遺言書の「花押」有効、印鑑より偽造困難と判断 高裁那覇支部
遺産相続の遺言書に使われる「印」の代わりに、戦国武将らのサインとして知られる「花押」の使用は有効かどうかが争われた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部は24日までに、印と認定できると判断した一審・那覇地裁判決を支持し、遺言書を有効と認めた。
一審判決などによると、沖縄県の男性が不動産の相続について花押が記された遺言書を残し死去。次男が遺言書の有効性を求めて長男と三男を相手取り提訴した。長男らは無効と主張した。
民法は遺言書の要件として印を求めている。今年3月の一審判決は男性がこれまでも花押を使用してきたと指摘。印鑑より偽造が困難である点を踏まえ「印と認めるのが相当」と判断した。高裁那覇支部も支持し、長男らの控訴を棄却した。
中根弁護士は「今回は男性が生前、花押を使っていた特殊な事情が考慮された。争いを生じさせないためには実印を使う方が適切」と話した。
中国に起源のある花押は、豊臣秀吉ら歴史上の人物が使ったほか、現在も閣議書を回覧する「持ち回り閣議」で大臣が使用することがある。〔共同〕