今年の4月は、2年に1度の診療報酬改定の時期にあたり、医療の仕組みが変わる。薬局の改定の目玉は「かかりつけ薬剤師制度」の新設と、「お薬手帳の料金改定」だ。
健康意識の高い、日本一の長寿県・長野県佐久市などでは、すでに多くの人が自主的に「かかりつけ薬局」を持っている。病院受診後、処方箋を門前薬局ではなく、自分の行きつけの薬局に持っていく。どこの医者にかかっても、その薬局に行くから、薬剤師とも顔なじみ。投薬をトータルで把握してもらえ、相談がしやすく、不調にも気づいてもらいやすいのだそうだ。
こうした「かかりつけ」のメリットを制度化して推奨しようというのが、今回の「かかりつけ薬剤師制度」。患者は信頼できる薬剤師を選び、契約を結ぶことで、自分が服用するすべての医療用医薬品(処方箋により調剤された薬)や市販薬、さらには健康食品、サプリメント、栄養剤も含めて管理してもらえる。
そればかりか、健康や投薬に不安を感じたときは、夜間や休日など薬局の営業時間外でも24時間電話で相談できるのだ。医療、薬事に関する問題に詳しい薬剤師の高橋秀和さんは、次のように解説する。
「制度の目的は、医療費削減と医療の質向上の両立です。厚生労働省は『地域の開業医をかかりつけ医とし、かかりつけ薬剤師を持ちましょう』とすすめています。
患者さんの体質や病歴、服薬歴を熟知した医師・薬剤師が治療を担当すれば無駄も減り、医療の質もよくなります。時間外でも対応できれば、患者さんも安心ですし、救急受診も減ります。地域の患者さんを地域の医療者で、より親密に守っていこうということです」
では、当制度の気になる料金と登録方法について見ていこう。
【料金】
困ったときに24時間いつでも健康相談ができるなんて、結構な金額がかかるのでは…と思ってしまうが、「かかりつけ薬剤師指導料」は700円(調剤報酬点数は70点)。
かかりつけ薬剤師を持たなくても、薬剤師の技術料金(薬剤服用歴管理指導料)は500円かかるので、その差額は200~320円(お薬手帳の有無で変わる。)。患者側の負担は、その1~3割なので、実際には、最大で100円程度の追加料金しかかからないのだ。
なお、かかりつけ薬剤師が不在の場合は、同じ薬局の別の薬剤師が代わりに担当するが、その場合は「かかりつけ薬剤師指導料」は適用されない。
【登録方法】
「かかりつけ薬剤師」は誰でもなれるわけではない。実務経験3年以上、当該薬局の在籍6か月以上、1週間の勤務時間が32時間以上などといった条件が設けられているので、患者としては安心。
同意書を交わしたら、その薬剤師の出勤日が知らされ、基本的に毎回、その薬剤師が担当してくれる。
※女性セブン2016年4月28日