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血便で救急搬送される人の約半数は痛みほぼない大腸憩室出血

 お尻からの大量出血(血便)で、救急搬送される患者の約半数が大腸憩室(けいしつ)出血だ。憩室は腸内の圧が何らかの原因で高まることで、大腸の壁の一部が袋状に外へと飛び出す症状だ。欧米人は出口に近い左側のS状結腸付近にできることが多いが、日本人を含むアジア人は右側にある上行結腸や横行結腸にできる頻度が高い。数個から数百個の憩室がある人もいるが、症状はほとんどない。

 近年、食生活の欧米化で食物繊維の摂取量が減っていることと、脳梗塞・心筋梗塞予防のため血液をサラサラにする抗血小板薬内服などの理由から、大腸憩室出血が増加している。患者数は10年前の2倍で、30代以上の男性が圧倒的だ。

 聖路加国際病院消化器内科の石井直樹医師に聞いた。

「血便で救急搬送される2人に1人が大腸憩室出血です。大腸内で便などの直接的な刺激で粘膜が傷つき出血します。憩室に入っている血管は動脈なので、切れると真っ赤な血が驚くほど出ます。中には2度3度と出血し、ショックを起こして救急搬送される方もいらっしゃいます」

 この病気は腹がぐるぐる動く不快感がある程度で、痛みなどもまったくなく突然出血する。大腸の右側の憩室は左より粘膜の壁が薄く、出血量も多い。日本人は右側の出血が多かったが、食生活の欧米化で左側憩室出血も増えている。また、高血圧や高脂血症も発症リスクを高める。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2014年2月7日号

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