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ジェイミー・カラム、セントレジスホテル大阪にて一夜限りのプレミアムライブを開催 ~新世代ピアノ・マンが見せるジャズの未来

ジェイミー・カラム特集

 この5月16日、スターウッドホテル&リゾートによる企画として、セントレジスホテル大阪で行われる一夜限りのプレミアム・ライブ「The Jazz Legends at St. Regis」。当日に出演を果たすジェイミー・カラムは、21世紀に入ってもっともポピュラーな成功を収めたと言える、ジャズ/ポップ界のスターである。

「現代型ジャズ/ポップの素養と知性」

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 これまでに、インディーズ時代を含めて通算7作のスタジオ・アルバムを発表しているジェイミー・カラムは、英エセックス生まれの36歳。音楽好き一家の恵まれた環境に育ったが、若きジェイミー少年の音楽的バックグラウンドを培ったのは、いわゆる音楽の英才教育ではなかった。1990年代米国のヒップ・ホップ・ミュージックには、古いジャズをサンプリング・ソースとして用いたヒット曲が数多く生まれており、そうしたDJ/クラブ・カルチャーに親しむことで、ジェイミーの興味はジャズの歴史を掘り下げてゆくことになったのだ。極めて現代的なアプローチと言える。

レディング大学で英文学と映画を学び、首席として卒業することになる優秀なジェイミーは、在学中にトリオ編成でスタンダード・ジャズやポピュラー・ソングの数々を自主レコーディングしたアルバム『Heard It All Before』(1999)を発表する。ライブ活動を活発化させ、米国のジャズ・レーベルからリリースしたアルバム『Pointless Nostalgic』(2002)は、英国内で10万枚のヒット。これが契機となり、彼は英ユニバーサル・ミュージックと3作のアルバムで100万ポンドの契約を結ぶ。前作から1年強で届けられたアルバム『Twentysomething』は、英国チャートで3位にランクイン。米ビルボードのジャズ・チャートでも3位を記録した。自作曲はもちろん、名曲「雨に唄えば」や、彼がこよなく愛するコール・ポーター作品、ジミ・ヘンドリックスやジェフ・バックリィといったロック曲のジャズ解釈も含まれた、奔放な作風となった。

「どこまでもエキサイティングなステージ・パフォーマンス」

 一躍スターの座に上り詰めたジェイミー・カラムだが、その人気の理由はレコード作品によるものだけではなかった。彼は2004年初頭に初の来日公演を行っており、同年の夏には【FUJI ROCK FESTIVAL ‘04】出演も果たしている。同フェスの最大規模ステージで堂々のパフォーマンスを繰り広げたばかりか、その熱気渦巻く内容が大きな話題となった。ムードたっぷりに、エレガントな演奏を繰り広げることも出来るが、感情の赴くままに、全身でオーディエンスを熱狂の中へと引き込むこともできる。以後、ジェイミーの来日公演は大きなツアーがスケジュールされるようになり、その一期一会のパフォーマンスに多くの人々が魅了されることになったのだ。


 直近の来日公演は、2014年初頭のツアーと、同年秋のビルボードライブ出演。前者はバンド・メンバー6名が総がかりでパーカッションを打ち鳴らしたりもするという熱狂的な内容で、一方、後者は大所帯ホーン・セクションを引き連れたビッグ・バンド編成でのステージとなった。短期間のうちにライブの内容をガラリと変えることが出来るのも、ジェイミーのポテンシャルの高さによるところが大きい。ビルボードライブ出演時は、ディジー・ガレスピーやキャノンボール・アダレイ作品を取り上げつつ、スフィアン・スティーヴンスといった現代型ソングライターの楽曲も、現地調達バンドと共にライブ感たっぷりに料理してみせた。

「新世代ピアノ・マンが見せるジャズの未来」

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 私生活でのジェイミー・カラムは、今や二児の父親だ。2010年に元モデルのソフィー・ダール(現在は作家として活躍)と結婚すると、二人の娘を授かった。育児は彼の生活を一変させ、アルバム『Momentum』(2013)は目の回るような忙しさの中で製作された、という微笑ましいエピソードもある。『Momentum』はヒップ・ホップ風のリズム・トラックも用いられたユニークな作品だったが、自身の生活に応じて鮮やかに作風を変化させた、「生活そのものがジャズ」と呼ぶべきアーティストでもあるわけだ。そこからスタンダードへと立ち返った最新作『Interlude』(2014)への変貌ぶりも見事だった。

 この4月末、ジェイミーは、バラク・オバマ大統領がホストを務めホワイトハウスで開催する「International Jazz Day Concert」に招かれるという。他の出演者は、ウェイン・ショーター、チック・コリア、ジョン・マクラフリン、ロバート・グラスパー、エスペランサ・スポルディングらといった、新旧のジャズの巨人たち。21世紀を代表する英国のピアノ・マンは、これからどんなジャズの地平を見せてくれるのだろうか。

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