「E3」供給困難に 南西石油、取扱給油所に影響


社会
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 南西石油(西原町、リンコン・シオジロ・イシカワ社長)が3月末で石油製品の販売を打ち切ることに伴い、県産サトウキビ(糖蜜)由来のバイオエタノールを約3%混合したガソリン「E3」の供給が困難になる見通しとなっていることが、27日までに分かった。県内でE3を販売する給油所の運営業者に対し、南西石油が「4月以降の供給は事実上困難」との認識を伝えていた。

 「E3」は、バイオ燃料を混合することで二酸化炭素(CO2)の排出を抑える温暖化対策のほか、県産サトウキビの有効利用につなげる狙いで、実証事業を経て2010年に県内で店舗販売が始まった。
 現在は、環境省のバイオ燃料利用体制確立促進事業として日伯エタノール(東京)がE3の促進事業を受託。製造は、原料用バイオエタノールを西原町の南西石油製油所に持ち込み、南西石油がガソリンに混合して給油所に供給している。
 日伯エタノールは26日、E3燃料を販売する給油所業者への説明会を那覇市内で開いた。日伯エタノールは琉球新報の取材に「E3の供給は続けたいが、南西石油からの情報が全くない。4月以降の見通しが立っていない」と話している。
 日伯エタノールは説明会に南西石油の出席を呼び掛けたが、南西石油は応じなかった。説明会に参加した業者は「日伯エタノールの説明と南西石油の実態が懸け離れている」と不安感を示した。
 環境省は16年度も事業を継続し、3月にも委託先を公募する予定だ。環境省の担当者は「(E3の製造中止が)完全に決まったわけでもないので、例年通り事業を実施する方向だ。公募がなければ事業の見直しも必要になる」と述べた。
 南西石油が製造するE3のほかに、バイオ燃料を10%混合した「E10」も千葉県で製造され、県内に供給されている。しかし、E3が全ての車両に給油できるのに対し、E10は給油できる車種が限られている。昨年11月の利用促進キャンペーンの給油台数はE3が約30万台で、E10は1531台。取扱給油所の数はE3が県内58カ所、E10が27カ所となっている。
(阪口彩子)