called Tokyo]) (Promotion Edit)?

鈴木香音:自分の中では普通に過ごしていただけなんですけど、でもみんな同じぐらいの年齢ですし、私からしたら話しかけない意味も分からないし、昔から積極的に話しちゃう性格だったので、遊べるなら一緒に遊んだほうが楽しいじゃないですか。ダンスにしたって、自分よりダンス歴が長い亜佑美ちゃんに教えてもらえるなら教えてもらいたいし、そういう想いだったと思います。仲良くしないより入り込んでいったほうが何かと上手く回るじゃないですか。

--でもそれが出来ない人もいるじゃないですか。例えば鞘師さんみたいに人見知りだと難しいでしょうし、その何気ない鈴木さんの動きが当時のモーニング娘。にとっては重要だったんじゃないですか。

鈴木香音:私自身は全然楽しんでやっていただけなんですけどね(笑)。

--また、鈴木さんにおける「モーニング娘。の絶対忘れちゃいけないものを伝えてくれてる役割」と言えば、笑顔。それこそお披露目のステージからめちゃくちゃ良い笑顔を見せていましたが、意識的に笑顔を大事にしようと思ったのはいつ頃から?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:うーんと……いつだったのかな? 最初は単純に笑っちゃうのがクセだったんですよ。だから全然意識してなかったんですけど、そのまま何年か活動していたら……3年ぐらい前かな。ツアーの初日、すごく楽しいと思って普通に笑っていたら、それを見たスタッフさんやファンの方、ブログのコメントなどでも「香音ちゃんの笑顔を見て○○○が頑張れました」みたいに褒められたり喜んでもらえたりして、笑うことって私の中で普通のことだったのに、私が笑っただけでそういう風に言ってくれる人がいるんだと思って。誰だって笑おうと思えば笑えるじゃないですか。でも「香音ちゃんの笑顔は特別だよ」って言ってくれたファンの方がいて、「あ、なんだ? ちょっと難しく考えすぎていたかもしれない」って思って。「もっと可愛い表情を研究したり、格好良いダンスを踊れるようにならないと嫌われちゃう」って考えていたんですけど、私が笑顔でいること。それだけでも気付いてくれる人がいると思ったら気がラクになって、そこから自然と笑えるようになったりもして。

--12歳とか小さい頃って何が起きても笑えますけど、年齢や経験を重ねていくとツラいことだったり、泣きたくなるようなことだっていっぱい出てくるじゃないですか。それでも笑い続けられた要因って何だと思います?

鈴木香音:そもそもクセだったから「笑わなきゃ」みたいなプレッシャーもなかったんですよ。あとは、とにかく私が楽しいのが伝われば良いなって、それは一方的な私の想いではあるんですけど。でもそうすることによって喜んでくれる人がいるじゃないですか。「すごく素晴らしい連鎖だ!」って思って。お互い嫌なことが何もないというか、私が笑ったら誰かが笑ってくれて、その笑顔を見るのが私は幸せだから、そういうプラスなことしかない連鎖に気付く事ができて、それからは楽しくやることを一番に考えるようになりました。

--今の話、まさに新曲「The Vision」における「楽しむ事は人間の義務なんだよ 悪い想像ばかりしても誰も得しない 笑おうよ」というフレーズそのものですね。

モーニング娘。'16『The Vision』(Morning Musume。'16[The Vision]) (Promotion Edit)
モーニング娘。'16『The Vision』(Morning Musume。'16[The Vision]) (Promotion Edit)

鈴木香音:私、関係ないところまで結構悩んじゃうクセもあって、「そんな後のことを今考えなくてもいいじゃん」って思うようなことに対してもずっと前から不安になっちゃったりして。だから1週間ぐらいずっと同じ事について考えてるんですよ。でも最終的には「あれ? 別に考えなくてもよくない?」って気付くんです(笑)。そういう部分も「The Vision」の歌詞にはリンクするなと思って。どんなに悩んでも最後は「悪い想像ばかりしても誰も得しない 笑おうよ」っていう考えに辿り着く。

--最終的に「笑おうよ」に辿り着くまでは、具体的にはどういうことに悩んだりしてきたんですか?

鈴木香音:本当にちっちゃい事から大きい事までいろいろあるんですけど、例えば「これを覚えなさい」って振りビデオを頂くんですけど、私はその振りを「周りのメンバーより早く覚えなくちゃいけない」って思っちゃって、変な圧を自分にかけちゃうんです。それで「どうしよう? 今日も出来なかった」「どうしよう? 周りのメンバーがまだ私の覚えてないところを踊ってる!」「私は出来ないから、一番最初に覚えなきゃいけないのに!」ってなっていくんです。リハーサルまでに覚えていればいい話なのに、そのずっと前から悩み出して、その悩んでる時間で覚えろよって思うんですけど(笑)、そういうところが不器用でヘタクソ過ぎて。悩みまくって、すごく不安な時間だけが長くて、結局リハーサル直前で覚えるっていう。あと、これは入って間もない頃の話なんですけど、周りのメンバーとの差が気になる。同期もどんどん前に出て行くし、後輩が私より全然ダンスが上手い、歌が上手いっていう状況で、私に敬語を使ってくれている相手より劣ってる私はダメだって悩んでしまう。それも今思えば「そんな悩んでる時間あったら練習しようよ」って思うんですけど(笑)、だからもう全部「悪い想像ばかりしても誰も得しない 笑おうよ」に通ずるなって。

--先日、卒業シングル『泡沫サタデーナイト!/The Vision/Tokyoという片隅』のリリースイベントの取材記事で“香音が笑えば娘。は笑う”と書かせて頂いたんですが……

鈴木香音:ありがとうございます。

--あの日の囲み取材もそうでしたし、鈴木香音はおそらく歴代メンバーの中で最もモーニング娘。に笑顔をくれた人ですよね。

鈴木香音:えぇ!?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

--笑わせもしたし、笑われもしたし、いろんな笑顔があったとは思うんですけど。

鈴木香音:「笑われる」が一番多かった気がします(笑)。ただ、自分はどういう存在でもいいんですよ。どういう存在でもいいし、どういう風に思われたっていいんですけど、とりあえず笑ってほしいっていう考えなんです。それは笑われててもいいし、何でもいいんですけど、とにかく人をそういう気持ちに、プラスの方向に持っていきたくて。そこは根本的な意識としてあるんだと思います。

--サラッと言ってますけど、ナイチンゲールとほとんど同じ思想ですよ(笑)。

鈴木香音:ハハハハ!

--「私はどうだっていんです。とにかくみんなが笑ってくれれば」ってなかなか17歳の女の子が言える言葉じゃありませんよ。

鈴木香音:本当に何でもいいんですよ。どう思われていたとしても、何らかの形で私を知ってくれている訳じゃないですか。それが私は嬉しいです。

--先日の鈴木香音ソロイベントにゲスト出演していた勝田里奈(アンジュルム)さんも「いるだけで笑える」と仰ってましたね(笑)。

アンジュルム『次々続々』(ANGERME[One by One, One after Another])(Promotion Edit)
アンジュルム『次々続々』(ANGERME[One by One, One after Another])(Promotion Edit)

鈴木香音:「存在が笑える」って(笑)。でも私はその発言が超嬉しいんですけどね。

--周りの人が落ち込んだり怒った顔をしているより、笑っていてほしい。そういう想いが鈴木さんの根本にあるんでしょうね。

鈴木香音:ありますね。私はいろいろ難しく考えやすいタイプではあるんですけど、だからこそ周りには「あんまり難しく考えないで、もうちょっと楽しくしようよ」って言いたいんですよ。つい最近、野中(野中美希/12期)が足をケガして、私も1年前に同じ状況だったから、必要以上に野中のところに行ってたんです。私、お節介なんですよ(笑)。

--でもそれは気持ちが分かるからでしょ?

鈴木香音:そういうのもあって、マイナスな方向に向かわないように楽しく過ごしてほしいなと思って。それは自分に対しても、周りに対しても常にあります。

--野中さんには、具体的にはどんなお節介を焼いたんですか(笑)?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:ハハハ! まだ一番下の期なんで、先輩だらけの中で全員に「ここ、こうしたいんですけど」みたいな意見って言いづらいと思うんですよ。自分も一番後輩だった時期はあるので、それは分かるんです。そういうどうしたらいいか分かんない状況のとき、具体的に言うと、野中が足のケガから復帰する為のリハーサルがあって、野中はケガ中は座りバージョンでパフォーマンスしていたから、いざ本来の場位置に立ってパフォーマンスするってなったとき、すごく不安だったと思うんですよ。だから「今のところもう1回一緒にやってもらっていい?」って積極的に言ったりして、みんなが効率よく立ち回れるように、そして野中も安心して本番に望めるように考えながらリハーサルしたんです。やっぱり不安を抱えたままステージに立ってほしくなかったので、そのときはそういうお節介を焼きました(笑)。

--とっても良いお節介。先日のリリイベでまーちゃんも「心も見た目もでっかい人でした。器がすごくデカくて、まさがちょっとイジワルしても「大丈夫だよ~」って言ってくれる人だったので、今後誰にそうしたらいいのかな~? っていうのは悩みのタネです」と言っていましたが、鈴木香音ポジションを今後担える人って出てくるんですかね?

鈴木香音:私のポジションですか? 私はどういう立場でも笑っててほしいっていう人だからアレですけど、きっと笑われるのってそんなに良い事と思わないじゃないですか。

--普通はイラっとしますよね(笑)。

鈴木香音:だから別に誰も私のポジションに立たなくていいし、みんな個々に幸せな道を生きていってほしいと思います!

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“無”の時代「全員が「早く辞めろ」とか思ってるんじゃないかな」

--鈴木香音は、いろんな意味で近年のモーニング娘。におけるバランサーだったと思うんですが、体型でもグループのバランスを取っていた印象がありまして。

鈴木香音:はい(笑)。

--昨年、鈴木さん、ダイエットに成功して、その直後に夢のセンターポジションを獲得したじゃないですか。ネットでも「鈴木香音が痩せて美少女になった!」と騒がれました。まずあのときはなんで痩せようと思ったんですか?

モーニング娘。'15『Oh my wish!』(Morning Musume。'15[Oh my wish!]) (Promotion Edit)
モーニング娘。'15『Oh my wish!』(Morning Musume。'15[Oh my wish!]) (Promotion Edit)

鈴木香音:さすがにちょっと「こんな長い期間、この体型はダメじゃないか?」って思いまして。周りからも言われますし、私、すごくネットを見てる人だから自分がどう思われているかも分かるし、「さすがにこんなに言わせっぱなしは悔しい」と思ってダイエットをすることにしたんです。で、やるって決めたら、私は0か100の性格なんですよ。だから2ヶ月で12kgも痩せられたと思うんですけど、0か100だからお菓子を一口でも食べてしまったら「あ、食べてしまったからダイエット失敗だ」ってなるんです。別に一口ぐらいだったらそんなに気にせず少し運動すればいいだけなのに、でも「もうダメだ!」ってなって一気に戻っちゃったんですよ(笑)。

--物凄く極端な性格なんですね。

鈴木香音:極端なんですよ、昔から!

--それでリバウンドしてしまったと。

鈴木香音:はい。

--これはもう完全に勝手な憶測なんですけど、鈴木香音が痩せて美少女になったと話題になっていた頃、鞘師里保が自ら「ベイマックス」とか言っちゃうぐらいぽっちゃりし出したじゃないですか。で、鈴木さん、鞘師さんのこと大好きでしたよね?

鈴木香音:(笑)

--以前のウチのインタビューでも「私、里保ちゃんのダンスが世界一だと思ってるんです」と仰っていましたよね。同じ歳だけど、憧れの存在でもあるって。それは間違ってないですよね?

鈴木香音:間違ってないですね。

--そのことを思い出したとき、ふと考えたんです。「これ、もしかしたら鞘師さんの為にリバウンドしたんじゃないか?」って。

鈴木香音:ハハハ!

--……当たってますか?

鈴木香音:いや、それはちょっと違うかなー(笑)

--そしたらすごく美談だなと思いまして。

鈴木香音:ハハハハ!

--さすがにそれはないと。

鈴木香音:自分のことで精一杯でした(笑)。

--過去にも加護ちゃん辻ちゃんや吉澤ひとみをはじめ、ぽっちゃりした時期を笑いに変えてきたメンバーはいましたけど、その点においても鈴木香音を超えるメンバーは今後出てこないと思います。実際、体型をいわゆるネタにしていくのはどんな気持ちだったんでしょうか?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:別に昔からすごく抵抗があった訳ではないんです。ただ、それを「私、ぽっちゃりなんです」って一回言っちゃうと、それで喜ぶ人たちがいるのが最初は少しイヤだったんです。「うわ、ついにふっきりやがったぞ」って言われるのがイヤで、だから最初は体型について触れないようにしていたんですけど、お正月のテレビ番組に出させて頂いたときに言っちゃって、そしたら収録が楽しくなっちゃって(笑)。「なんとなく言うのがイヤだったけど、ここで言ったほうが面白くなるかもしれない」っていう思いつきだったんですけど、そしたら思いの外それに食いついてくれた佐藤とかがいて。

--まーちゃん、それ以来ほぼ100%反応してますよね(笑)。

鈴木香音:それで「あ、なんだ、言っちゃったほうが面白いのか」と思ったんですけど、周りがビックリしちゃって、工藤(工藤遥/10期)に「鈴木さん、どうしたんですか? なんでそんなこと急に言うようになったんですか?」って言われて(笑)。自分のことを隠したくて言わなかった訳じゃないけど、言ったほうが面白いんだって気付いて言うようになったんですよね。そのほうが楽しいし。

--そこは大きな転換期でしたよね。

鈴木香音:そのとき自分では気付いてなかったんですけどね。でもそれを言ったことによって知ってもらえる機会も多くなったり、ネットニュースに載せてもらえる機会も増えたりしたので、「最初からもっと言っておけばよかった」って一瞬後悔しました(笑)。

--少し荷が下りた感覚もあった?

鈴木香音:その以前よりは楽しく過ごせるようになりましたね。

--ただ、今、自分でも仰ってましたけど、鈴木さんはネットサーフィンやエゴサが大好きなようで。体型のことで心ない言葉を書かれて、それを目にする事も少なくなかったと思うんですけど、どう考えても傷付きますよね?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:そうですね。でも書かれていることは本当なんですよね。根も葉もないことだったら「いやいやいや!」って笑えるけど、自分のせいでイメージダウンというか、多分それを書いた人は不快に思ったんだろうし、0か100かなんで「その人がそう思ったんだったら全員そう思ってるんじゃないか」って。だからステージに立ってても「きっと私のこと、ここにいる全員が「早く辞めろ」とか思ってるんじゃないかな」って(笑)。

--地獄じゃないですか。

鈴木香音:だからそのときは本当にツラくて! まだ中学生だったんですけど、学校に行っても「周りにいる人全員「学校に来るな」って思ってるんじゃないかな?」って思うし、全然イジメられてないんですよ? むしろ「香音ちゃん!」って話しかけてくれるのに「あ、この子も……」って(笑)すぐ戦闘態勢に入っちゃって。

--世界中が敵に見えちゃったんですね。

鈴木香音:私の中の思い込みのせいで。だから0か100かの性格のせいで周りも振り回しちゃいましたね。

--もうそうなると「笑顔が大事」とか言ってられないですよね? どうやってステージに立ってたんですか?

鈴木香音:“無”でしたね。自分がそうやって思ってるだけなんですけど、これ以上自分が傷付きたくないから、なるべく感情を無にしていようと思って。でもたまたま目が合ったファンの方が他のメンバーのことを見たりすると、「あ、今、私と目が合ったのがイヤで他のメンバー見たんだ」みたいな(笑)。だから本当にその時期の自分は面倒くさかったです。今振り返っても面倒くさかったと思うし、そのときの自分とは自分でも関わりたくないって思う。

--鈴木香音と言えば今は“笑顔”のイメージですけど、たしかに“無”の時期もありましたよね。でもそれを先ほど話してくれたテレビだったり、ファンの「香音ちゃんの笑顔は特別」という言葉だったりが変えてくれた流れだったんですか?

鈴木香音:そうですね。「香音ちゃんの笑顔で○○○が頑張れる」って言ってくれる人がいて、もしかしたら多くの人は私のことを嫌ってるかもしれないけど、そう言ってくれる人がひとりでもいるんなら「私はその人の為にステージに立つ」って思えたのがきっかけだったんですよ。それ以降は今の感じになっていくんですけど、あの時期のことは後悔してますね。「もっと楽しく過ごしたかった」って。

--根本的な話になりますけど、ネットを見なきゃそうなりませんでしたよね(笑)。

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:たしかに。でもなんで見ちゃうかと言うと、褒められたくて見てるんですよ(笑)! 特に当時はまだブログをやっていなかったし、個別握手会とかもなかったので、ファンの人と話す機会が本当に少なかったんです。だからファンレターだけでは物足りないときは、誰か自分を褒めてくれてないかネットに探しに行っちゃったんですよ。結果的に傷つきに行ってたんですけど(笑)。

--でもそんな“無”の時代を過ごしていた存在が、今では飯窪さん(飯窪春菜/10期)の言葉を借りれば“太陽”のような存在とまで言われるようになりました。

鈴木香音:嬉しいですね。

--また、近年はアメリカに行ったら絶賛の嵐。鈴木香音を愛おしいと思ってくれるファンが海外にもたくさんいたことに気付きました。どんな気分でした?

鈴木香音:とりあえず意味が分からなくて(笑)。普段から全国各地でライブをしているんですけど、いつも「自分のカラーである緑色を身につけている人はどれぐらいいるのかな?」って見渡しては、「あ、今日は少ないな」って思うこともよくあるんですけど、いざアメリカに行ってみたら理解できない光景が広がっていたんですね。「こんな風になる要素が私にある? そんなに好きになってもらえるようなことを何かしたかな?」って思っちゃうぐらい。私たちがそこまで何回も海外公演をやってきていた訳でもなかったので、最初は本当に意味が分からなくて……でもただただ嬉しかったです。

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それでも「おかあさん」って言って笑ってくれるのが嬉しくて

--鈴木香音のアメリカでの人気の要因は何だったんですかね?

鈴木香音:ニューヨーク公演の終演後にファンの方々からプレゼントをもらったりして、この前のヒューストン公演のときも頂いたんですけど、そこには「香音ちゃんの笑顔がすごく好き」っていう言葉がすごく多くて。私は「この体型がウケてるんじゃないですかね?」って思ってたし、言ってたし、もちろんそこが好きな人もいるかもしれないんですけど、でも“笑顔”っていう、言葉がなくても通じるもので私を好きでいてくれた。それを知ったときは「もっとこの笑顔を武器にしてやろう」って思いましたし、アメリカは自分の笑顔に自信をくれました。でも「ズッキ」コールとか未だに信じられないです(笑)。

--海外であんなに極端に愛されたメンバーも初めてでしょうし、だから鈴木香音は卒業後てっきりアメリカで芸能活動をするんだと思ってましたよ。

鈴木香音:ハハハハ! 私、対応力がないんで(笑)それは考えなかったですね。だから鞘師は凄いと思います。

--あと、新曲「泡沫サタデーナイト!」も鈴木香音のキャラクターありきで生まれた曲だし、ミュージックビデオだなと感じたんですが、こういう曲で卒業できるのはどんな気分ですか?

モーニング娘。'16『泡沫サタデーナイト!』(Morning Musume。'16[Ephemeral Saturday Night]) (Promotion Edit)
モーニング娘。'16『泡沫サタデーナイト!』(Morning Musume。'16[Ephemeral Saturday Night]) (Promotion Edit)

鈴木香音:もうすごく嬉しくて。寂しい曲や切ない落ち着いた曲は得意分野じゃないんですけど、表情とかも含めて全部自分の思い通りというか、「自分がもし卒業するんだったら明るい曲で卒業したいな」ってなんとなく思っていたそのイメージにピッタリの曲を頂けたので、とにかく嬉しいんです。あと、この曲はパート割りとか決まる前の段階から「きっとこれは人生で一番好きな曲だ」って思ったんですよ。自分のメイン曲になるってまだ知らなかったのにそう思ったということは、凄い運命の出逢いなんですよ! そんな曲でまさかDJMCパートを頂けるとは思ってなかったし、歌うパートもおいしいところをもらえたし、そんな運命的な曲で卒業できるのが嬉しいです。

--先日の囲み取材やソロイベントを観た後に「泡沫サタデーナイト!」を聴いたら、笑顔で大はしゃぎするパーティーチューンのはずなのに、何度かウルッと来る瞬間があったんですよね。

鈴木香音:私もミュージックビデオをちゃんと観ちゃうと、ちょっと寂しくなっちゃうんですよ。「残り58秒」って秒数も表示されるから「終わっちゃうんだ……」って思って。だからちゃんと観ないようにしてるんですけど(笑)。

--武道館での卒業ライブの「泡沫サタデーナイト!」を想像するとヤバいですよね。

鈴木香音:それも想像しないようにしてます(笑)。まだ公演が残ってるのに泣いちゃいそうなので!

--そんな鈴木香音のモーニング娘。人生もあと僅かで終わってしまいます。福祉の仕事に就く為に卒業する訳ですが、どうしてまだ鞘師さんが卒業してからも間もないこのタイミングで決断したんでしょうか?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:私が卒業を考え始めたときは、まだ鞘師の卒業の件を知らなかったんです。なので、それを知ったときは「里保ちゃんの卒業タイミングがここってことは、もしかしたら私はもっと先になるのかな?」って思ったぐらいで。で、私もまだ17歳なので「なんで今なの?」ってよく聞かれるんですけど、別に年齢とかは全く関係なくて「自分の気持ちが変わったから」っていう理由なんです。それですぐ動いちゃうから先のことがいつも不安になるんですけど(笑)、だから特に深い意味とかなくて、ただただ「新しい道に進みたい」って思ったからなんです。

--なんで今そう思ったんだと思います?

鈴木香音:ツラいこともたくさんあるし、私の場合は考えるのがヘタクソだからリハーサルとかも「覚えなきゃ!」とか凄いストレスで(笑)。本当にこの仕事を続けていくにはヘタクソなやり方をしてるなって、ずっと思っていたんですけど、でもそれ以上の喜びがあったからずっと続けられていた。だからツラいから辞める訳ではない、それはちゃんと言っておきたいと思っていて。自分でも分からないんですけど、本当に何故かこのタイミングで「新しい道に進みたい」って思ったから卒業を決断したし、そう思ったからには進んで行きたいんです。それを応援してほしいなって。悲しんじゃう方もいるんですけど、なるべく悲しませたくないんで……

--モーニング娘。における鈴木香音の最後のミッションは、卒業までにその悲しんでいる人たちをどれだけ笑顔に変えられるか? ですよね、きっと。

鈴木香音:泣いてほしくないんですよね、あんまり。個別握手会でだんだん「今日最後です」って方も増えてきて、その中にはすごく笑いながら泣いてる方もいるんですね。だからどうしたらいいか分からなくなっちゃって……「どうしたら笑ってくれるんだろう? でももう笑ってはいるもんな」みたいな(笑)。でもとにかく最後まで私の気持ちを伝えていけたらなって思ってます。そしたら「私が泣いてほしくない」って思ってるその気持ちも伝わるかなって。

--とは言え、鈴木さん自身も先日のレギュラーラジオ番組『カンノンスマイル』最終回の収録で大号泣だったみたいですが、今はどんな心境なんですか?

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

鈴木香音:さすがにもう実感が湧いてきていて。今日この事務所に来るまでの道も「何度も通ってきたこの経路もあと何回かで使わなくなっちゃうのかな」って思ったり、ひとつひとつの会場も何回も行ったことがあるのに「あ、今日、最後なんだ」って思って、「じゃあ、もうちょっと明太子食べておこう」とか(笑)。

--福岡ですね(笑)。

鈴木香音:そうやってちょっとずつ「最後」っていう実感が湧いてきている。でもそこで新しく何かしようっていう考えもないので、今のまんま。毎日ブログ書いて、私が笑ってる写真をなるべく皆さんに見せて、今出来ることをやろうと思ってます。

--この5年半のモーニング娘。人生は鈴木香音にとってどんな日々でした?

鈴木香音:……モーニング娘。じゃなく過ごした5年半だとしても、年齢的に一番性格も変わりやすい時期だったと思うんです。でもその一番いろんなことを吸収して変わりやすい時期にモーニング娘。としていられたから、すごくいろんな感情を知れたんですね。「楽しい」っていう感情の中にもいろんな種類があって、「なんで悲しいのか?」っていうこともいろいろ知れて、この世界にいたから感情もすごく豊かになって、昔よりもテレビを観て笑う回数もすごく増えたりもして、だから私の人間性をすごく成長させてくれたなって。ツラいことも楽しいことも全部含めて私のモーニング娘。人生だったので、幸せだったなって思います。

--本当に怒涛のモーニング娘。人生でしたよね。気持ちの浮き沈みもあって、グループとしても個人としても変化がいっぱいあって。

モーニング娘。'14 『笑顔の君は太陽さ』(Morning Musume。'14[You bright smile is like the sunshine]) (MV)
モーニング娘。'14 『笑顔の君は太陽さ』(Morning Musume。'14[You bright smile is like the sunshine]) (MV)

鈴木香音:それも全部含めて……後悔は全くしてないですし、むしろこんなにもいろんな経験をさせてくれて「ありがとう」って思っています。いろんなことを知れて良かったです。モーニング娘。は本当に今の鈴木香音を作ってくれた場所だし、すべて。本当に物心ついたときの一番最初の夢がアイドルだったから、私の17年間のすべてがモーニング娘。には詰まってる。みんなが「鈴木さんの笑顔が……」って言ってくれるみたいに、私にとってはモーニング娘。が太陽だったなって思います。

--卒業後はどんな人生を歩めたらと思っていますか?

鈴木香音:多分そんなにすぐ性格は変えられないだろうし、変えるつもりもないんですけど……今まで知ってきた人との関わり方を通じて、マイナスな感情の人がいなくなるような場所に私はなりたいです。だからいろんなところに行きたいし、なるべくいろんな人と楽しく過ごしたい。今からちゃんと勉強もして、「誰かを助けたい」と思っているので、それが出来る人間になりたいと思います。

--そうした人生を鈴木さんが歩んでいく中で、これからのモーニング娘。にはどんな未来を歩んでいってほしいなと思いますか?

鈴木香音:自分が入ってきたときとも全然違うグループになっているので、これからどうなっていくのか全然想像はつかないんですけど、もっと街中でも見かけたいですね。つい先日、渋谷に行ったんですよ。そしたら街中で「泡沫サタデーナイト!」が流れてて、すごく嬉しかったんですよ。もちろん自分の声が響いているのも嬉しいし、モーニング娘。っていう存在が渋谷中に響き渡っているのがすごく嬉しくて。だから自分が卒業した後もイチファンとして自慢していきたいですし、「モーニング娘。って凄いんだよ」って周りの人に言いたいので、そういうみんなであってほしいなって思います。

モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー

--では、最後に、これまで「おかあさん、おかあさん」と頼ったりイジったりしてきてくれたモーニング娘。'16のメンバーへメッセージをお願いします。

鈴木香音:本当に0か100かですごく面倒くさい性格だったから、同期も後輩も含めみんなにすごく迷惑をかけてきてるんですよ。それでも「おかあさん」って言って笑ってくれるのが嬉しくて。だからこれからも、卒業して会わなくなっちゃうんじゃなくて、イチ友達として付き合っていきたいなって思ってます。せっかくライバルっていう関係から外れるので、だったらもっと仲良くなりたいなって。みんなのことを支えられる存在になりたいなって思ってます。

--では、卒業後もみんなのおかあさん?

鈴木香音:おかあさんですね(笑)。

Interviewer:平賀哲雄
Photo:内山直也

モーニング娘。’16「泡沫サタデーナイト!/The Vision/Tokyoという片隅」

泡沫サタデーナイト!/The Vision/Tokyoという片隅

2016/05/11 RELEASE
EPCE-7217/8 ¥ 1,760(税込)

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Disc01
  1. 01.泡沫サタデーナイト!
  2. 02.The Vision
  3. 03.Tokyoという片隅
  4. 04.泡沫サタデーナイト! (Instrumental)
  5. 05.The Vision (Instrumental)
  6. 06.Tokyoという片隅 (Instrumental)

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